第24話 大切なこと
リーダー「…………」
ザクッ。
スリー「…………」
ザクッ。
ゼロ「…………」
ザクッ。
僕たちは、無言でワンが戦闘不能にした犯罪者たちに、ナイフを突き立て、トドメを刺していく。
ゼロ「あのー……。これ結局、僕たちが殺しちゃってるんですけど、いいんですか?」
悲しそう顔をしながら、僕たちの作業を見守っていたワンがいたたまれなくなった、僕が尋ねた。
ワン「……構わん。所詮は、我以外に殺される雑魚……我の好敵手足りえない。だから、いいのだ……」
どんどん、声のトーンが下がっていく。
ゼロ(ううっ……。全然、良さそうじゃない……)
ザクッ。
申し訳ないと思いつつ、僕は引き続き、ナイフを突き立てていく。
スリー「ああーー! なんで、俺たちがワンの後始末をしないと、いけねーんだよ!」
単調な作業に耐え切れなくなった、スリーがキレながら叫んだ。
ゼロ「あれ? スリーは、人を殺すの好きって言っませんでしたか? 『ナイフを突き刺すのが快感』だと……」
スリー「反抗してこない人間を刺しても、面白くねーだろうが! こんなんで、満足できんなら、養豚所の屠殺係に転職してるわ!」
どうやら、単純に人を殺せれば良いというわけではなかったらしい。
リーダー「まあ、まあ。そこは考え方次第さ。コイツらを殺すことで、コイツらに殺されるはずだった人たちを間接的に救えている――そう思うと、やる気が出てくるだろ?」
スリー「いや、まったく」
ゼロ「見ず知らずの他人が助かろうと、どうでもいいですしね」
残念ながら、リーダーの言葉は僕たちには刺さらなかった。
リーダー「あれ~?」
リーダーが、首を傾げる。
僕らに共感してもらえなかったことを不思議がっているようだ。
ツー「スリーは、いつものこととして……ゼロまで……」
ツーが、悲しそうな顔をした。
リーダー「う~ん。俺たちは悪を裁く『悪』ではあるけど。もう少し、正義感を持って欲しいかな~」
スリー「はっ」
スリーは、鼻で笑った。
スリー「意識の無い人間にトドメを刺す行為を正義って言うんなら、んなつまんねーもんいらねーよ」
リーダー「いや……、つまらないとか、そういう問題じゃなくて……。今後の被害を減らすために……」
リーダーは、正義の重要性を説く。
スリー「んなもん知るか!」
スリーは納得せず、険悪なムードに……
ワン「すまない。我のせいで。……あとは我自身の手で後始末をつけよう」
スチャ。
ワンが刀を抜いた。
すると……
ドサッ、という音ともに倒れていた犯罪者たちの首が飛んだ。
ワン「…………」
その表情は、やはり悲しそうだった。
リーダー「ごめんね、ワン。……でも、戦力的にワンには、いて欲しかったんだ」
ワン「気にするな。……我のくだらない信条より、お前たちの身の安全の方が大事だ。だから、次も遠慮せずに我を呼ぶがいい」
どうやら、ワンは僕らのためなら、『不殺』の信条を破ることも、いとわないらしい。
ゼロ(僕も見習わないとな)
自分の感情よりも、仲間を優先する。
それは、とても大切なことだった。
……僕が、かつてのような『裏切り』をしてしまわないために。




