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森の入り口に3人で瞬間移動すると、何やら取り込み中のようだった。
人間(?)の騎士風の鎧を着た数十人の男達が魔族のボンキュッボンの女性とぬいぐるみを胸に抱いた幼女を取り囲んでいた。見るからに厄介そうな状況だなこれは。
おっさん達に気がついていないのか、状況は進行していく。
「ようやく捕まーえた」
男達の中で一番大柄で豪華な鎧を着た男が魔族の女性に近づいていく。
「奈落の樹海になんて逃げ込もうとしやがって、こんなとこに来るなんて血迷ったのか?」
おっさんの住居がある場所は相変わらず酷い言われようだ。もう気にしないけどね。
「そっちこそよくもこんな場所にまで、たかだか魔族二人を遠路遙々追いかけてきたものじゃな」
ボンキュッボンの女性が皮肉気味に男に言い返していたが、かなり消耗しているようだった。
「ただの魔族ならな。魔国の重鎮であるお前さんと魔王の娘というビッグなゲストだ。この情勢で逃がす方がおかしいだろう?」
嫌らしい顔をしながら、ボンキュッボンの魔族の女性を舐め回すように見ている。
「隊長、楽しんだら俺たちにもヤラせてくださいよ。こんな上玉久しぶりだぜ」
下品な笑い声をあげながら、ズボンの股間の部分が大きく膨らみ始めた。
「ゲスどもが・・・」
ボンキュッボンの魔族の女性が軽蔑した眼差しを向けている。
「酷い言いようだな。だがこれは戦争だからな、恨みっこなしだ。へへ、せいぜい楽しませてもらうぜ」
囲んでいた男達が徐々にその距離を縮めていく。ボンキュッボンの女性は幼女を胸に抱いて迎撃の準備をしている。しかし分が悪そうだ。
さて向こうの話しが一段落したようなので、非常に不本意だが声をかけるこにする。
「えーと、そちらさんの話しは終わりましたか? それで森の入り口でおっさんのことを近所迷惑を顧みずに大声で連呼してた人は誰ですか?」
声をかけるとそれまでおっさんの存在に気がついていなかったみなさんが、一斉にこちらを向いた。
「誰だ貴様は? いつからそこにいた・・・?」
一番豪華な鎧を着た大柄の男がおっさんの方を向いて驚いた表情をしていた。
「いつからと言われても・・・始めから?」
そう言うと驚愕の表情を浮かべた。
「始めからだと? 気配を全く感じなかったが・・・」
「それはあんたの気配察知能力が低いからじゃないの? 鍛練が足りないのではないか?」
その言葉を聞いたは男は顔を真っ赤にして激昂した。器の小さそうな男だ。
「どこの誰だか知らんが、この俺様相手に随分と舐めた口をきくじゃーないか」
なんか面倒くさそうなタイプだな。早くもここに来たことを激しく後悔してきた。
「おっさん殿!」
微妙な空気を切り裂くかのように、魔族のボンキュッボンの女性がおっさんの名を叫んだ。
頬を赤らめ潤んだ瞳でおっさんを見つめるボンキュッボンの魔族の女性を凝視して、一言。
「あなたどなた?」おっさんの一言で場になんとも言えない空気が漂う。
「妾のことを忘れたというのか? 半年前にあったじゃろうが!」
前のめりになりながら、ボンキュッボンの魔族の女性が鼻息を荒くして焦ったように言った。
半年前? 半年前といったら招かれざる客が来たことくらいしかイベントはなかったはずだが・・・はてこんな魔族の女性はそのときはいなかったはずだが?
おっさんが本気で半年前の記憶を辿っていると、ボンキュッボンの魔族の女性が酷く焦ったように言った。
「本当に覚えておらんのか?」
ショックだったのか、項垂れている。
うーん、「妾」という一人称とやたらと年寄りくさい言動・・・まさか!
