第46話 不釣り合い
ゼロ「みなさん。よろしくお願いします」
新入りがやってきた。
ツー「今日から私がアンタのお母さんよ」
スリー「!!!!」
ツーが、かつての俺に言ったことと、同じことを新入りに言った。
スリー「……アイツとも、『やる』つもりなのか?」
ツーが奪われる……
不安に感じた俺が尋ねた。
ツー「違うわ。特別なのは、あなただけ……」
その言葉に一度は安心して……
ツー「お母さんが、ついているからね」
ツーが、新入りに抱きついたのを見て……
スリー「…………」
新入りに殺意が湧いた。
*
スリー「この組織には、ルールがある」
殺意を覚えた俺は、新入りに対して嫌がらせを決行した。
殺さずに嫌がらせに留めたのは、新入りとは言え、仲間だから。
……ではなく、殺してしまったらツーへの思いを認めたことになると思ったから。
手遅れかもしれないが、それでも自分なりに一線を引いた。
人を殺すのは、俺が『俺』であるため。
快楽のためだ。
嫉妬によって、恋敵を排除するなど、あってはなならない。
スリー「この組織は入った順……つまり、番号が若い順に偉いんだ」
これで、新入りの『4』は、俺には逆らえ……
リーダー「今日から君は『ゼロ』だ」
……なっ!?
ここに来て、数字が若返った。
ツー「番号が若いほど、偉いってことは……逆に、スリーが一番下ってことよね」
ツーが、企みを含んだ無邪気な笑顔を見せる。
ツー「あなたには、これまで以上に『お願い』をするわね」
身から出た錆。
その日から俺はツーに、こき使われるようになった。
スリー「どうして、こんなことに……」
ツーに奴隷のように扱われ、不満を口にした。
……当時の俺は気づかなかったが、今、思えば俺のためだったのだろう。
新入りであるゼロの存在に、危機感を覚えていた俺を安心させるために、ツーは俺と二人でいる時間を増やしてくれた。
全ては善意の行動である。
スリー「ツーは、優しくて、良い子だ」
……人殺しの俺には、不釣り合いなほどに。




