第11話 英雄の記憶を持つ少女①
王都でカイトたちに出会ったあの日、私とルナは過去の記憶を取り戻しました。
その時に取り戻した記憶はほんの少しで私はまだ自身の『本当』の正体には気付いておらず、ただ……カイトに再会できたことを喜んでいました。
それから日が経つにつれて過去の記憶が少しずつ蘇り……そして、私は知りました。
自身が伝え聞く英雄――大魔導士ベルクであることを。
ベル「ふ、ふ~ん」
私は鼻歌交じりに寝支度をします。
ルナ「ベルちゃん。嬉しそうだね」
ベル「はい! だって、私はミカが憧れた『大魔導士ベルク』……本人だったんですから! ああ、次にミカに会う時が楽しみです」
私の正体を知ったミカはきっと……
ミカ(妄想)「えっ! ベルお姉ちゃんが大魔導士ベルクだったの!? 凄いよ! ベルお姉ちゃん……だ~い好き」
ベル「うひひ」
大喜びするミカに抱きつかれる妄想をして、私の顔がだらしなくほころびます。
ルナ「ふふ、本当に良かったね。ベルちゃん」
ルナが自分のことのように喜んでくれました。
ベル「ルナ……本当にありがとうございます。こんな私を受け入れてくれて」
私がルナに感謝を伝えます。
ルナ「私の方こそベルちゃん……ううん。『ベルク』が一緒にいてくれて嬉しかった。その……これからも一緒にいてくれる?」
ルナが心配そうに聞きました。
ベル「はい、もちろんです。かつての私がベルク……英雄だったとしても、今のは私はルナの一番の親友『ベル』であることには変わりません。だから、これまで通り……『ベルちゃん』って呼んで欲しいです……」
私がルナにおねだりをしました。
ルナ「ベルちゃん……。うん、分かったよ! ベルちゃん、ベルちゃん、ベルちゃん、ベルちゃん……」
ベル「もう、ルナったら呼び過ぎです」
ルナ「えへへ、ごめんね。嬉しくて、つい」
ベル、ルナ「あはは」
私たちは笑い合いました。
そう、浮かれていたんです。取り戻す記憶は何も喜ばしいものだけでは無いことに気付きもせず……。




