第59話 残酷な神様
リーダー「まさか、俺が『女』だってことに気付くとは……。さすが、ゼロだね」
リーダが僕を褒めた。
けれど、それはお門違いだった。
ゼロ「えっ、女性だったんですか?」
僕が驚く。
僕はリーダーが女性だとは気づいていなかった。
リーダー「あれ? じゃあ、なんでシスター服を贈ったのさ?」
リーダーが不思議そうに尋ねた。
ゼロ「女装癖があるのかな~、って」
僕が正直に答えた。
リーダー「マジか」
リーダーは呆れと、驚きが半々といった感じで言った。
ゼロ「…………」
リーダー「…………」
僕とリーダーの間に、気まずい時間が流れる。
リーダー「もう脱ごうかな」
リーダーがシスター服を脱ぎだした。
リーダー「よいしょ」
リーダーが服を着る。
いつもの青年っぽい格好に戻った。
……僕は少し残念な気がした。
ゼロ「どうして、リーダーは……」
言いかけた言葉を途中で止めた。
聞いていも良いものかと悩んだからだ。
リーダー「気になるかい? 女の俺が、なぜ男の振りをしているのか」
ゼロ「……はい」
僕は、素直に頷いた。
リーダー「いいよ。教えてあげる。なぜ、俺が『男』になることを選んだのか」
*
リーダー「俺は親に捨てられたんだ。魔法使いの家に生まれた女のくせに、魔法が使えなかったから」
リーダー「その出来事はトラウマとなり……俺は女として生きることが出来なくなった」
リーダー「考えてしまうんだ。もし、俺が魔法使いの家に生まれていなければ……、あるいは俺が『男』だったら……。親に捨てられなかったんじゃないかってね」
リーダー「――はい。これでおしまい。ごめんね、辛気臭い話をしちゃって」
リーダーは話してくれた。
自身の辛かった過去を。
ゼロ「……酷い話です」
僕が感想を漏らした。
ゼロ「リーダーは何も悪くないのに。ただ、魔法が使えないだけで、そんな……!」
怒りが湧いた。
リーダー「怒ってくれてありがとう。でも、もういいんだ。それは捨てた過去だからさ。……まあ、実際は未練たらたらだったわけだけど」
リーダーが自虐的に言った。
リーダー「俺はまだ諦めきれてなかったらしい。かつて、俺を捨てた両親に語った『ギルドの僧侶』になるという夢を」
リーダーの夢……。
もし、リーダーが魔力を持って生まれていれば……
きっと、その夢は叶って……
親に捨てられることも無かったのだろう。
ゼロ(世界は理不尽だ)
リーダーを捨てた親が悪いのは当然として、この世界そのものに不条理さを感じた。
産まれた際に、たった一つ欠けているものがあっただけで、人生が狂うなんて……
ゼロ(この世界を創った神様はきっと……)
残酷だったに違いない。




