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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1031話:第一皇子逝去の報

 ――――――――――一八三日目。


「おっはよー、ウルトラチャーミングビューティー颯爽と登場!」

「誰もいないでやすぜ?」

「わかってたけど、名乗りを上げたい気分だったんだよ」


 灰の民の村まで来たけど、サイナスさん家には誰もいなかった。

 まーこの時間だとショップで店番してるんだろう。


「お土産のお肉は置いていくか」

「アリトル早く起きれば、メイビー族長はまだいたはずね」

「過去のことは振り返らない主義なんだ」

「緩衝地帯へ行きましょう」


 レッツゴー。


          ◇


「サイナスさん、おっはよー」

「やあ、ユーラシア。おはよう」

「ショップも盛況だね」

「おかげさまで。開拓地の方からも買いに来てくれるお客さんが増えているんだ。黒の民の醤油も売れているんだよ」

「そうなのかー。あっ、塩足りてる?」

「問題ないぞ? 輸送隊がレイノスから買いつけている」


 なるほど、海の王国産の塩がカラーズにまで来ているのか。

 交易が盛んになっていることも嬉しいし、輸送隊員が需要をわかって入手しているのも成長が見られて嬉しい。

 感慨無量だなあ。


「移民の店もオープンしたんだ」

「へー。魚とか売ってるの?」

「一夜干しが人気商品だな。あとは魔物肉とか」

「魔物肉? え、サブローのおっちゃんが?」

「そうだ」


 サブローさんのレベルなら突進熊くらい狩れるだろうけど、武器持ってきてたんだ?

 出国税で取り上げられてたと思ってた。


「いや、非番の輸送隊のパワーカードを借りてるようだぞ」

「おお、なるほど。うまくやってるね」


 交流が進むのは嬉しい。

 しかしサブローさんは武器持ってた方がいいな。

 パワーカードでいいなら支給してあげてもいい。

 要検討っと。

 

「あたしは緑の民の村行ってくるね」

「葉を漉き入れた紙か? ショップで受け取れるという話だったぞ」

「村まで行かなくていいのか。助かるなあ」

「オレも行こう」


 サイナスさんも物好きなんだから。

 緑の民のショップへ。


「こんにちはー」

「よう、精霊使いじゃないか」

「注文してた紙が完成したって聞いたんだけど」

「預かってるぜ」


 綺麗だなー。

 サイナスさんも感心しとるわ。

 黄の民が作ってくれた箱に収めてと。


「うん、ピッタリ」

「えらく仰々しいな?」

「これねえ、帝国一の大貴族様に納める予定なんだってよ。紋章の中にヒイラギが入ってるって聞いた」

「そうなのかよ?」


 直接納めるんじゃなくて、プリンスからの贈答品だったかな?

 まあどっちでもいいけれども。


「気に入ってもらえたら、また注文入るかもしれないよ? 楽しみだねえ」

「おうとも。ところで美人絵画集のカラーズ販売はまだなのかい?」

「レイノスで注文受けてる分は、昨日の輸送隊で全部出たんだ。別に輸出で二万部注文もらってるけど、刷れただけ納めればいいから、カラーズでの販売を優先して構わないよ」

「そうか! ありがとうよ。午後から店頭に並べるぜ!」


 ハッハッハッ、大ヒットだ!

 カラーズの皆さんもぜひ購入してください。


 ん? 赤プレートが振動している。

 ヴィルから連絡か?

 こういうの初めてだな。


「もしもしこちら麗しの美少女精霊使いユーラシアだよ。ヴィル、聞こえる?」

『聞こえるぬ! 感度良好だぬ!』

「どうしたの? 何か緊急連絡?」

『ゾラスが御主人と話したいことがあるようだぬ』

「フクちゃんが?」

『代わるぬ』


 ちゃんとフクちゃんとコンタクトを取っているヴィル偉い。

 しかしフクちゃんが話したいことって何だろう?

 もう帝国がソロモコに侵攻開始か?

 法改正でモタモタやってるかと思えば、軍の始動は早い!


『ゾラスですホー』

「ヤバいことが始まっちゃいそうかな?」

『軍事ではないのですホー。最近、帝国内で情報収集を行っていたのですが、つい先ほど、無視できない出来事がありまして』

「帝国からの連絡だったか。フクちゃんも偉いねえ。で、何があったの?」

『第一皇子ガレリウスが亡くなりました』

「えっ?」


 皇位継承順位一位の皇子が?

 病弱とは聞いてきたが、皇帝陛下より先に亡くなったか。

 意外ではないものの、予定外ではある。

 これはドーラ首脳とプリンスルキウスには伝えておかなきゃいけないな。


『状況からすると自然死、おそらく病死かと思われます。近侍の者が気付いて、典医を呼びに行ったところですホー』

「随分と早い段階で知らせてくれてありがとう、大感謝だぞ」


 ハハッ、フクちゃん照れてやがる。


『これはソロモコの状況に影響はありますか?』

「おそらく艦隊を出港させるどころじゃなくなるから、展開は遅くなるよ。引き続き情報収集はよろしくね。でもあんまり危ないことはするんじゃないよ?」

『わかりましたホー』

「そうだ、あたしの知り合いの冒険者が、魔王に会うために配下の悪魔を全て負かさないといけないみたいだよ。ひょっとしたらフクちゃんとこに行くかもしれない。もしそういうことになったらあたしが間に入ったげるからね」

『ありがとうございますホー』

「ヴィル、ありがとう。こっちへ来てくれる?」

『了解だぬ!』


 ショップの店員が笑いながら聞いてくる。


「ハハハ、何かトラブルかい?」

「ちょっとね。あたしの魅力に勝てなくてトラブルの方から寄ってきちゃうの」


 笑い合うが、一方でサイナスさんが笑ってない。

 ここでは話せないから夜ね。


「御主人に呼ばれてヴィル参上ぬ!」

「よーし、ヴィルいい子! ビーコン持って行政府に飛んでくれる?」

「わかったぬ! 知事の部屋と大使の部屋、どっちがいいかぬ?」

「パラキアスさんがいれば知事室、いなければ大使室がいいな」

「了解だぬ! 行ってくるぬ!」


 ヴィルの姿が消える。

 ハハッ、ヴィルにビーコンを持ってってもらって、行政府に直接転移だ。

 ビックリさせたろ。

 ショップの店員が感嘆する。


「ひょーすげえ。幼女悪魔ちゃんはどこへでも行けるのかい?」

「現在地との位置関係がわかってれば行けるみたいだよ」


 赤プレートに反応がある。


『御主人、到着したぬ! パラキアスに代わるぬ!』

『ユーラシア、事件か?』

「事件だよ。今から行政府に行くね。ヴィル、ビーコン置いてくれる?」

『了解だぬ!』


 皆に言う。


「行政府行ってさっきの紙納めてくるよ。あんた達はサイナスさん送ってあげて。昼までには帰るから」


 デス爺製の新しい転移の玉を起動し、行政府へ。

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