第13話 噓八百②
司祭「魔王の嘘から始まり……今に至るまで嘘で黒く塗りつぶされてしまった教会の歴史」
司祭「我ら『教団』は教会の命により、その嘘を漂白し……白へと変えるのです!」
司祭様がその黒い修道服を翻す。
すると、その修道服は私たちと同じ――『白』へと変わった。
司祭「遥か昔、狡猾な魔王は人間の女性を騙し、自身の体を『奪わせ』ました」
司祭「魔王は神の子である人間を――自身の血が流れる『魔王の子』へと変えようとしています」
司祭「それにも関わらず、良心に満ちた人間たちはこの事実を隠し、魔王の血が流れる魔法使いを――同じ『人間』として扱いました」
司祭「このままでは人間は……世界は魔王の手に落ちていしまいます」
司祭「誰かがこれを止めなくてはならないのです」
司祭様が広間に集まった団員たちを見回す。
司祭「あなたたちはその『誰か』を待つだけの良心を持った善良な人間ですか?」
司祭「それとも、神から与えられた良心を捨てでも、世界を救うために立ち上がる『誰か』ですか?」
…………。
しばしの沈黙。そして……
団員「俺たちがその誰か……『ヒーロー』だ!」
団員「この手を血に染めてでも……魔王から世界を救うんだ!」
団員「そうよ……。そのために私は教会を辞めてここに来たのよ!」
司祭様の言葉に団員たちが叫ぶ。
広間は異様な熱狂に包まれていた。
マイ「お母さん……」
私は怖くなってお母さんに抱きついた。
ユナ「大丈夫よ。お母さんが……そして神様がマイを守るわ」
そう言うお母さんの瞳には叫んでいる団員たちと同じ狂気が宿っていて……
司祭「かつて、魔王は神を騙り――その名を利用し信仰を集めました。今度は我々の番です」
司祭「魔法使いに宿る『魔法の力』。魔王がこの力を使い、人間界と魔界を繋げたように――」
司祭「我々も『つなぐ』のです」
司祭「魔法使いを殺すだけではなく、その魔力を神に捧げることにより――」
司祭「我らが神のいる世界とこの人間界を!」
司祭様が力強くそして宣言する。
司祭「魔王を殺すのはただの通過点。我らが真に成さなければいけないのは……」
司祭「我らが神の――『顕現』です」




