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魔法学校の悪役令嬢  作者: ああああいい
第18章 魂の転移編―後編―
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第5話 見落とし

カイト「はあ~、疲れた~」


 カイトが帰ってきた。


アリス「あら、カイト。おかえり」


 アリスがカイトを出迎えた。


カイト「ただいま。……なんか、機嫌いいな?」


 カイトが不思議そうに聞いた。


アリス「ええ、と~ても楽しいことがあったの」


 アリスが満面の笑顔を見せながら言った。


カイト「レイは……なんか疲れてるな? 大丈夫か?」


 カイトが僕を心配した。


レイ「大丈夫……ではないね。でも、アリスが喜んでくれるなら……まあ、いいか」


 僕がソファーに横になったまま答えた。


アリス「レイちゃん……! 私……嫌がるレイちゃんに酷いことしたのに……それなのに……」


 酷いことした自覚はあったのか……。


アリス「大好きよ、レイちゃ~ん」


 アリスが僕に抱きついた。


カイト「二人は相変わらず仲がいい……ん? そこにいるのは?」


 カイトが僕が持ってきたマオの新しい体に気づいた。


レイ「それはマオの新しい体だよ。ユキノから完成したって聞いて持ち帰ったんだ」


カイト「へ~、いいじゃん。すごくかわいいよ」


 カイトが新しい体の出来をほめた。


マオ「ありがとう。カイト」


 その言葉を受けてマオがお礼を言った。

 いつのまにか、アリスと意識を交代していたらしい。


レイ「その体。ルナに預けに行かないと」


 僕がへとへとになった体に鞭を打って立ち上がる。


カイト「ルナ? ユキノじゃないのか?」


レイ「その体は生きているからね。ルナの収納魔法の中にしまうことにしたんだ。なんでも、あの収納魔法。どんなものでも腐ることなく当時の姿のまま保管できるらしいよ」


カイト「へ~、それは便利だな」


マオ「じゃあ、私たちも収納魔法の中に入って千年後くらいに出してもらえば疑似的なタイムスリップができるのかな? この前見たアニメみたいに!」


 マオが夢のあることを言った。


レイ「それまで、ルナが生きていたらね」


マオ「あっ、そっか。ルナさんがいないと収納魔法の中から出れないんだ……」


 マオが僕の言葉を聞いてガッカリしてしまった。


レイ(夢……壊しちゃったな)


 でも、マオが本当に実践したら不味いし、仕方ないよね。


カイト「じゃあ、俺がこの体。ルナのとこまで運んでくるよ」


 カイトがマオの新しい体を背負った。


レイ「えっ、いや、僕が……」


カイト「な~に、言ってんだよ。レイ。お前、今ふらふらじゃないか」


 カイトの言うとおり僕の足はがくがくふるえていた。

 とてもじゃないが歩けそうにない。


カイト「何があったか分かんないけど、休んどけって」


 そう言って、カイトが僕を寝かせる。


アリス「はい、カイト。女装用の制服とカツラよ」


 ここぞとばかりにアリスが表に出てきた。


カイト「おう、ありがとな」


 カイトが受け取った制服に身をつつむ。


カイト「じゃあ、行ってくる」


 カイトがマオの新しい体を背負ったまま家を出る。


アリス「いってらっしゃーい」


 そんなカイトをアリスが見送った。


アリス「さ~て、レイちゃん」


 アリスが僕の名前を呼んだ。


アリス「さっきの続きをしましょう。ふふ、あっちの姿も新鮮で良かっただったけど、見慣れたその姿も最高よ」


 アリスがうっとりした表情を浮かべながら僕を押し倒す。

 僕のことを『好き』でいてくれるのは嬉しいが、それはそれとして……


レイ「ひ、ひぃーー」


 僕が叫び声をあげる。


アリス「大丈夫よ、レイちゃん。すぐに気持ち良くなるから……さっきみたいに♪」


レイ「それが嫌なんだよーー!!」


 嫌がる僕と、酷いことをしている自覚があっても『好き』を抑えきれないアリス。

 こうして僕は再び彼女に美味しく食べられてしまうのだった。



 *



 …………。


 この日、僕は大きな見落としをしていた。

 魔法学校の入学初日。ルナを病院に運んだあの日……マオはその場にいなかった。

 あれはマオに出会う前の出来事だったのだから。

 それなのに、マオは知るはずのないルナとミカの濃厚な姉妹のやりとりを再現しようとした。

 もしも、この時点で僕がそのことに気づけていれば何か変わったのだろうか?

 うん。分かってる。何も変わりはしない。


レイ「それでも、僕は……」


 このどうしようもない物語が……ハッピーエンドで終わることを願った。

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