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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1048話:デス爺とパラキアスさんに連絡

「じっちゃん、聞こえる?」

『うむ、問題ないぞ』


 昼食後、ヴィルを通してデス爺と連絡を取る。

 直接あたしが塔の村に行ってもよかったのだが、この時間だとエルレイカリリーは皆塔に入ってるだろうしな。

 行ったってあんまり面白そうじゃないかなあと思ってしまった。


『どうしたのじゃ? お主がヴィルをワシの元へ寄越すのは初めてじゃが』

「そうだったっけ? ヴィルはいい子だから可愛がってやってよ」

『うむ』


 デス爺はあたしを見ると口では何だかんだと言いながら、嬉しそうな顔をしているのだ。

 つまり可愛いもの好き。

 じゃあヴィルを撫でたいでしょ?

 ヴィルも撫でられたいだろうし。

 ウィンウィンだね。


『ふむ、堪能させてもらったぞ』

『堪能したぬ!』

「ははあ、ちょっと面白い。あたしも堪能させてもらいたかった」


 それはそれとして。


「今、帝国の皇宮行ってきたんだ」

『ふむ、何か進展があったか?』

「例の第一皇子のお葬式だけど、五日後の精霊の月九日だって」


 驚くデス爺。


『何? 随分と早いではないか』

「うーん、でも近衛兵その他の人達は疑問に感じてなかったんだよね。帝国の常識的な判断っぽい」


 第一皇子が正式な皇太子だったら、もっと葬儀の参列者を多くするために日程に余裕を持たせたんじゃなかろうか?

 あとで思ったことだけど。


「プリンスとリリーがお葬式に出席するってのは考慮されてないのかもしれない。ただ亡くなった日に早船出発させてるとすると、ギリギリ間に合いそうなタイミングではあるんだよね」


 もちろんプリンスは、の話だ。

 さらに塔の村まで連絡すると考えると、普通ならリリーは間に合わない計算になる。

 もっとも政権幹部はリリーについては考えていないだろう。

 リリーがドーラに来ていることは、ごく身近な人達しか知らないみたいだから。


「昨日リリーがいたから詳しい話できなかったけどさ。ぶっちゃけ帝国第一の実力者である第二皇子はプリンスを邪魔だと思ってるんだよ」

『ふむ、それで?』

「逃げ場のない海の上で襲ってくる可能性は高いだろうと思ってる」

『だから偽装船か。パラキアス殿は何と?』

「同じ見解だよ。いや、最初パラキアスさんが船の方担当するって言ってたんだ。でも強力な武器でドカドカやられたんじゃ逃げるしかないじゃん? となると船員ごとクララの『フライ』で飛んで運べるうちのパーティーの方が適任だから」

『なるほどの』


 まー洋上とはいえ、誰が見てるかわからんのだ。

 バレバレのド派手な襲撃はしてこないと思うけど。


『気をつけるのじゃぞ?』

「うん。でも必ず襲撃があると決まったわけでもないし、やるとしたら何してくるかもアバウトに予想できてるから、問題はないな」

『武運を祈ろう』

「ありがと。四日後の夜にリリーと黒服さんをプリンスと一緒に皇宮へ送ってくから、その旨伝えといてくれる?」

『うむ、了解じゃ』


 せっかくだから聞いとこ。


「向こう、対魔道テロ対策で魔道結界張られちゃうらしいんだよ。転移転送は大丈夫かなあ?」

『問題ないじゃろう。全ての魔法・バトルスキルを禁ずるような大掛かりな術にはとんでもなく莫大な魔力が必要じゃ。要人の葬儀のような広い範囲で行えるはずもない。おそらくは攻撃魔法のような放出系の魔法のみを禁じておるのじゃ。であっても数十ヒロ四方くらいの範囲が限度じゃと思う』


 ははあ、飛空艇の魔道結界みたいなもんだな?

 あれって放出系じゃない転移や、多分飛行魔法にも影響なかったのか。


「じっちゃん、ありがとう! 頼りになるう!」

『うむ、ワシを褒め称えよ』


 バアルみたいなこと言い出したぞ?


「じゃあね、じっちゃん。ヴィル、今度は行政府行ってくれる? パラキアスさんがいればパラキアスさんに、いなかったらプリンスルキウスに繋いで」

『わかったぬ!』


 よしよし、ヴィルはいい子だね。

 しばし待つ。


『御主人! パラキアスがいたぬ。代わるぬ』

『パラキアスだ。帝国の件か?』

「そうそう。お葬式だけど、五日後精霊の月九日の午後だって」

『ほう? 思ったより早いな』

「うん。亡くなったその日にすぐ発表したみたい。早船も即出発してるんじゃないかな」

『あるいは出してないかも知れない』

「え?」


 何ですと?

 プリンスに第一皇子が亡くなった報せを寄越さないってこと?

 そんなことある?


『ドミティウス主席執政官が、現在のルキウス大使をどこまで把握しているかはわからん。しかし不戦勝を狙うならあり得るだろう?』


 つまりプリンスの出番自体をなくして、存在感を消してしまうと?

 いかにも悪いやつの考えだなー。

 心の清らかな美少女精霊使いにとっては、思いもよらない発想だったわ。


「面白くないなー。ひっじょーにあたし好みでないんだけど?」

『君好みの展開になるとするならば、遅くとも明日までに早船が着くことになる』

「うん。でも皇宮にプリンスとリリー送ってくの、四日後の午後にしてくれって言われてるんだ。となると偽装船を仕立てても、帝国まで行けなくて途中で引き返すことになりそう」

『問題ない。どうせ仕掛けてくるならドーラに近い側だ』

「そーなの?」

『さすがに本土近くで悪事を働くのは寝覚めが悪いだろう?』


 寝覚めはともかく、帝国の近くじゃ海軍や海上警備隊に発見される確率が高くなっちゃうか。


「うーん、じゃあ早船で連絡が来たら、計画通りってことで。もし来なかったらリリーだけ皇宮に連れていくね」

『わかった。よろしく頼む』


 連絡は以上だな。


『ああ、君好みの展開になったケースだが、帰りの船もタムポートに用意しておく』

「え? 芸が細かいなー」


 帰りも一応プリンスを船に乗せて、ドーラへ向かうって感じに装うわけか。


『帰りの船から大使を転移でドーラに連れ帰れるか?』

「ヴィル、プリンスの位置は海の上でもわかるよね?」

『わかるだぬ!』


 うむ、ならば船の上にビーコンを置くことは可能。


「大丈夫だよ」

『帰りに悪さするだけの準備時間は敵さんにもないと思うが、一応念のためだ』


 悪いことを考えてる時のパラキアスさんは生き生きしている。

 あたしの教育に毒だわ。


「じゃねー。プリンスやオルムスさん他にもよろしく」

『うむ。また連絡待ってるぞ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『はいだぬ!』


 よし、連絡終わりと。

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