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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1027話:あたしのやることにムダはない

 最終的にハヤテのレベルは九、タッカー君のレベルは八となった。

 ま、五階までならこんなもんだろ。

 レベル一の時と比べりゃ、各段に自分の強さを感じられると思う。

 あとは個々で頑張ってちょうだい。


 喜ぶタッカー君。


「ありがとうございました!」

「うんうん。ウルトラチャーミングビューティーを盛大に賛美するといいよ。ところでタッカー君、モズ君は知ってるかな? 同じカトマス出身の」

「もちろんです。あっ、そういえばモズさんも塔の村に来てますよね?」

「冒険者やってみたくてこっち来たって言ってたよ」

「モズさんはちゃんと就職していたんですけどねえ」


 確か図書館の職員って言ってたか。


「カトマス人の冒険者好きは異常じゃない?」

「アハハ、子供の頃は皆憧れますよ。もちろん長じて実際に冒険者になる者は減りますし、実際に冒険者になっても続ける者はさらに少ないですし」

「タッカー君も冒険者志望で塔の村に来たんだったか。お仲間は帰っちゃったんだっけ?」

「ええ、残念ですけど」


 惜しいなあ。

 実際に職業にしなくても、いくつかレベル上がるだけで一生ものの財産なのに。


「ユー姉、モズさんと言うのは?」

「おっぱいさんの弟だよ」


 アレクケスハヤテがわからんって顔してるけど、タッカー君が爆笑だわ。


「モズ君もパワーカード装備なんだ。しかも後衛極振りで、『ホワイトベーシック』とかも装備してるから、前衛のタッカー君とは相性いいと思うよ」

「そうでしたか!」


 今のレベルも似たようなもんだろうしな。

 タッカー君もモズ君もかなりパワーカードの数を持ってるので、二人で組めば五階までは問題ないだろ。

 でも本業の方も疎かにしないでね。


「姐さん達はどうするんだ?」

「帰るよ」


 今日は昼御飯用の肉スープ用意してるしな。

 クレソンもあるし。


「じゃねー。健闘を祈る」


 転移の玉を起動して帰宅する。


          ◇


『おう、精霊使い。これは画集の金だな?』

「そうそう。画集とカラーズで販売してるポスターの分」


 昼食後、ヴィルを介してイシュトバーンさんと連絡を取る。


『さて、面白い話タイムだな』

「え? 期待されても困るんだけど?」

『あんたは期待を裏切らねえ女だ』

「毎度要望に応えちゃうからなー」


 何故かいつもエンターテインメントを期待されてしまう。


「昨日、杖職人のナバルっておっちゃんの依頼で、ファイアードラゴン倒しに行ったんだ」

『ファイアードラゴン? 複数体いっぺんに出てくるヤバいドラゴンだろ? 倒してるやつなんて……シバは倒してるって話だったか』


 最強の冒険者シバさんか。

 『デスソング』ってすごいんだなー。


「燿竜珠が必要ってことでさ」

『ほお? 火魔法を強化する杖でも製作するんだろうな』

「でもしばらく塩漬けの依頼だったって聞いたよ?」


 ふつーのドラゴン倒すよりかなり難易度高いしな。

 ファイアードラゴン愛が高じて燿竜珠を欲しくなっちゃっただけみたいな気もする。


「あたしも杖一本作ってもらうことにしたんだ」

『あんたが杖? その心は?』

「せっかく宮廷魔道士長さんと知り合いになったじゃん? ドーラの杖を見てもらおうかと思って」

『帝国に売り込みかよ?』

「そうそう」

『精霊使いのやることは、ことごとくムダがねえなあ』

「今度皇宮へ行く楽しみができたよ」


 ドーラのものが評価されると嬉しいからね。


「あとは『アトラスの冒険者』なんだけどさ。バエちゃんとこの世界が赤眼族を監視するために作られた事業で決定」

『ほお?』

「赤眼族は向こうの世界の元王族なんだって」

『よく聞き出せたな?』

「聞き出したんじゃないんだよ。明日かれえ食べようって話になってさ。赤眼族の子連れてくねって言ったら、バエちゃんが教えてくれたの」

『意表を突くにも限度があるだろ』


 あたしなりに必然性があった展開なんだけど。


「あたしも赤眼族とは仲良くしようと思ってるからさ。集落には時々行くじゃん?」

『ん? おう』

「バエちゃんも赤眼族の情報が得られるとボーナスもらえるんだって。協力してやりたいじゃん?」

『これ、精霊使いエルは関わる可能性のある案件なのか?』


 おおう、急所だなあ。


「サッパリわかんないね。エルは何も知らないし、バエちゃんからエルに関係しそうな話題が出たこともないんだ」

『下手に触ると藪蛇か』

「うーん、今のところまるでとっかかりがないわ」


 全然関係ないのかって言われると、そんなことはないとあたしのカンが囁く。

 しかしこの件について今できることは何もない。


「デス爺に転移の玉を作ってもらったんだ」

『はん? デスさんに? どういうことだ?』

「基本的にデス爺の転移術って、転移先のビーコンとワンセットじゃん?」

『『アトラスの冒険者』の転送魔法陣だって同じだろ?』

「仕組みは知らんけど多分ね。『アトラスの冒険者』の転送魔法陣の転送先って動かせないでしょ?」

『動かす? 転送先を?』


 ちょっと何言ってるかわかんないか。


「うちにはヴィルがいるから、ビーコンを運んでもらえばどこへでも行けるようになる」

『おおおお? えらいことを考えついたな!』

「さすがでしょ? これで魔境世界樹エリアにも行けるし、飛べなくなっちゃった帝国の山岳地帯にもまた行けるな。あそこコッカーっていう、おいしい鳥の魔物がいるんだ」

『おい、今度その魔物狩ってこいよ』

「あたしも久しぶりにコッカー食べたいな」


 山の岩塩じゃなくてフルコンブ塩でも絶対おいしいはず。

 ……コッカーって飼い馴らせないのかな?


「昨日今日であったことで、披露できるのはそれくらいだなー」

『あんたの話はハズレがねえな。あれはどうした。悪役令嬢』

「もうしばらく待ってて。昨日カトマスまで行ったんだ。今日ザバン泊まり」

『ほう、思ったより根性あるじゃねえか』

「んーでも昨日かなりストレスかかってる感じだったから、ザバンの超すごいお茶でガス抜きしようと思うんだ」

『ハハッ、なるほどな』

「イシュトバーンさん、次の泊りで良さそうなところ知らない? ザバンとクルクルの間くらいで」


 あたし西域よく知らないからな。


『ンギーがいいぜ。オレも連れてってくれ』

「わかった。明日午後に迎えに行くね」

『おう。楽しみだぜ』

「ヴィル、ありがとう。通常任務に戻ってね」

『わかったぬ!』


 ンギーか。

 どんなところかな?

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