第28話 千年に渡った呪い④
人間A「殺せ! 人のふりをした魔物を殺せ!」
私が憑りついたヒーローが人を殺す。
呪い「視界が変わっただけで、『人殺し』に後戻りか」
案外、簡単だったな。
もし、ベルクだったら、こうはいかな……
呪い「……よそう。死んだ人間のことを考えるのは……」
私が、くだらない過去に蓋をする。
人間A「あははっ。醜い魔物め! 死ね!」
人間B「キャー」
人間が死んでいく。……意味も無く。
呪い「私が望んだ正義は……こんなんだったか?」
私は、私が憑りついたヒーローが人間を殺していく様を、冷めた目で見ていた。
*
あれから、長い時間が経った。
私は、人間に憑りついて。
憑りついた人間が駄目になったら、別の人間に憑りついて。
そうやって、途方もない時間を、生き抜いた。
呪い「ギャハハハ。殺せ、殺せ! 人間を殺せ!」
私は、おかしくなった。
いや、初めから、おかしかった。
もっと、おかしくなった。
人間C「はい! 仰せのままに!」
私が、憑りついた人間が、私の言う通り人を殺していく。
呪い(この人間には、自分の意思が無いのか?)
私は、我に返った。
返ったところで、やることは変わらないが……。
人間C「ああ、魔王様! 私に世界の真実を見せてくれた偉大なお方よ!」
呪い「魔王……」
いつしか、私の存在を魔王と同一視する人間が現れた。
呪い(……私は、魔王などという迷信とは違う)
私は、確かに『存在』している。
呪い(私は、魔王などと呼ばれる存在ではない)
そのような下等な存在であるはずがない。
呪い(この途方もない時間の中で、私はベルクを超えた)
私は、ベルクを超える『人殺し』になった。
呪い(そう、今の私は……)
私こそが……
神(呪い)「『神』なのだ!」
私は、もはや『呪い』に収まる存在ではない。
神(呪い)「私が、この世界の『ルール』だ」
私が、することが正しい。
私以外は、間違っている。
神(呪い)「私だけが……」
呪いA「ねえ、英雄は見つかった?」
神「……!」
かつての同胞が、私に語りかけた。
呪いA「いい加減、帰ってきたら?」
呪いB「もしくは、迎えに来てよ」
同胞たちが、今さらになって、神となった私に意見する。
神「……お前たちは、これまで何をしていた?」
呪いA「何もしてないよ」
呪いB「ずっと、ベルクの墓の中」
……嘘だろ?
ベルクの代わりを探すでもなく。
ベルクになろうとするわけでもなく。
ただ、待っていただけ?
神「……ふざけるな」
私が怒りで、震える。
呪いA「……?」
その怒りの理由を、同胞たちは理解しない。
呪いA「どうしたの? ……『私』」
神「!!!!」
私……だと?
神「『私』は……『お前』ではない!」
ブチッ。
私と同胞たちの繋がりが切れた。
神「くく、あはは」
私は、笑う。
神「……そうだ。私は『私』だ。他の誰でもない」
アイツらとは違う。
唯一無二の……
神「『神様』なんだ」




