第12話 英雄の記憶を持つ少女②
ベル「ここは……?」
気が付くと私は見知らぬ場所に立っていました。
A国の兵士「正義は我らにあり! 悪を討て!」
B国の兵士「全ては祖国の為に! 立ち上がれ戦士たちよ」
C国の兵士「勝利は我らにあり!」
兵士たち「うおおおおおお!!!」
……そこは戦場でした。正義も悪も存在しない、ただ人が死んでいく地獄。
ベル「逃げなきゃ……」
震える足で……何度も転びながら私は戦場から逃げようと走ります。
ベル「死にたくない……」
ボロボロになった体を引きずって私が戦場を這いずり回ります。
ルナ(妄想)「ベルちゃん」
ミカ(妄想)「ベルお姉ちゃん」
大切な二人の顔が脳裏に蘇りました。
ベル「二人に会いたい……」
私が願いを口に出します。けれど、この戦場に二人がいるはずもなく……。私は一人命を落として……。
一般人A「助けて……」
ベル「……!」
誰かの助けを呼ぶ声を聞いて、私が立ち上がります。限界だったはずの体に力が込み上げてきました。
兵士A「うおおおお!!」
一般人A「キャーー!!」
兵士が戦争に巻きまれただけの善良な一般人を殺そうと剣を振り上げました。
ベル「やめて!」
私が叫びながら手を伸ばしました。すると、一陣の風が吹きました。
兵士A『――ザシュッ』
ベル「えっ」
私が驚きの声を上げます。一般人を殺そうとした兵士が真っ二つになったのです。
一般人B「助けてー!」
ベル「……っ!」
私が声のした方向に手を伸ばします。
兵士B「ぐあああああっ」
全身を炎に包まれた兵士が苦しみながら焼け死にました。
……それが何度も繰り返されました。誰かが助けを呼んで。その声に答えるように戦争をする悪い兵士が死んでいきます。
一般人A「ありがとうございます。ベルク様」
一般人B「ベルク様こそまことの英雄でございます」
助かった人たちが私に向かってお礼を言いいました。
ベル「…………」
私が自身の手に目をやります。……その手は血で真っ赤に染まっていました。そう、人を襲おうとした悪い悪い兵士を殺した正義のヒーローは私だったのです。




