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魔法学校の悪役令嬢  作者: ああああいい
第21章 教団編―追憶―
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第14話 自己紹介<ワン>

ワン(男性)「我は、コードナンバー『ワン』。全ての始まりにして、頂点。だが……一人では、真の頂には辿り着けない。ゆえに、必要なのだ……共に高め合える好敵手ともが」


 ワンが腰の刀に触れる。


ワン「この刀は、我の……生涯において唯一と言える好敵手ともが使っていた武器だ。この刀に、当時の我は何度殺されかけたことか」


 ワンが刀の話を始めた。

 どうやら、さっき話せなかったのを気にしていたようだ。


?「…………」


 僕は黙って話を聞く。

 僕もまた、話を遠慮したせいで、ワンに悲しそうな顔をさせてしまったことを気にしていた。


ワン「昔の我は、ただ力を求めていた。そのために、善も悪も関係ない。強者と呼ばれていた人間たちに戦いを挑み、殺しまわっていた」


?「えっ」


 あれ? さっき、殺しはしないって言ってたような……


ワン「ふっ、気付いたか。当時の我は、まだ若く……何も考えずに人を殺してしまっていた。それが我が望む『最強』に近づく行為だと信じて」


 スッ。


 ワンが刀を抜いた。


ワン「どれだけ人を殺しても我の心が満たされることは無かった……。そう、強者と呼ばれた人間でさえも、我の敵では無かったのだ。これでは意味が無い。我が望む最強というの名の頂には辿り着けない」


 ワンが剣を構えた。


ワン「そんな中……我はついに出会ったのだ。この刀の持ち主であった好敵手とも――『侍』と呼ばれた剣士に」


 ワンが嬉しそうに笑う。


ワン「好敵手ともとの殺し合いは楽しかった。……我は思った。この殺し合い(じかん)が永遠に続けばいいのにと……」


 カチャ。


 ワンが刀を鞘にしまった。

 ワンの話も、そろそろ終わりに……


ワン「最初の殺し合いは、引き分けで終わった。その次は……」


 ……ん? もしかして、まだ続く?


ワン「……で、我が勝ちを確信した瞬間、まさかの事態が……」


 

 ――三十分後。


ワン「……好敵手ともが言ったのだ。『君とはもっと別の出会い方をしたかった』と」


ワン「そこで、我は言ってやった。『殺し合いが無ければ、そもそも出会うことは無かった。これが我らの唯一無二の出会い』――なのだと」


 話が終わる気配がない。

 いつまで、続くんだ……。


ワン「好敵手ともの刀が我の脳天を捉え……」


 さすがに疲れてきた。

 しかし、楽しそうに話すワンを止めていいものかと……


少女「いい加減にしなさ~い!」


 痺れを切らした少女が手に持っていたフライパンを、ワンの脳天めがけて振り下ろした。


?(すごいジャンプ力だ……)


 少女とワンに大きな身長差があった。

 しかし、少女はそれを物ともしないジャンプ力を見せた。


ワン「……!」


 ワンが背後からの少女の攻撃に反応する。

 そして……


 ――ザシュ。


 ワンが抜いた刀の一撃で、フライパンが真っ二つになった。


少女「ああーー!! フライパンが!」


 少女が絶叫する。


少女「どうすんのよ! これじゃあ、夕食が作れないじゃない!」


ワン「す、すまん。反射的につい……」


少女「謝っている時間があるなら、今すぐ新しいフライパンを買って来なさい!」


ワン「了解した!」


 ワンは、あわててアジトを飛び出していった。


少女「やっと、終わったわ……」


リーダー「ナイスだよ、『ツー』」


 少女とリーダーが、憔悴しきった様子で会話をする。

 彼らも、ワンの長話は堪えたようだ。 

 そして、もう一人。

 殺人を快感と言っていたヤバイ少年は……


少年「ぐー、かー」


 ……ひとりだけ、夢の世界に旅立っていた。

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