第6話 消えたクッション
コケ「コケ~」
鶏のコケが羽を広げながらゆっくりと降りてきた。
カイト「もしかして、コケって飛べるのか?」
アン「いえ、滑空できるだけです。……よいしょ」
レイの魔法で浮かんでいたアンが器用にコケを受け止めた。
アン「コケちゃんも、もう一回飛びますか?」
コケ「コケ~(もちろん!)」
コケが力強く頷いた。
レイ「それじゃあ、僕たちだけで行こうか」
アン「了解です」
コケ「コケ~」
こうして、二人と一匹は空へと飛んで行った……
*
レイ「いや~、楽しかったね」
アン「はい! スリル満点でした!」
あれから思う存分、空中落下を楽しんだ彼女たちが楽しそうに感想を言い合っている。
カイト「それにしても、これどうするか……」
地上には俺たちの命を救うために出現したクッションだらけになっていた。
マオ「とりあえず、邪魔にならないように一か所に集めたけど……」
何度もレイとアンが飛んだせいで大量のクッションが積みあがっていた。
レイ「どうする? 魔法で燃やしとく?」
アン「それはちょっと危険じゃありませんか?」
なんて会話をしていたら……
コケ「コケ~」
ゆっくりと滑空してきたコケが地面に着地した。
カイト「そういえば、コケのときはクッションが出てこないよな?」
俺が疑問を口にした。
カシオペラ「それは命の危険が無いからです。この魔法は命の危機に反応して出現するので」
カイト「校長!?」
校長が俺たちの前に現れた。
カシオペラ「やれやれ、よくもまあこんなに……」
積み上げられたクッションを見て、校長が呆れていた。
――スッ。
校長がクッションに触れると、積み上げられたクッションの山は一瞬で消えた。
カシオペラ「このクッションは私が消すまで残り続けるようになっています」
校長が説明をした。
カシオペラ「先ほども言いましたがこれは命を守るためにあるのです。決して、遊ぶためにあるわけではありません。……分かりましたね?」
全員「ごめんなさい……。もうしません……」
校長のお叱りを受け、俺たちは素直に謝った。
カシオペラ「分かればいいのです。それではみなさん。……午後の授業で」
――キーンコーンカーンコーン。
午後の授業の開始を告げるチャイムが鳴った。
カイト「やばっ! 急がないと!」
俺たちは慌ててそれぞれの教室へと駆け出す。
マオ「ま、待って……」
足の遅いマオが少し遅れる。
レイ「はいはい。お姉ちゃんに任せて」
マオ「きゃっ」
レイがマオをお姫様抱っこした。
レイ「それじゃあ、貴族クラスの教室まで行こうか。――お姫様」
マオ「うん。……ありがとう。お姉ちゃん」
マオが頬を赤く染めながら言った。
アン「大変ですよ、カイトくん。恋のライバル出現です!」
カイト「いや、俺たちは別にそういうんじゃないから」
俺がアンのからかいを軽くかわす。
そして、俺たちの通う一般クラスを目指して走り出そうと……
カイト「あれ?」
俺があることに気付いて、振り返る。
そこにあったクッションは校長によって全て消され、もう残っていない。
『このクッションは私が消すまで残り続けるようになっています』
校長の言葉だ。でも……
カイト「ロイドが飛び降りた後って……、クッションあったっけ?」




