第21話 嫉妬と冤罪
ゼロ「……ハッ!」
僕が目を覚ます。
スリー「おっ、目を覚ましたか」
目を覚ました僕に、スリーが言った。
ゼロ「……(キョロキョロ)」
僕は辺りを見回し、ツーの姿を探した。
スリー「安心しろ。ツーは自分の部屋に戻ったから、ここにはいない」
ゼロ「そ、そうでしたか……」
スリーの言葉にホッと胸を撫で下ろす。
また、フライパンで殴られでもしたら、たまったもんじゃない。
リーダー「…………」
ワン「…………」
リーダーと、ワンはまだ意識を失ったままで……あれ?
ゼロ「なんで、ワンも気絶してるんですか?」
ワンは特にツーの気に障るような発言はしてなかったはずなのに……
スリー「ツーが『連帯責任だ!』って言ってボコった」
ゼロ「ひ、酷過ぎる……」
なんて、可哀想なんだ。
ゼロ(ん? 待てよ?)
連帯責任ってことは、もしかして……
ゼロ「スリーもツーにやられたんですか?」
スリー「えっ? ……あ、ああ。もちろんだ。後頭部が痛くてたまらないぜ」
やはり、スリーもツーにやられたらしい。
ゼロ「僕も後頭部が……痛くない?」
確かに、フライパンで殴られたはずなのに……なんで?
スリー「ツーが回復魔法で治したから、傷も痛みも消えてるはずだ」
ゼロ「ああ、なるほど。それで……」
そこでひとつ、おかしな点に気付いた。
ゼロ(スリー……後頭部が痛いって言ったよね?)
スリーは傷を治してもらえなかったのだろうか?
ワン「むにゃ、むにゃ」
スリー「ちっ、幸せそうに眠りやがって!」
バンッ。
スリーがワンの顔面を踏んづけた。
ワン「ぐぎゃっ」
ワンが断末魔を上げた。
ワン「…………」
そして白目を剥いて気絶した。
ゼロ「ワン!」
慌ててワンの体を揺さぶる。
ワン「……ん? ゼロか?」
ワンが目を覚ました。
ゼロ(良かった……)
僕が安堵する。
ワン「顔が痛い……? おかしいな……。普段はツーが治してくれてるはずだが……まさか!」
ワンが右目の眼帯を押さえた。
ワン「わ、我の顔に異常は無いか……?」
ワンが青ざめた顔で、僕に聞いた。
ゼロ「えっ、えっと……。スリーが踏んづけた跡が残っていますが、それ以外は特に……」
ワン「スリーが……踏んづけた?」
ワンが首を傾げた。
スリー「悪い……嫉妬してやった」
そう言い残すと、スリーは部屋を出て行った。
ゼロ(嫉妬って……)
一体、どうしたんだろうか?
ワン「ふっ、そういうことか」
ワンが何か納得した表情をする。
ワン「奴も年頃の男子。我のような『ダークヒーロー』に憧れるのも止む無し」
ワンが嬉しそうに言った。
バンッ。
部屋の扉が開いた。
ツー「みんな、目、覚めた?」
ツーが部屋に入って来た。
ツー「あら、リーダーはまだ寝てるのね。……ワン!? どうしたの、その顔!」
ツーが慌てて、ワンの元に駆け寄る。
ワン「ん? これか? これは名誉の負傷で……」
ツー「『癒しよ!』」
ツーの回復魔法で、ワンの顔についた靴跡が消えた。
ツー「ゼロ……あんたよくも……」
ツーが僕を睨む。
ゼロ(あれ? もしかして……)
僕がやったと思われてる?
ゼロ「い、いや、やったのは僕じゃなくて……」
僕が慌てて弁明を図る。
ツー「絶対に許さないわ!」
ツーはフライパンを手に僕に襲い掛かった。
ゼロ「ギャー!」
ボコスカ。
ゼロ「…………」
僕は再び意識を失った。




