第14話 踏み絵
団員「それではこれよりこの魔法使いに裁きを行う!」
司祭様のお話が終わり、壇上の団員が再び進行に戻る。
団員「そこの者から順に壇上に上がれ」
団員「はい!」
呼ばれた団員が壇上に上がる。
そして……
グサリ。
団員がナイフを磔にされた魔法使いに突き刺した。
ズボッ。
ナイフを抜いた。
団員「次っ!」
グサリッ。
ズボッ。
団員たちが壇上に上がってはナイフを突き刺す――そして抜く。
それを繰り返していく。
魔法使い「…………」
磔にされた魔法使いは虚ろな目をしたまま無反応だった。
そこで気付いた。
あの人はもう……死んでいるのだ。
団員「次っ!」
ユナ「は、はい!」
お母さんの番が来た。
団員「お前は……初めてだったな。できるか?」
壇上の団員がナイフを手渡しながらお母さんに聞いた。
ユナ「も、もちろんです」
お母さんが青ざめた顔をしながら頷いた。
ユナ「すー、はー」
お母さんが深呼吸をした。
そしてナイフを強く握りしめると……
ユナ「う、うあああ!!」
グサリ。
死体にナイフを突き立てた。
ユナ「はあ、はあ」
ズボッ。
お母さんが死体からナイフを抜いた。
団員「よくやった」
壇上の団員が拍手をした。
パチパチ。
それに合わせて他の団員たちも拍手をする。
ユナ「みなさん……ありがとうございます」
お母さんが嬉しそうに言った。
ユナ「さあ、次はマイの番よ」
お母さんが血まみれのナイフを私に握らせた。
マイ「…………」
私は渡されたナイフを持ったまま固まった。
チラリ。
私が視線をナイフから死体に移す。
マイ(この死体に……女性にナイフを突き立てる?)
私はこれまで地下の暗い部屋の中で過ごしてきた。
外の世界の常識なんて知らない。
それでも、今行われている行為がおかしいことは分かる。
マイ(なんで……)
私は思い出す。
あの暗い部屋で訪れた男性が教えてくれた外の世界のことを。
彼が教えてくれた外の世界はもっと輝いていたはずなのに……
ユナ「どうしたの、マイ? 早くしないと」
お母さんが私を急かす。
団員「…………」
後ろの団員たちが私が女性を刺すのを待っている。
私は……、私は……
司祭「……ここまでにしましょう」
司祭様が私からナイフを取り上げた。
団員「そうですね……次の者!」
団員「はい!」
その後も団員たちによる異常な行為は続いた。
マイ「…………」
私は黙ってそれを見ていた。




