第12話 殺人鬼と不殺者
少年「理解できね~」
少年が、僕を見ながら言った。
?「暗殺は人を確実に殺すことが目的――だから、無用な戦闘は避けるのが最善なんです」
少年「それはどうでもいいんだよ。俺はそこの馬鹿みたいに戦闘狂じゃないからな」
どうやら、先程の男性とは別のところが引っかかっているらしい。
ワン(男性)「ふむ。言われているぞ、リーダー」
リーダー(青年)「俺じゃなくて、ワンのことだと思うけど……」
ワン(男性)「ははっ、我の訳がなかろう。なぜなら、我は馬鹿ではないからな!」
男性が堂々と言い切った。
少年「俺が気に食わないのは、お前がナイフを投げたことだ」
少年は、男性を無視して話を進める。
少年「人間の体にナイフを突き刺した際の――あの感触と、噴き出した血の温かさ。あれは、直接ナイフを握って殺さないと味わえない快感だ!」
少年が恍惚とした表情で語る。
リーダー(青年)「うわ~」
ワン(男性)「理解できん」
少女「ふふ、可愛い」
その場にいた全員がドン引きし……。
あれ? 今、一人だけ反応が、おかしくなかったか?
少年「なんで分かんねーんだよ! お前らも同じ人殺しだろうが!」
少年は、不服そうに言った。
?(う~ん。さっきのは気のせいだったのかな?)
僕は、頭を悩ませる。
リーダー(青年)「悪人は殺すけど……。殺し自体を楽しんでるわけじゃないし……」
ワン(男性)「我の信条は『不殺』だ。殺しはせん」
少年「クソが!」
二人の回答に、少年がイラつく。
少女「私は回復担当で、そもそも戦えないわ。……ごめんね」
少年「ツーは、……別にいいさ」
回復担当が一人に、戦闘担当は僕含めて四人か。
僕は、現在の戦力を把握しようと試みるが……
?(実際の戦闘を見てからじゃないと、判断できないよね)
すぐに諦めた。
今は、まだ無理だ。
?(……でも、意外だ)
僕は、男性が腰につけた刀に目を向けた。
?(あんな立派な刀があるのに、『不殺』だなんて)
人は見かけ……いや、得物によらないというべきか。
ワン(男性)「むっ? この刀が気になるのか? いいだろう……、教えてやる。あれは我が……」
?「あっ、別にいいです」
話が長くなりそうだから、遠慮した。
ワン(男性)「そうか……」
男性は、悲しそうな顔をした。




