295/313
第36話 人間になった日
俺は奴隷だった。
主人の命令をこなし、上手くできなきゃ殴られる。
スリー「ごめんなさい。ごめんなさい」
それは教育だった。
奴隷が逆らうことが無いように体に教え込んでいた。
『カラン』
何かが落ちる音がした。
俺は、『それ』を拾った。
スリー「これは……」
それは――『ナイフ』だった。
スリー「…………」
俺は、ナイフをバレないように、隠し持つと……自分の部屋に戻った。
*
主人「ぎゃー」
俺にナイフで刺された主人が悲鳴を上げた。
スリー「……っ」
『ズブズブ』
俺は、さらにナイフを深く突き刺した。
主人「…………」
俺を苦しめ続けた主人は物言わぬ死体となった。
スリー「はあ、はあ」
息を切らしながら、真っ赤に染まった手を確認する。
――突き刺した感触が。
――血の生暖かさが。
スリー「あ、あ……」
――俺に『生』を実感させる。
スリー「あははは!」
俺は笑う。
スリー「俺は……誰の物でもない」
ナイフを強く握りしめた。
このナイフが俺を、ただの奴隷から……
スリー「俺は『俺』なんだ!」
人殺しにしてくれた。