「あんたあのときのロリババアか?」
確かに本来の姿はボンキュッボンのナイスバデイとか自分で自慢げに言っていたし、マジか・・・本当に大人の姿になるのか。
「思い出したようじゃな! ロリババアという言葉の意味が気にはなるのじゃが、良かった」
そう言うと酷く安堵したように脱力した。
「俺様を無視してんじゃねーよ! まあいい、ところでおっさんよ~この魔族と知り合いか?」
無視されたあげく除けものにされている偉そうな男が、兵達にハンドサインを送った。ロリババアを囲んでいた男達の半分が、サインを見ておっさんの方にやって来る。
「知り合い? いえ、初対面です。ではおっさんはこれで失礼します。あとは皆さんでごゆっくりどうぞ」
そう宣言して踵を返そうとすると、ロリババアが悲痛な叫びをあげた。
「待て~初対面じゃないじゃろう! 先程半年前に会ったと言うたではないか!」
チッ、失言だったな。その間にも男達が武器を抜いて構え始める。
「どうやらこのおっさんはそこの魔族と少なからず関係があるようだ。ついでに詳しく話を聞こうじゃーねえか、じっくりとな」
はあ~やっぱり厄介ごとだよ。話し合いが通じる相手じゃなさそうだから、さっさと処理して帰ろう。
空気の塊を親指と他の四本指で握り込み、親指の力で空気を弾き飛ばす。俗に言う「指弾」である。
いきなり隊長と呼ばれていた男の頭がぐしゃっと弾け飛ぶ。頭部の中身が辺りに散らばり、頭を失った体がゆっくりと後ろに倒れる。
男達の歩みが止まり、その後方ではロリババアが口を半開きにして何とも間抜けな表情をしている。
「隊長~!」、「クソ何が起こったてんだ!」、「おい、どうすんだよ!」、「うるせい!」
大の男が慌てふためく姿、端から見ているとなんとも滑稽な光景だな。
おっさんの横で待機していた虎鉄と小雪が同時に「ウァオーン」と咆哮した。大気が震える、音圧ってやつか。
遠吠えが周囲に響き渡ると、おっさんに接近してくる男達の体がいきなり爆発したように弾け飛んだ。周囲はさしずめ地獄絵図。緑の草原に肉片の赤が映える。不謹慎だけどね。
さっきの二人の遠吠えは「共鳴」かな? 音魔法も絡めて使用していたみたいだけど。
おっさんの足元では二人が誉め待ちです。まだ男達が残っているので頭を撫でるだけで勘弁して下さい。
二人の頭を撫で終わってロリババアの方を見ると、胸に抱いた幼女にこの惨状を見せないように目隠しをしている。ロリババアの周囲を囲んでいた男達は見事に顔面蒼白、脂汗をダラダラ流しながらカタカタと震えている。
おっさん達が足を進めると男達が口々に「来るな!」と連呼している。嫌だな~おっさんを化け物みたいに言わないでくれよ。名誉毀損で訴えるよ。
「おい、それ以上近づくな! 俺たちに手を出してみろ、この魔族を殺すぞ!!」
ロリババアに剣を突きつけながら喚いている。そんなに喚いてばかりだと喉がかれるよ。
足を止めて再び指弾を今度は連続で放つ。ロリババアを囲んでいる男達の頭部が脳みそをぶちまけながら弾け飛ぶ。手はだしてないよ? 指はだしたけどね。
周囲がなんとも血生臭い感じになってしまった。おっさんがそう思っていると草原は燃えずに、肉片だけが一瞬にして高温の炎で焼却された。どうやら虎鉄がおっさんの意を汲んで行動してくれたようだ。
虎鉄がドヤ顔でこちらを見てくるので、膝を折って目線を合わせお礼代わりに全身をわしゃわしゃした。それを見ていた小雪がおっさんの背中に抱きついてきたので、しばし三人で戯れました。
戯れタイム終了。それじゃあ、厄介事の元凶に改めて顔を合わせに行きますか。
あー行きたくないな・・・この気持ちは週明けの月曜日の会社に出社するとき以来だ。




