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魔法学校の悪役令嬢  作者: ああああいい
第21章 教団編―追憶―
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第8話 忘れたくない大切なもの

?「奴隷商人の元にはいかない」


 僕が自身の決心を口に出した。


青年「えっ」


 その言葉に青年が驚く。


?「今も頭の中で声が聞こえるんだ――『よくも裏切ったな。よくも殺してくれたな』――って」


?「このまま、僕だけが幸せになってしまったら、この声が――僕自身が『僕』を許せない!」


?「だから、あなたの手伝いをさせてくれ」


 たとえ、その行為が、ただの『自己満』による慰めで、言い訳に過ぎなかったとしても。

 それでも……


?「お願いです。僕が僕を許せるように……贖罪の機会をください」


 『幸せ』は僕の『心』を救ってくれない。

 それだけは、分かっていたから。


?「この……僕が裏切って殺してしまった大人たち。そして、仲間だった子供たち(みんな)と一緒に教わったこの殺しの技術(ちから)で、人を救わせてください」


 僕は青年に土下座した。

 僕にはこれしかなかった。


?(他の方法じゃ駄目なんだ)


 『この方法』でしか……僕は『僕』が殺してしまった『みんな』に顔向けできない。


青年「駄目だ……と言いたいところだけど、戦ってくれる仲間は多い方がいい。何より君は強い。俺が来る前に、『悪』を倒していたくらいだしね」


?(…………)


 青年の言葉に少しモヤモヤした。


 ブンブン。


 僕は首を振って、そのモヤモヤを振り払った。


青年「それじゃ、俺たちのアジトに案内するよ。……こっちだ」


 青年が踵を返す。

 どうやら、今、向かっていた奴隷商人がいる場所とは、別の場所らしい。


?「…………」


 僕は、手に持っていたナイフに視線を移した。


?「……みんな見ててね。僕は……みんなを殺した罪を償うから。だから、一緒にいて……」


 僕の目から涙が溢れ出した。

 自分で殺したくせに、それでもみんなと一緒にいたかった。


『ああ、見ているよ』


『私たちは絶対に許さない』


『お前が一人が「幸せ」になるなんて、絶対に』


 ……うん。

 僕は絶対に幸せになんかならないよ。


?「だから……この暗殺技術ちからで、他の人を幸せにできるよう頑張るよ」


 これまでは、悪人の願いを叶えるために……お金の対価として、善人を殺してきた。

 これからは、善人を幸せにするために……悪人を殺す。


?「そこには、なんの違いもない。どちらも、『赤の他人』だ」


 どうせ、殺すなら迷惑がかからない相手を。

 僕より辛い目に合っていい『悪』を殺す。


 全ては……僕が人殺し(みんな)を忘れないために。

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