↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
31/32

間話12 魔王と姫の……

 ヒヨシマルがチームメンバーを探しに行き、私(わたくし)と魔王様は二人きりになりましたわ。

 ——チャーンス!

 ここで、一気に魔王様との仲を……

 仲を……

 あら?

 えーっと、どうやって仲良くなったら良いんですの?

 えーっと、えーっと……

 ……あああ、どうしましょう。

 今まで、殿方にこ(・)ん(・)な(・)事(・)を意識して話したことなんて無かったですわ。

 一体、どうすれば良いんですのー!?


「時に、スノウディアどの」

「ひゃい!?」


 いやぁぁ!?

 急に話しかけられて、変な声が出てしまいましたわ。

 魔王様に変に思われたらどうしましょう……


「 そ(・) な(・) た(・)の(・)様(・)な(・)姫(・)君(・)が(・)、どうして探索者などを?」

「——えっ?」


 魔王様が、なぜ私(わたくし)の事を知ってるんですの?


「な、なぜ私(わたくし)が姫だと……?」

「いや今し方、ふと思い出したのだ。そなた、5年前の皇(イースタン)都(・インペリウム)での会合に来ておったであろう?」


 5年前の、イースタン・インペリウム……?

 ふわぁぁぁぁ!?

 そっ、そんな昔の事覚えてらっしゃいますの!?

 私(わたくし)なんてすっかり忘れてましたのに。

 あれは確か、諸侯であるお父様が皇都にお呼ばれした際に、家族みんなで行くことになったのでしたわね。

 そういえば、初めて魔王様を見たのはその時だったかもしれませんわ。

 

「よ、よく覚えてらっしゃるのですね」


 直接お会いしたわけでもないのに、私(わたくし)のことをちゃんと覚えておられたのですね。

 ひょっとして、魔王様は私(わたくし)のこと……

 ああああ。

 なんだか、胸が熱く——


「なに、海馬筋(・)と大脳皮質筋(・)は日頃から鍛えておるからな。記憶力には自信がある」


 ——え?

 今なんて?


「かいば……きん?」

「うむ、毎日の脳トレでその辺りは特に重点的に鍛えておる。最近ではダンベル30kgも行けるようになった」

「そ、そうですの……」


 おっしゃってる言葉がさっぱり分かりませんわ。

 脳トレ?

 脳トレって、計算とか文字のクイズとか、間違い探しとかじゃありませんの?

 ダンベル30kg?

 持ち上げますの?

 どうやって???


「あの時のそなたはもう少し幼かったゆえ、思い出すのに時間がかかった。王族独特の雰囲気(オーラ)がなければ尚の事気が付かなかったであろう」

「えっ……ど、どうして……」


 雰囲気(オーラ)が漏れて……?

 まさか、王隠銀靴(インコグニーティア)の魔法が切れてましたの!?

 とっさに足元へ目を……

 おかしいですわね、ちゃんと機能してますわ。


「ああ、王隠銀靴(インコグニーティア)は私には効かぬぞ。我が眼力はその手の隠蔽魔道具(ハイドクラフト)を貫通する」


 すっ、すげーですわ。

 王隠銀靴(インコグニーティア)の魔法を打ち破るなんて、この国の人間では誰も出来ませんのよ。

 驚いた顔で魔王様を見つめると、魔王様も私(わたくし)を見つめてましたわ。

 ——っ。

 なんだか気恥ずかしくて俯いてしまいますわ。


「ふむ。しかし、よもやここまで美しく成長するとはな……」

「えっ、やっ……そっ、そんな美しいだなんて……」

「謙遜することはない、まさに噂に違わずだ。お父上のウェルホーム殿も鼻が高かろう」

「もう、魔王様ったら、お上手なんですからぁ……」

 

 こんなの、両手を頬に当てて身悶えしてしまいますわぁ。

 ——はっ!?

 こんな、スライムみたいにぐ(・)ね(・)ぐ(・)ね(・)ふ(・)に(・)ゃ(・)ふ(・)に(・)ゃ(・)とするなんて、淑女(レディ)として相応しい姿とは言えませんわ。

 

 ——コホン。


 小さく咳払い。

 姿勢を正して、改めて魔王様に向き合いまして……と。


「あの、魔王様」

「うむ? 何かね?」

「魔王様は……その……お付き合いされてる方とか居られませんの? こんな所で私(わたくし)などを口説いている場合ですの?」


 そこなのですよね……

 いくら舞い上がった所で、魔王様が心に決めた方がすでにいらっしゃったなら、私(わたくし)は身を引くしかありません。

 魔王様を諦めて、他の殿方を探さないといけませんわ。

 ……本当に。

 ……切実に。

 人外との邂逅(お見合い)的に考えて……


「む、口説いたつもりはなかったのだが……確かにそうとも取れるな。失礼した」

「いえ、失礼だなんて……」

「しかし、その心配は無用だ。我には共に想い合う女性(にょしょう)などおらぬ」

「それは……」

「服が無く、ありのままでいる。それは常(・)に(・)隠(・)し(・)て(・)い(・)な(・)け(・)れ(・)ば(・)な(・)ら(・)な(・)い(・)者(・)達(・)にとっては異物でしか無いのだ」

「魔王様、私(わたくし)は……」

「その点、そなたは変わっておる方よな」

「えっ?」

「我に壁を作る事なく接してきた女性(にょしょう)など、数えられるほどしかおらぬ。ましてや妙齢の者となるとなおさらだ」

「……お嫌でした?」

「いや、むしろ好ましく思う……ありがとう姫よ、これからも良き友人でいて欲しい」

「魔王様……もちろんですわ」

 

 そこは友人止まりですのね。

 いいえ、まだまだこれからですわ。

 なんとしても魔王様には、私(わたくし)に惚れていただきますわ。

 ……正直どうしたら惚れてもらえるのかなんて分かりませんけど。

 いっそ私(わたくし)から……いえ、淑女(レディ)がそんなはしたないこと……恥ずかしくてできませんわ。

 お母様も、お父様から求婚されたわけですし、殿方が淑女(レディ)に求婚するのが筋というものですわね。

 

 それにしても、もう、なんでこの方は全裸なんですの?

 これさえなければ、人柄も何もかも申し分ありませんのに。

 こうなったら子分(ヒヨシマル)に絶対、魔王様の服を作らせなければなりませんわ。

 お尻を引っ叩いてでも作らせてやりますわ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。