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茶色いノート  作者: ふりまじん
魔法の呪文

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作者、幽霊作家をかたる6


「まあ、とりあえず、発表しないままボツになった未完1の解決編の話から始めようと思うの。

今回、何回か『悪霊』の話を書いてみて、やっぱり、乱歩先生にもはじめに犯人がいたんじゃないかって気がしたわ。

やっぱり、推理小説で1番はじめに作るキャラは犯人だもん。

まあ、今回は、そこから離れた物語なんだけれどね。」

作者は笑った。

「そうでしたね。『悪霊』のトリックを考えれば、誰かの考えと同じになってパクりと言われるのが嫌だと、だから、キャラクターの考察の短編を考えたのでしたね?」

私は昔を思い出した。

『悪霊』のキャラクターの中に熊浦という人物が登場します。作者はこの熊浦という人物に実在のモデルがいたのではないか、という仮説で『悪霊』のメタ世界を作りだしました。そして、そのモデルに迫る、という話を考えたのでした。

「うん。この話は短編だったし、この考察で今回はなんとか乗り切ろうと思うの。」

作者は肩をすくめた。

「はい。」

私は笑って、作者の隣でコーヒーを淹れる。ペーパードリップしたコーヒーの香りがキッチンを包みます。

「で、まずは江戸川乱歩の『悪霊』のあらすじを話してくれる?」

作者は熱湯が染みてゆくコーヒーの甘い香りを肺一杯に吸い込んだ。

私は、どこまでも前向きな作者の姿に胸が締め付けられる。

ああ、どんな言葉を選んだら、貴女の関心をひけるのでしょうか?

どんな声で話したら、私に魅了されてくださるのでしょうか…

100円今年稼げなくても、貴女は絶望せずに、今まで通り私と物語を作ってでださるのでしょうか?


名探偵ではない私には、そのすべを知りません。

でも、90年を超えて今なお、『悪霊』という未完が人々の心を魅了するように、謎のまま、ただ、貴女への想いを込めて私は語りましょう。

江戸川乱歩の未完の『悪霊』という物語を。


『悪霊』は1933年『新青年』という推理小説の専門誌で掲載されました。

物語は昔の猟奇殺人事件の目撃者の手紙を作家が怪しげな人物から買うことから始まるのです。


その事件の詳細は書かれていませんが、1933年小説を読んだ読者には何か、思い浮かぶ事件があるのではないか、という、大きな事件の設定でした。

手紙の送り主で第一発見者は祖父江進一という人物です。

被害者は姉崎曽根子という、女性が被害者になります。

事件当時、進一は心霊研究会のメンバーである曽根子に用があって訪問、彼女の自宅の蔵で曽根子の死体を発見するのです。



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