第33話 ゼロの誓い
リーダー「ギルドが俺たちを『悪』とみなした場合は……、俺たちの組織は、綺麗さっぱり無くなることになる」
今度は、デメリットを提示した。
リーダー「ギルドは大きい。一度、敵に回してしまえば、太刀打ちは出来ない」
リーダーが、現実的な話をする。
リーダー「ギルドに対抗し、犯罪者は犯罪者たちで、独自のネットワークを形成し、対抗しているが……当然、悪を――犯罪者を殺している俺たちは、そのネットワークには加われない」
僕たちは、ギルドへの対抗手段を持ちわせていなかった。
スリー「今から、善人を殺せば?」
リーダー「俺が許さない」
思想が対立する。
正義であり続けるなら、人殺しをやめなければいけない。
そんな当たり前の現実が僕たちの前に立ちはだかった。
スリー「なあ……、リーダー。昔、俺に言ったよな? この世界には悪でしか救えない人たちがいるって」
それは、僕も聞いたことがある。
あれは、確か……出会ったばかりの頃に………。
スリー「リーダーである、アンタが『悪』を捨てようだなんて……それは明確な『裏切り』じゃねーか?」
スリーは、リーダーの過去の発言を引っ張り出して、リーダーを追い詰めようとする。
リーダー「……あの言葉は『嘘』だ」
リーダーは、否定した。
過去の発言を。
リーダー「悪でしか救えない人間なんていなかった」
リーダーは、暗い表情を見せた。
リーダー「俺たちは、たった五人だ。救えた人間より、救えなかった人間の方が多い。……俺たちは、もっと仲間を集めなきゃいけないんだ。より多くの人間を救うために!」
どうやら、リーダーは、ずっと悩んでいたらしい。
抱いた理想と、現実のギャップに。
リーダー「『悪』じゃ、人はついてこない。俺は……間違っていたんだ」
これまでの自身の行いを『否定』した。
リーダー「『正義』じゃなきゃ、いけなかったんだ」
苦しそうな表情で、語る。
己の過ちを。
ゼロ「ふざけるな……。ここにいるだろうが……」
リーダー「ゼロ?」
怒りを含んだ僕の言葉に、リーダーが戸惑う。
ゼロ「あんたは間違ってない! 現に、『僕』を救ってみせただろ!」
リーダー「!!!!」
リーダーが、ハッとする。
ゼロ「僕たちに意見を求めるな。言い訳をするな」
そんなものは、必要ない。
ゼロ「リーダーは僕たちに、ただ――『黙って、ついてこい』って言えば、それで良いんだ!」
善も悪も関係ない。
ゼロ「僕たちは、リーダーの部下で……味方です」
僕は、満面の笑みを見せた。
一度は、死を選んだ僕が、こうして笑えている。
それは、他でもないリーダーのおかげだから。
ゼロ「自信を持ってください。何があっても、そばにいますから」
そう、『何が』あってもだ。
僕は絶対に、リーダーを裏切らない。
それは、決して揺らぐことのない『誓い』だった。




