第10話 最低な人間
道化師(人形)『ツーツー』
レイとの通信が切れる。
オルガ「おびき出し作戦は失敗か」
人形のふりをしてレイに連絡をとったが、彼女を王都から追い出すことはできなかった。
オルガ「まあ、いいさ。私が王都の近くにいない。そう思わせられただけで御の字だ」
道化師(人形)「……」
私の魔法で意識を失った人形はしゃべることなく鎮座している。
オルガ「さて、音声だけでなく、映像も加工しておかないとね」
私が人形の目に手を当てる。
オルガ「……こんなもんかな」
これで今後の通信では嘘の映像がレイに送られる。
オルガ「あとは魔王の転生候補の状態か……」
私が魔王の転生先となってしまった少女の姿を思い浮かべる。
オルガ「相手は古都アルテンシラを治める大貴族……。そのご令嬢……」
殺したあとの隠蔽工作が大変そうだ。
オルガ「いや、それ以上にレイか」
よりによって、レイの友人だったとは……。
本当についてない。
オルガ「……嫌われるかな」
気分が沈む。人を殺す行為よりもレイに嫌われることを恐れるなんて私は相変わらず最低な人間だ。
オルガ「な~に、大切なのは内面じゃない。実際の行動だ」
最低な本心は覆い隠し、外面よく正義を実行しよう。
バレなきゃいい。簡単なことだ。
まあ、レイに嫌われるのは確定だけど。
オルガ「別にいいさ。大切な人に嫌われるのは慣れている」
音信不通になってしまった。妹の姿が脳裏にフラッシュバックする。
彼女は今、元気にしているだろうか?
オルガ「……レイ。友人との最後の時間。悔いの無いようにね」
くれぐれも私のように引きずることがないように。
そして、私のことは嫌いになっても正義を嫌いなってしまわないように。
……そう願った。




