第49話 見つけた『弱み』
ツー「ここ最近、リーダーの様子がおかしいわ」
リーダー以外の全員が揃うと、ツーは話を切り出した。
ワン「うむ。確かに、心ここにあらずといった感じであったな」
ツーの言葉に、ワンが同意した。
スリー「そうか? 前からあんな感じじゃね? てか、俺としては人殺しの任務が減った方が問題なんだが?」
スリーは、リーダーのことよりも、自身の現在の待遇の方に文句を言った。
ゼロ「まあ、まあ……。その問題を解決するためにも、まずはリーダーに元気になってもらわないとです」
僕は、スリーをなだめながら言った。
スリー「ちっ、仕方ねーな」
スリーは、渋々納得した。
ツー「よーし、全員が賛同してくれたところで、早速、作戦会議よ。リーダーがおかしくなった原因に心当たりがある人はいるかしら?」
し~ん。
しばしの沈黙。
全員が過去の記憶を遡る。
ワン「ギルドとの共同戦線……。それが終わった辺りでは無かったか?」
最初に口を開いたのはワンだった。
ツー「言われてみれば、そんな気が……てか、絶対そうだわ!」
ツーが、ポンと手を叩いた。
スリー「なんだ。リーダーも人を殺せなかったことを気にしてたのかよ。じゃあ、前みたいに人殺しの任務を増やして解決じゃねーか」
スリーは、ここぞとばかりに言った。
ゼロ(……本当にそうだろうか?)
実を言うと、僕には一つ心当たりがあった。
けれど、それを話して良いものか……
ワン「ふむ? ゼロよ……何か話したいことがありそうだな?」
ワンが僕に言った。
どうやら、顔に出てしまっていたらしい。
ゼロ「実はその……心当たりはあるんですが……」
僕は気まずそうに話していく。
ゼロ「リーダーの個人的なお話になってしまうので、話しても良いものかと思いまして……」
ワン「なるほど。リーダーにも知られたくないことの一つや二つはあるだろう。それを我らが知れば、よりリーダーを追い詰めてしまうかもしれん」
ワンが、僕の言葉に理解を示した。
スリー「えー、別にいいじゃん。むしろ、弱みを握って……」
ツー「……ワン。今すぐ、スリーをこの部屋から追い出して」
ワン「了解した」
スリー「冗談! 冗談だから!」
スリーが、必死に弁明した。
ツー「次は無いわよ」
スリー「分かったよ。もう言わない」
ツーに怒られ、スリーは真剣に会議に参加することを誓った。
いつものように、ツーにフライパンで殴られなかっただけ、運が良い。
今は、リーダーを元に戻す……元気づけるのが最優先ということだろう。
スリー「でも、実際問題。他に手がかりはないんだし、ゼロの話を聞くしかないんじゃねーの? 知られたくない秘密だとしても、ゼロは既に気付いてるみたいだし、俺たちも黙ってればいいだけの話だろ?」
ワン「それはそうではあるが……」
ワンが煮え切らない態度を取る。
スリー「なんだ、ワン。お前は、秘密次第でリーダーに接する態度を変えちまうのか?」
ワン「……!! 馬鹿な! どんな秘密があろうと『我』がリーダーへの態度を変えるわけがない。絶対にだ」
ワンが大声で力強く言った。
スリー「お、おう」
急な大声にスリーが少し委縮した。
ツー「ワン……」
ツーが心配そうに、ワンの包帯まみれの手を握った。
ゼロ(態度を変える……。もしかして、過去に嫌な思いを?)
包帯で隠した両手と、眼帯で隠した右目。
ワン(回想)『わ、我の顔に異常は無いか……?』
傷が癒えてなかったときのあの慌てよう……
ゼロ(……”そういうこと”なのか?)
辿り着いた「答え」に口元が緩む。
ゼロ(やっと『弱み』を見つけた)
手を後ろに回して、”大人からもらった”ナイフを弄ぶ。
ゼロ(”マーキング”するなら眼帯にしようかと思っていたが……それは”無し”だ)
ようやく、『ワン』を殺す算段がついた。
ゼロ(これで……)
――『全員』殺せる。




