第22話 予期せぬ来訪者
団員「それでは、私はこれで」
司祭「ええ、ありがとうございます」
私は私を呼びに来てくれた団員に礼を言い、目の前の「客人」の前に座った。
?「よお、久しぶりだな。『司祭様』」
司祭「よしてください。あなたにその名で呼ばれると、むずがゆい」
?「あはは、悪い悪い」
私をからかった目の前の彼は、別の支部で働いている古くからの友人だった。
司祭「それで、『スリー』。わざわざこんな辺境の支部まで来るなんて、何かあったのですか?」
スリー「何かって……。心当たりならあるだろ――『ゼロ』」
スリーの目が怪しく光る。
司祭「……新しく団員に加えた親子のことですね」
スリー「ああ、そうだ。なんでも、その親子……魔法使いの家系らしいじゃないか」
司祭「それは……」
私は言葉に詰まる。
教祖が提示した新たな教義において悪魔の血が流れる魔法使いは悪であり、裁きの対象となった。
スリー「分かってるよな? 魔法が使えないと言っても、その親子には悪魔の血が流れている」
スリー「え~と、なんだっけ? ……ああ、そうだ。『神』だ」
スリーが懐からナイフを取り出す。
スリー「神は悪魔の血が流れる『人間』を殺したがってる――らしい」
ガンッ。
スリーは取り出したナイフを勢いよくテーブルの上に突き刺した。
司祭(駄目……だったか)
私がユナとマイを救うために言った『あの発言』は二人を救うために、咄嗟についた嘘だった。
司祭(回想)『悪魔の血が流れていようと魔法が使えない彼女たちは生贄と足りえない』
司祭(回想)『彼女たちは悪魔の血が流れていながらその血にあらがった……我らが神の祝福を受けた同志に他なりません』
……団員たちはこの言葉に納得した。
司祭(しかし、教祖様は納得しなかった)
教祖様なら彼女たちに同情してくださると微かな希望を抱いていたが……
そう上手くはいかなかった。
スリー「なあ、どうして、教祖の従順な道具だったお前が……教祖が掲げた教義を破ってまで見ず知らずの親子を救ったんだ?」
スリーが疑問を口にした。
司祭「……道具と言っても、もう何十年も会えてませんけどね」
スリー「教祖が嫌いになったのか?」
司祭「まさか! 私は今も教祖様を愛し、慕っています」
どれでけの時間が経とうとも、この思いが変わることはない。
スリー「だよな~。……でも、そうなると、お前が親子を庇った理由が余計分からなくなったぜ」
スリーが首を傾げる。
スリー「……もしかして、一目惚れとか?」
スリーが絶対にありえない――適当なことを言った。
司祭「ええ、その通りです」
私はその適当に乗った。
どうしても、本当のことを言うことは出来なかった。
スリー「話す気なしか……。じゃあ、仕方ねーか」
ズボッ。
スリーはテーブルに突き刺したナイフを抜いて――その切っ先を私に向けた。
スリー「選べ……、お前が悪魔の血が流れる親子を殺すか……。お前と親子……三人まとめて俺に殺されるか」
第20章 教団編―救済―
完。
第22章 教団編―終焉―
――に続く。




