第7話 青年と奴隷商②
青年「……話の続きをしようか」
青年が口を開いて言った。
青年「その後、悪い人間たちと縁を切った俺は、俺と同じような目に合っている子供たちを助ける活動を始めたんだ」
?「今日、僕を助けてくれたみたいに?」
青年「まあね。……そんなこんなで、子供たちを助けようと、とある屋敷に乗り込んだところ……思わぬ人物と再会した」
青年が言葉を溜めて俺を見た。
?「もしかして、奴隷商人?」
僕が聞いた。
青年「正解。彼は、悪い人間……『強盗』の手によって、僕を引き取った夫婦が死んだこと、そして僕が行方不明になったことを、ずっと気にしていたらしくてね。……それ以来、奴隷商人として子供の引き取り手を探すだけでなく、直接、悪い人間のところに乗り込んで子供を助ける活動をしていたらしんだよ。……ほんと、無茶をする人だよ」
言葉と裏腹に青年が嬉しそうに言った。
青年「俺と再会を果たした時も、たった一人で悪い人間たちに立ち向かっていた。……まあ、ちょうど、やられそうになっていたところだったんだけどね」
青年「そこで、俺が奴隷商人の彼と、捕まっていた子供たちを助けたわけさ。……で、今後、彼が無茶をすることがないように、俺は彼と手を組むことにした」
青年「俺が子供を助けて、その子供の買い取り手を奴隷商人が探す……って、具合にね」
青年「……はい、これで俺の昔話はおしまい。これから会いに行く奴隷商人が良い人だってことが伝わったかな?」
?「……うん」
僕が頷く。
青年の話す奴隷商人が良い人なのは分かった。
でも、それと同時に気になることもあった。
?「そんな良い人がどうして奴隷商人なんてしてるんだろう? 他に良い手がありそうだけど……」
孤児院や教会。
正規の手段で子供を引き取ってくれる施設が、この世界にはある。
わざわざ、非正規な奴隷商人を選ぶ理由なんて……
青年「それは、俺と同じだよ。正規の手段では救えない子供たちを救うために、非合法な手段を取ったんだ。例えば、他の悪~い奴隷商人から子供を買い取ったり、俺みたいに子供を金で売るような最低な大人から子供を受け取ったり……ね」
青年「……この世界には悪でしか救えない人たちがいる。だから、俺たちのような悪を裁く『悪』が必要なんだ」
?「…………」
青年の言い分は、一見、正しいように聞こえる。
?(でも……)
どこか言い訳をしている――ように、僕は感じた。




