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魔法学校の悪役令嬢  作者: ああああいい
第20章 教団編―救済―
252/296

第15話 私と彼①

 集会後。


団員「これを」


 さっきまで壇上にいたあの団員が水が入ったコップを私に手渡した。


マイ「…………」


 私はコップを受け取ったまま動かない。


団員「無理にでも飲んだ方がいい。少しは楽になる」


マイ「……ゴクゴク」


 言われた通り、渡された水を無理矢理、喉に流し込む。


マイ「ぐ、はっ」


 緊張していた体がほぐれる。

 目の前の団員――彼の言う通りだった。


団員「さっきのことだが気に病む必要はない。初めは誰でもそうなる。……君のお母さんが異常だったんだ」


マイ「…………」


 私が団員を睨む。

 彼が私の身を案じてくれていることは分かる。

 でも、お母さんを『異常』と言われたのには腹が立った。

 ……私もおかしいと思ったけど。


団員「すまない。言葉選びを間違えた。慣れてないんだ。こういうのは……」


 彼が申し訳そうな顔をする。


団員「君は……外の世界を知らずに育ったらしいね」


マイ「うん」


 私が頷く。


団員「辛かっただろう? 自分を閉じ込めた魔法使いを殺……許せないと思ったはずだ」


 彼が言葉を選ぶ。


マイ「ううん」


 それに対して私が首を振る。


マイ「お母さんがいたから辛く無かった。それに外から来た男の人が話相手になってくれたから」


団員「そうか……。君は強いな」


マイ「そんなことないよ。あのナイフを持ったとき……とても怖かった」


団員「ナイフが?」


マイ「違う。私を見るみんなが」


団員「…………」


マイ「…………」


 少しの沈黙。

 今のは話すべきではなかったのかもしれない。


団員「……君は外の世界を知りたいと思わないかい? ここのことじゃない。この建物の外のことを」


 彼が口を開いた。


マイ「……思う。男の人たちが話してくれた外の世界はとても楽しそうだったから……」


団員「そうか……。そのためには勉強をしないとな」


マイ「勉強?」


団員「ああ。外の世界で生きていくには知識が必要なんだ。だから、勉強するんだ」


マイ「あなたも勉強したの?」


団員「したよ。でも、俺がした勉強はこれだ」


 彼はナイフを取り出した。


団員「……子供に見せるものじゃなかったな」


 彼はナイフをすぐにしまった。


団員「司祭様にお話をしよう。……実は司祭様は俺に勉強を教えてくださった先生なんだ。きっと、君にも勉強を教えてくれる」


マイ「ナイフで……人を刺す勉強?」


 私の顔が青ざめる。


団員「違うよ。確かに、俺のときはそうだったが……司祭様は変わられてしまった。今はもう……」


 彼が寂しそうな顔をした


団員「……司祭様は優しくなられた。俺のときとは違う……『勉強』を教えてれるはずさ」


 彼が私を安心させるように言った。


団員「ただ、それでも……。集会のときに魔法使いを刺せるようにならなければいけない。あれは、団員たちの結束力を高めるために必要な儀式なんだ。辛いとは思うが……よろしく頼む」


 彼が申し訳なさそうにお願いをした。


マイ「分かった……。次は頑張る」


団員「ありがとう。君は良くできた子だ」


 彼が私を褒めた。


マイ「んっ」


 私が彼に頭を差し出した。


団員「えっ、と……?」


 差し出された頭に彼が困惑する。


マイ「……女の子を褒めたら頭を撫でる。これも勉強……ということで」


団員「そうか……。教えてくれてありがとう」


 彼が私の頭を撫でた。


マイ「えへへ」


 私が笑った。

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