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にわか冒険者の破天荒な一年間 ~世界の王にあたしはなる!  作者: 満原こもじ


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第1026話:魔物狩りレクチャー

「つまらん。モジャ髪のチャラ男がいない」


 塔のダンジョンに入ったが、入り口フロア階段近くには誰もいなかった。

 せっかく遊んでやろうかと思ったのに。


「モジャ髪のチャラ男ってケンさんのこと?」

「アレクのライバルだな!」

「どういうことです?」


 タッカー君の疑問に答える。


「入り口フロアで番人みたいなことしてるケンってのがいるでしょ? 彼はアレクとこっちの精霊使いエルを巡る、恋のライバルなんだよ」


 うわー、自分で言っててラブみがキュンキュンするわ。

 アレクは苦笑してるけど。


「対決姿勢を煽ってやるチャンスだったのにな」

「ユー姉は余計なお世話が大好きだなあ」


 大好きなんだよ。

 エンタメの一種、ハートの栄養剤。


「まあのんびりしてる場合じゃなかった。塔のダンジョンの仕様については知ってると思うけど、大雑把に説明しとくね」


 聞いてなかったとか誤解してたなんて言われると困るからな。

 基礎知識の共有は大事。


「ここ入り口フロアは〇階扱いで外部と出入り自由。上への階段を昇ると、五階ごとじゃないと脱出魔法陣がないという特徴があるよ。塔のダンジョンにおける一番の注意点ね」


 皆が頷く。

 うむ、これは知ってたようだな。

 正直脱出のことさえ気をつけていれば、その他はどうってことないダンジョンだ。


「道具屋で脱出の札が売ってますよね?」

「うん。アレク達は転移の玉を持ってるから必要ないけど、タッカー君は念のため一枚持ってた方がいいと思う」


 パワーカード職人見習いのタッカー君が今後、アレクケスハヤテとスケジュールを合わせて塔に入ることは難しいだろう。

 ある程度のレベルになったら、塔の村の冒険者のパーティーに臨時で加わるスタイルが望ましいのではないか。

 ハヤテも『精霊の友』じゃないタッカー君がいると気詰まりだろうしな。


「このフロアにも弱い魔物はいるよ。本来はレベル五くらいまではここで経験を積むべきなんじゃないかな」


 アレクが言う。


「今日はその過程は省略するの? ハヤテとタッカーさんは初心者だけど」

「時間のある時やってよ」


 とゆーか美少女精霊使いに求められてるのはレベル上げなんだもん。

 スライム相手にチマチマなんてのは性に合わんわ。


「あ、入り口フロアの魔物であってもドロップアイテムには期待できるよ。特に『スライムスキン』は比較的高価だから、変質させないようにスライムは斬撃や風魔法で倒すのを推奨する」


 頷く面々。


「さあ、一階行くよー」


 階段を昇る。


          ◇


「……本当だ。階段が消えた」

「転移に近いね。ちょっと心細い感じはするけど、まあどうってことない。さて、魔物を倒していきまーす。うちのパーティーで倒すから、ハヤテとタッカー君はガードしててね」

「わかっただ!」「わかりました」


 考えてみりゃアレクやケスもあんまり魔物との戦闘は経験がないか。

 魔境見物を除くと、掃討戦跡地をクー川沿いに北に広げた時くらい?

 自分らで探索始めるとあんた達が主力なんだから、よく見ておくんだよ。


 食獣植物と殺人蜂×二出現。

 レッツファイッ!

 実りある経験からの薙ぎ払い! ウィーウィン!


「食獣植物は『眠りの花粉』使ってくるし、殺人蜂は強くはないけど毒持ち。嫌らしい状態異常攻撃がある魔物は要注意ね。本来だったらパーティー組んでても、レベル七、八は欲しい組み合わせだよ」


 殺人蜂一匹ならレベル三のパーティーで十分勝てる。

 でも単体で出てきた時と群れで出てきた時の強さは違うからね。


「レベル上がった?」

「上がりました!」

「上がっただ! 『ウインドカッター』覚えただ!」

「タッカー君の固有能力『飛影』も、レベル上がるとスキル覚えるから頑張ろうか。どんどん行くよー」


 文字通りザコを薙ぎ払いで蹴散らしながら先へ進む。


「脱出魔法陣のある五階までは、出る魔物一緒だから心配いらない。五階より上に行くときは注意。情報収集が大切だよ。食堂にいる先輩冒険者達の意見を聞こうね」

「「「「はい!」」」」


 よーし、いい子達。

 アレクケスハヤテなら、塔のダンジョンの先行調査係の精霊ヒカリとスネルに直接聞くのが一番正確な情報を得られるだろう。

 階段を上ったが、二階でも問題はないな。

 あ、出た出た。


「リフレッシュ! はい、注目! あそこにいるのは、人形系レア魔物の一種踊る人形です。経験値が非常に高く、売値の高い魔宝玉を必ずドロップするというカモです。ハッキリ言ってあれを倒せないと、冒険者やってる価値がないっ! でも素早くてあたし達でも先手取れないんだ。逃げちゃったらしょうがないけど、逃げない時は魔法撃ってくるから、ガードの手を抜くなよ?」

「「「「はい!」」」」


 レッツファイッ!

 踊る人形のサンダーボルト! あたしが食らう。ダンテの実りある経験! あたしの通常攻撃! 踊る人形を倒した!


「黄珠と、ラッキー! 墨珠もドロップした!」

「ユー姉、人形系の魔物は普通じゃ倒せないんだろう?」


 さすがアレクだな。

 よく知ってる。


「その通り。人形系には衝波もしくは防御力無視系と呼ばれる攻撃しかダメージ入らない。あたしはコルム兄に作ってもらった特注のパワーカード『アンリミテッド』があるから問題なく普通の攻撃で倒せるけど、これはレア素材の『逆鱗』『巨人樫の幹』『ベヘモス香』等が必要なんだ。おいそれとは作ってもらえない」


 ケスが首を捻る。


「じゃあ、どうしたらいいんだ?」

「デス爺が販売してるスキルに『経穴砕き』っていうのがあるんだ」

「あっ! 『経穴砕き』は必ず一ダメージ入るから……」


 アレクは勉強してるなあ。


「いいね。ごく一部の高級なやつ以外の人形系の魔物は、総じてヒットポイントが少ないとゆー特徴があるんだ。さっきの踊る人形なんか一しかない」

「つまり、『経穴砕き』を一発当てれば倒せる?」

「大正解でーす! 特殊な固有能力持ち以外の、経験の少ない冒険者が人形系を倒すには、『経穴砕き』が唯一の手段になるんだ。気の利いた冒険者は皆覚えてるから、早めに手に入れとくといいと思う」


 ただハヤテの装備が貧弱だ。

 アレクケスとのレベル差もあるから、ハヤテの装備をある程度揃えないときゃいけないのは大前提になるだろう。

 よく考えてください。


「さて、もう少しレベル稼いでいくぞー」

「「「おう!」」」

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