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魔法学校の悪役令嬢  作者: ああああいい
第21章 教団編―追憶―
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第68話 名を捨てた道化

母親「ごめんね、ごめんね」


 病に伏した母が俺に謝り続ける。

 かつて母は俺の手が他の人と違うのは、俺が特別な存在で英雄だからと言った。


母親「『普通』に産んであげられなくて、ごめんね」


 けれど、今は違った。

 俺を英雄と呼ぶことは無くなり、俺をそんな体で産んでしまったことを後悔し続ける日々。


ベルク「母さん……」


 憎かった。

 こうなるまで、母を追い込んだ人間たちが。

 だから、俺は――『人殺し』になった。



   *



 ズボッ。


 俺の手が強者の胸を貫いた。

 手に巻いた包帯が赤く染まる。

 母の死の原因――迫害の元となった醜い化け物の手を隠し、人間の振りをする。


男「ぐはっ」


 強者が血を吐いて倒れた。

 もう直に死ぬだろ。


男「この俺が負けるとは……お前は何者だ?」


 死にかけの強者が絞り出すような声で言った。


ベルク → ワン「我が名はワン。近い将来、最強の頂に立つことになる男だ」


 俺が母の元に産まれて来なければ、母は死ぬことは無かった。

 故に、俺……我はベルクの名を捨て、ワンという最強を目指す別人になった。

 全ては手遅れで、もう母の死は変えられないというのに……

 それでも我は……


男「最強か……。お前ならなれるかもな」


男「…………」


 その言葉を最後に、強者は絶命した。


ワン「ふはは、我は誰にも負けない。善人も悪人も恐れ慄く、『ダークヒーロー』である!」


 死体の前で一人大声を上げる。

 我が強ければ、我と母が迫害されることは無かった。

 力無き化け物の正体は、普通と違うが故に気持ち悪がれ、

 人間以下とみなされた――ただの人間もどきに過ぎない。

 ……であるならば、ならなければならない。

 迫害する気も起きないほどに。

 人間に恐れられる。

 正真正銘の強い化け物に。


ワン「強者との命を懸けた殺し合いのみが我に生を実感させる!」


 ――封印された腕が疼く。


 そう言って、包帯まみれの腕を押さえた。

 我は演じる。

 両手の包帯に違和感を感じられないように。

 孤独に……道化を。

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