第56話 あの人に会いに
リーダー「…………」
リーダーは、相も変わらず上の空でアジトを歩いてる。
ワン「おお、リーダー! どうだ、少し話さないか?」
リーダー「…………」
リーダーは、無視して通り過ぎる。
ツー「あら、リーダー……」
スリー「おい、リーダー。任務のことだけど……」
無視。無視。
リーダー「…………」
誰の言葉も耳に入らないほどに――心ここにあらずだった。
*
ゼロ「このままじゃ、駄目だ」
僕は、一人考える。
どれだけ、根気強く話しかけてもリーダーは心を開いてはくれなかった。
ゼロ「やっぱり、『恋』をしてるというのが間違いなのかも……」
ギルドとの共同戦の日。
リーダーが、シスター服を着た女性たちを見ていたのは、確かだ。
けれど、その全てを三人に話したわけではなかった。
意図的に隠したことがある。
それは、リーダー個人の『趣味』、『嗜好』に関わることで、話すのを憚られたからだ。
ゼロ「リーダーは……女性の顔を見てなかった」
リーダーが見ていたのは、胸から尻にかけての――体のラインだった。
ゼロ「それも特定の誰かじゃなくて、シスター服を着た女性全員だ」
シスター服を着ていれば、誰でもいい?
いや、もしかしたら、着てなくても良いのかも?
ゼロ「考えられるのは二つ……」
一つは、リーダーがシスター服フェチだということ。
もう一つは……
ゼロ「……『本人』が着たいと思っているか」
僕は想像する。
シスター服を着た――女装したリーダーの姿を。
ゼロ「案外、似合うかも?」
……いけない。いけない。
脱線した。
ゼロ「一人で考えていても仕方ないよな……」
かと言って……
『リーダーは、シスター服集め……もしくは、女装癖があるかもしれません!』
――なんて、言えるわけがない。
ゼロ「まあ、どちらにせよ。シスター服さえ入手できれば解決か」
でも、どうやって手に入れる?
他のメンバーには、リーダーの名誉を守るためにも話せない。
ゼロ「……あの人に頼むか」
外のことに詳しくて、何より……
ゼロ「幼い頃のリーダーを知っている」
もしかしたら、リーダーがシスター服に興味を持っている理由も知ってるかも?
ゼロ「よし、そうと決まったら、早速、会いに行こう」
僕は、アジトを後にした。




