?―5話 消えた歴史と始まる物語
地下にあった部屋。
そこで俺が見た物は……白骨死体だった。
ロイド「間に合わなかった……」
俺が膝から崩れ落ちる。
白骨死体は二つ。
大きな遺体が小さな遺体を抱える形で死んでいた。
きっと親子だったのだろう。
ロイド「ごめん、ごめんよ」
俺が死体の前で涙を流しながら謝る。
ロイド「俺がもっと早くこれていれば……」
俺の口から後悔の言葉が吐き出される。
ガタン。
死体が崩れた。
そして『何か』がうごめいた。
その何かは俺目掛けて飛んできて……俺の中に入った。
ロイド「ぐああああっ!!?」
俺が叫ぶ。
ロイド(なんだ!? 何が起きた!?)
分からない。何も分からない。
でも、確かに何かが俺の体の中に入って……
ロイド「……!」
異変はすぐに起きた。
ロイド「体が熱い……」
その熱さに耐えきれず服を脱いだ。
ドクン、ドクン。
心臓が激しく高鳴る。
ロイド「なんだよ、これ……」
この体の熱さは……
この鼓動の激しさは……
俺は知っているこの感覚の正体を。
それは……好きな異性を前にしたときに起こる『劣情』だった。
ロイド「白骨死体を見て……興奮したのか?」
そんな馬鹿な。
俺にそんな趣味は無いはずだ。……無いはずだよな?
自信が無くなる。
それくらい俺は今……
ロイド「う、ううっ」
駄目だと分かっているのにこの興奮を……劣情を抑えきれない。
ロイド「もう駄目だ……」
耐え切れなくなった俺はそのまま倒れ込み……意識を失った。
………………。
…………。
……。
暗い地下の部屋で少女は産まれた。
その少女は地下の部屋から出たことはなく、その部屋だけが少女の世界だった。
でも、少女はずっと願っていた。
いつか大好きなお母さんと一緒にこの地下の部屋から出て、外の世界に旅立つ日が来ると。
……残念ながらその願いは叶うことは無く、少女は暗い地下の部屋で命を落とした。
その少女の願いは怨念となり、ずっとこの部屋に囚われていた。
そして、その怨念は今『呪い』となって、この部屋を訪れた一人の青年――ロイドへと憑りついた。
それは決して解けることのない死後の呪い。
その呪いはロイドを未来永劫……いや、過去から未来に届いたその呪いは少女が生きていた時代へ――『過去』に刻み込まれた。
さあ、始めよう。
これは君が俺を救い。俺が君の願いを叶えるお話。
俺が――まだ見ぬ君と出会う物語。
第19章 少年の恋心編。
改め。
第19章 私たちを愛したヒーロー編。
――開幕。




