第32話 対立
リーダー「ギルドは計りかねているんだ。悪を殺す俺たちが、果たして『正義』なのか『悪』なのかをね」
ゼロ「悪を殺すのが駄目だと?」
リーダー「いや、そうは言ってない。ギルドの冒険者だって、ときには人を殺す依頼を受けることだってある。……問題なのは『優先度』。人々を守るために悪を殺しているのか。あるいは、人を殺したいから悪を殺しているのか」
スリー「へっ、そんなの後者に決まって――」
リーダー「うん。当然、前者だ。人々を守るのが最優先事項。そのために、悪を殺している」
スリーの意見を無視して、リーダーが言い切った。
リーダー「みんなは、どうだい?」
ツー「リーダーと同じよ」
ワン「我もだ」
二人は、リーダーに同意した。
リーダー「ゼロは……どうだい?」
リーダーが、僕に尋ねた。
ゼロ「僕は別に……。どちらでも……」
リーダー「遠慮しなくていい。君の本心を知りたい」
リーダーは、じっと僕を見つめた。
ゼロ「……善悪に興味はありません。僕は、ただの『人殺し』です」
ツー「ゼロ……」
僕の母親を名乗った少女は、悲しそうな顔をした。
ズキリ、と胸が痛くなった。
スリー「ふふ、当然、俺もゼロと同意見だ。俺は――俺たちは人殺しだ。それが大前提だ」
僕とスリー。
リーダーとワンとツー。
二対三で意見が対立した。
リーダー「……俺たちの組織がギルドに認められれば、より表立って行動できるようになる。そうなれば、組織への志願者も現れ、より大きな組織に生まれ変わることができる」
リーダーが、今回、悪を殺さないことで得られるメリットを提示した。
『ゆくゆくは、賛同者を増やし、もっと大きな組織にしたい』
過去にリーダーが言っていたことだ。
ゼロ(けれど、僕は……)
これ以上、組織のメンバーを増やす必要は無いと思っていた。
実際、僕が過去にいた暗殺組織は、十人にも満たない小さな組織だった。
ゼロ(だからこそ、暗殺組織の子供たちは、みんな兄弟のようなもので……)
――お前は、その『みんな』を裏切って殺したんだろ。
ゼロ「うっ」
死んだ『みんな』の幻聴が、僕を責め立てた。




