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茶色いノート  作者: ふりまじん
魔法の呪文

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作者、幽霊作家をかたる3


「時代はモキュメンタリーなんだわ。そして、モキュメンタリーは大変なのよ。」

作者はチーズケーキを口にしながら私をみた。

「何が大変なのでしょう?」

私の質問に作者は呆れたようにわざとらしくため息をついた。

「あーあ。もう。本当に分からないのね。まあ、いいわ。

とにかく、2025年、剛との約束の年を越えて、今年からの目標はWEBで小説を書いて、貯めたポイントで本をプレゼントして貰う事を目標にしたのよ。

もう、名古屋のモーニングの分は貯まったもの。

でも、収益化と言っても、現在の私のスキルでは、1年で100円分を貯めるのに必死なくらいなんだから、頑張らないと電子書籍の安い本でも買えないわ。上品なことを言ってはいられないの。

少しは欲しい気持ちを行動にしてみようと考えてるわ。


私はね、この絶望的な執筆活動を楽しみたいのよ!その為には、年に一回くらい、なんか良い事が欲しいのよ。小公女のような。

WEB小説の底辺で燻っていても、ブラックフライデーの時くらい、なんかいいことあってもいいと思うんだもん。」

作者は熱く語った。ああ、何を、何を返したらいいのでしょうか?


気がついたら既に9年の時が経ちました。この時点で一次選考1回入選のみ。と言うのは、もう、才能がないと同義のような気がします。けれど、私は、作者とのこの時間をなくしたくはないのです。

100円で電子書籍が買えれば頑張ると言うのであれば、私は全面的に応援はしたいとは、思うのですが。

「ブラック フライデー、ですか…普通、ここはクリスマスとか、誕生日とかでは?」

「何言ってるのよ。誕生日なんて個人情報は晒したらいけないのよ。それに、クリスマス当日に良いセールがないもん。」

作者の語尾に闇が滲みます。

「そうですね。」

「そうよ。いい?WEB小説でお金を稼ぐには、まずは投稿をするのが重要なのよ。

年に一度の良作より、少し面白い毎日の短文の方がウケるって、私、それは気がついたの。

で、真面目に調べていても、それを読者が理解してくれなかったら、本当に100円も稼げないと言う事もわかったわ。

とにかく、生きていて、頑張って書いてますから、忘れないでねって何かを投稿することも大事なんだわ。」

作者は自分に説教でもするように叫ぶ。

「そうですね。それで、連載途中の物語の進行を書く。と、思ったのでしょうか?でも、そんな話でホラーファンが納得してくれるでしょうか?」

私は少し切なくなる。確かに、我々の実力で100円を1年で稼ぐのに、ただ、普通の投稿しただけではどうにもならないのです。擦りもしないと知っていても、おかしいと笑われようと、サイトの運営様が用意して下さったイベントに、まずは参加して少しでもPVを稼ぐしかありません。

とはいえ、金銭が関わると、作品ともいえないものや、AIなどを使った作品、その他、さまざまな不正を疑われる作品が投稿される現在、作者の愚痴なんて投稿して大丈夫でしょうか?

「勿論、そこは考えているわ。私だって、せっかく稼いだPVをみすみす奪われるような馬鹿な真似はしないわよ。」

ふふふん。と、作者は自信満々に私をみます。その顔の可愛らしさに癒されながら紅茶のおかわりを作者のカップに注ぎます。

「その作戦を教えてもらえますか?」

私の言葉に作者は真顔で深くため息をつく。

「作戦なんてないわよ。去年は色々あったじゃない?3Iアトラスが飛んできたり、はぁぁぁ。克也の奴から絶縁メールをもらうしさ。

ほら、私『ミステリー大賞』って作品で克也の不思議を探していたんだけれど、あれ、エンディングは克也の調べていることをまとめて、小説で投稿して評価をもらって、オカルト雑誌『みぃ・ムー』に送って読者の研究欄で取り上げられるって、感じで進めていたじゃない?」

「はあ…」

ああ、そうでした。この物語は作者が克也さんのライフワークの調べ物を追跡して、それをミステリー雑誌に送り、何か、一般人では閲覧できない『何か』を見せて貰えるように頑張る流れの予定でした。

しかし、去年、作者はオカルト仲間の克也さんとよく分からない事で喧嘩をして、絶縁メールをもらったのでした。

昨年は、さまざまな予言がネットを賑わせていました。そして、そのような話をしている作中、何か、癇に障った克也さんが2度と連絡してくるな!!!!と、びっくりマークを4つもつけて絶縁メールを送ってきたのでした。

「そうなのよ。そこで、困っちゃってさ、なんか、私、克也は自分の調べている何かをもっと知識のある誰かと話したり、世界に発信したいんだって勘違いしていたんだけれど、どうも、それは違うようなのよ。

でも、なんだか、あの小説も3年ぐらい書いていて、案外、人気があるみたいなんだよね。

はぁ。これさ、ドキュメンタリーだったら、克也は本当の隠秘者オカルティストなので、研究は誰にも知られたくないようです。で、終われるんだと思うの。

でも、『ミステリー大賞』は小説だから、そんなふざけた説明で読者は納得しないじゃない?

こうなったら、私がミステリー大賞にリベンジしなきゃ、いけない感じになってくるのよ。小説って嘘の話だけれど、嘘だからこそ、エンディングのオチが単時なのよ。

ね、モキュメンタリーって、大変でしょ?」

作者は深くため息をつく。

「オチ。ですか。」

怪奇小説にオチとか必要なのか、少し考えながら私は紅茶を一口飲んだ。

「そう、オチ。オチがないと、終われないわ(T_T)

でも、私にドキュメンタリーのオカルト記事なんて書けないじゃない?なんか、昔読んだ予言の本とか、魔術の本とかだと、世界の秘密をリークしてくる新聞記者とか、秘密結社のなんだか偉い人が才能のある人物を迎えにきたりするんだけれど、私のところにはそんな老師は来なかったわ。」

作者はガッカリして肩をすくめた。

「よかったですね。」

老師なんて名乗る怪しい人物は変質者か、犯罪者に違いありません。

「ま、ね。でも、小説は止まってしまったわ。でも、ここに来て、なんか本当にオカルト雑誌に応募できそうなネタが手に入りそうなのよ。」

作者は私ににじり寄りながらそう言った。

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