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魔法学校の悪役令嬢  作者: ああああいい
第21章 教団編―追憶―
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第41話 見たことのない表情

ツー「キャー!? 全身血塗れじゃない!」


 初任務から帰って来た俺を見て、ツーが叫んだ。


ツー「癒しよ! 癒しよ!」


 ツーは涙目になりながら、俺に向かって回復魔法を唱えまくる。


スリー「いや、俺、無傷だから。これ、返り血」


ツー「かえ……りち?」


 俺の言葉を聞いて、ツーはキョトンとした表情を見せた。


ツー「本当に……どこも怪我はないの?」


スリー「ああ、大丈夫だ」


 俺は体を適当に動かし、自分の無事をアピールする。


ツー「良かった。本当に良かった」


 ツーが、俺に抱きついた。


スリー「ばっ、血が付くって」


 俺は慌ててツーを引き剥がした。


ツー「う、うう……」


 ツーは、完全に泣き出してしまった。

 それほどまでに、俺のことを心配していたらしい。


リーダー「いや~、驚いたね。あのツーが、泣き出すなんて」


ワン「そんな驚くことでもあるまい。子供とは言え、同年代の男女……そういうこともあるだろう」


リーダー「マジ? 最近の子供はませてるね~。俺なんて、初恋もまだなのに!」


ワン「それはいくらなんでも遅すぎるぞ……」


 恋愛感情に疎いリーダーと、呆れるワン。


リーダー「でも、そっか。ワンも、おじいちゃんか~。感慨深いね~」


ワン「我が……おじいちゃん?」


 リーダーの言葉にワンが不思議がる。


リーダー「ツーに子供が出来たら、そうなるだろ?」


ワン「いや、ツーは我の娘では……」


リーダー「血のつながりは無くても、親子は親子でしょ」


 リーダーは気楽な感じに言ったが……


ワン「亡くなった好敵手とものことを思うと……我なんかが……」


 ワンは思い詰めてしまっていた。


スリー(二人が、あ~だこ~だ言っているが……)


 大切なのはツー本人がどう思っているかだ。


ツー「…………」


 ツーの目から流れていた涙は既に止まっていたが……

 どこか悲しそうな顔でワンを見つめ…… 


ツー「スー、ハー」


 大きく深呼吸をすると……

 意を決したように……


ツー「コラー! 二人で好き勝手言っちゃって!」


 フライパンを手にしたツーが、二人の元へ突っ込む。 


リーダー「ま、待って! せっかく、スリーといい感じになったのにそんなことしたら、台無しに……」


ツー「うるさーい!」


リーダー「ギャー!!」


 リーダーが断末魔を上げ……


リーダー「…………」


 ……死んだ(気絶しただけです)。


ツー「次は……」


 ツーがワンを見た。

 次はワンの番らしい。


ワン「……スリーよ」


 ワンが俺の名を呼んだ。


ワン「痛いとは思うが、ツーも悪気があるわけではないのだ。……だから、許してやって欲しい」


 ゴンッ。


ワン「…………」


 リーダー同様に、ワンもフライパンの餌食になった。


スリー(次は俺か……)


 だが、馬鹿正直にフライパンを喰らう必要は無い。

 抵抗して……


 ポイッ。


スリー「えっ」


 ツーがフライパンを投げ捨てた。


ツー「『癒しよ!』」


 ツーが倒れている二人に回復魔法を唱えた。


スリー「……俺はボコらなくていいのか?」


 俺はツーに聞いた。


ツー「スリーはいいの。だって、あなたは『特別』だから」


 ツーは俺が特別であることを強調した。


スリー「……っ」


 その特別扱いに居心地の悪さを感じた。


ツー「さ~て、ちゃんと治療をしてあげなくちゃね」


 ツーがワンの元に駆け寄る。


ツー「よいしょ」


 ツーが眠っているワンを膝枕する。


ツー「癒しよ。癒しよ。癒しよ……」


 ピカッ。ピカッ。ピカッ。


 回復魔法の光が何度もワンを包み込んだ。


スリー(回復魔法とはいえ、そんなに浴びても大丈夫なのか?)


 ワンの体調が少し心配になった。


ツー「ふふっ」


 ワンに回復魔法を唱えながら、ツーは楽しそうに笑う。


リーダー「…………」


 一度しか、回復魔法をかけてもらえなかったリーダーが転がっている。

 まあ、見たところ傷は消えてるから問題は無いだろう。


スリー「……親子の交流を邪魔しちゃ駄目だよな」


 ズルズル。


 俺は気絶をしているリーダーを引きずって、部屋を後にする。


スリー「…………」


 部屋を出ていく直前に、もう一度、ツーの方に振り返ってみた。


ツー「ワン……」


 ツーは包帯まみれのワンの手を握りながら、もう片方の手で愛おしそうにワンの頬を撫でていた。

 そのときのツーは、これまで見たことのない表情だった。


スリー(あれが……。親を想う子の表情ってヤツなのか?)


 親のいない俺にはよく分からなかった。

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