↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法学校の悪役令嬢  作者: ああああいい
第21章 教団編―追憶―
325/334

第66話 いつか本になる物語

母親「お帰りなさい、ベルク……あれ? その手に持っているのは……」


 俺は一冊の本を持って家に帰った。


ベルク「本屋で俺と同じ名前が書かれた本を見つけて……」


 気になって本をずっと見てたら、店員にその本を手渡されて……


店員『この本はやるから二度とこの店に来るな』


 ……と言われ、帰って来た。


母親「その本はね、千年前の偉大な英雄を書いた本なの」


ベルク「英雄?」


 俺が聞き返した。


母親「千年前に起こった人間同士の戦争を止めた――心優しき英雄の物語」


 母が俺の持っていた本の表紙を撫でる。


母親「物語の主人公である英雄『ベルク』は他の人とはちょっと違う――特別な存在だった」


 ベルク……それは俺の名前と同じだった。


母親「あなたも一緒。あなたの手が他の人と違うのは、あなたが特別な存在で英雄だから」


 母が俺の醜い――化け物の手を握りしめた。


母親「だから、私はあなたに英雄と同じ名前をつけたの」


 千年前の英雄ベルク。

 それが俺の名づけの元になった人物。

 でも――


ベルク「本の中の人物ってことは現実にはいなかったの?」


 俺が母に尋ねた。


母親「ううん。ベルクはちゃんとした現実の人間よ」


ベルク「じゃあ、どうして本の登場人物に……」


母親「現実はいずれ本になるの」


ベルク「現実が……本になる?」


母親「ええ、そうよ。人々は現実を本に書き留め、未来に残すの」


 現実を本に……

 でも、それは……


ベルク「現実を書き残すには………この本、一冊じゃ足りないよ」


 俺は持っている本を見ながら言った。


母親「……そうね。だから、書き続けるの」


 そういうと、母は棚を漁った。

 取り出したのは、俺の持っている本と同じ、ベルクの名前が書かれた本だった。


ベルク「同じ本?」


母親「ううん、違う本よ」


 ベルクについて書かれた本は一冊ではなかった。


母親「ベルクの物語は千年経った今でも書かれ続けてるの」


ベルク「えっ、千年経っても完結してないの? ベルクはもう死んでるんだよね?」


母親「ええ、ベルクは亡くなってるわ。それでも、彼の人生を書き切ることは千年経った今でも叶ってないの」


 千年経っても完結しない物語。

 今も書き続けられるその理由は……


ベルク「今もベルクの物語を楽しみに待ってる人がいるんだね」


 それは凄いことだった。

 千年間。

 決してついえることなく、人々に愛され、紡がれ続けた『英雄譚』。


母親「ふふ、それじゃ、お話しちゃおうかしら」


 母が本を広げる。


母親「偉大なる英雄――ベルクの物語を」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。