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一番重要な用件の後で魔王がおっさんに世界情勢に関する話をしようとしたので、興味がないという理由で丁重にお断りしておいた。

下手にそんな話を聞かされたら絶対ろくなことにならない。さわらぬ神に祟りなし。

「う・・・ん」

どうやら魔王の後ろでのびていた上級魔族達が意識を取り戻し始めたようだ。またアレかな、いきなりおっさんに敵意むき出しパターンかな? 対応できるように一応軽く臨戦態勢はとっておこう。

数分後、おっさんが威圧(?)して気絶させたヤツ以外の全員が目を覚ました。意識が戻るとすぐに周囲の状況を確認しようとキョロキョロしておっさんと魔王を視界におさめた。

すぐに戦闘態勢に入った上級魔族達だったが、魔王の怒声でビクッとして固まった。魔王さんや、急に大きな声を出さないでおくれよ。ちびっちゃうじゃないか。

その後魔王は部下達が意識を失っていた間の経緯を説明していたが、途中で部下達の顔を熊師匠の方に向かせて何か言っていた。熊師匠を見た魔王の部下達は顔面蒼白でガクブル状態に陥って、それから魔王の言葉に首を激しく縦に振りまくっていた。

ひとしきり説明が終わり自分達がおかれている状況が理解できたようで、さっきまで魔王とお茶してたテーブルでおっさんがのんきに紅茶の2杯目を飲み始めた頃に魔王が部下達を引き連れて戻ってきた。

「部下達が失礼な態度をとってしまい申し訳ない」

魔王がおっさんに頭を下げて謝罪したのを見て、後ろに待機していた部下達も同じように頭を下げた。

「いえいえ、気にしないで下さい。むしろその人達の反応は正しい。自分達の上司の前に得体の知れないおっさんがいたら普通は警戒しますよ」

ホント部下思いのイイ魔王だな。おっさんもこんな上司の下で働きたかったな~

魔王とその部下達に座って待つように言って、人数分の紅茶とお茶菓子の準備をする。

え? 何か手伝えることはないかって。大丈夫です、座っていてください。お客さんにそんなことさせれません。まあ、今のところ「お客さん」だけど。

新たにお茶セットを準備していると足元に虎鉄と小雪がすり寄ってきた。

うん、どうしたの? もしかして遊びたい感じですか。

そう聞くと二人は目をランランに輝かせて、尻尾をブンブン振りまくった。

あ~ごめんね。今一応こっちの世界に来てから始めての来客(?)対応中だから、遊んであげられないんだ。

おっさんの返答を聞いた二人は耳と尻尾が下がり、明らかにテンションダウンした模様。あの人達が帰ったら遊ぶから今は我慢してくれ。

そう言ってお茶菓子を数個あげると少しブーたれながらも「仕方ないな~」という感じで、お茶菓子をくわえて熊師匠の方に駆けていった。

熊師匠に軽く会釈をして虎鉄と小雪の相手をお願いする。

熊師匠は片手を上げ「ぐぅあ~」と一声鳴いて快く引き受けてくれた。熊師匠は本当に頼りになる。

新しい紅茶とお茶菓子を持ってテーブルに戻ると、何やら魔王がモジモジしている。

それぞれに紅茶とお菓子配り終えたところで魔王がもうダメという雰囲気をかもし出して立ち上がって言い放った。

「すまない、トイレを貸してもらえるだろうか」

「あ、はいどうぞ」

トイレを我慢してたのね。だからモジモジと落ち着きがなかったワケね。魔王をトイレの前まで案内して元いた部屋に戻ろうとすると魔王に呼び止められた。今度はどしたの?

「重ね重ね申し訳ないのだが、このトイレはどうやって使えばよいのだろうか?」

この世界のトイレ事情について詳しく聞いてみると、トイレの造形は似ているが水を流す際は微弱な水魔法が付与された魔法石に魔力を通して流すらしい。トイレットペーパーぽいものもあるらしい。しかし下水施設や浄化槽関連の設備はそれほど充実しておらず、汚水や悪臭が問題になっているらしい。ちなみに温水洗浄便座はないそうです。

一通り使い方をレクチャーしたのでごゆっくりどうぞ。

部屋に戻ってみると、上級魔族3人がお茶菓子をムシャムシャとほうばっていた。というかもう用意してあった分が空になっている。おっさんの姿を確認すると何か言おうとしたようだが、口にまだお菓子が残っているようでハムスターのように両頬が膨らんでいる。

「よければまだありますから、食べますか?」

両頬を膨らませた状態で首を上下に振った。

気に入って頂けてなによりです。お茶菓子の追加分を用意していると廊下の方からドタドタと魔王が凄い勢いで戻ってきた。今度は何?

「おっさん殿、アレは・・・あの温水洗浄便座というものは素晴らしい!」

興奮を隠せずに開口一番、温水洗浄便座を絶賛した。絶賛するだけでは飽き足りず部下を連れてトイレで温水洗浄便座の素晴らしさを熱弁していた。便だけに!

その後がさらに大変だった。温水洗浄便座を魔国に設置したいと交渉してきた。あの~おっさん俗世には関わりたくないって説明したよね。え、確かに製作者はおっさんですけど・・・製造法を教えて欲しい? えと、スキルで作ったから製造法と言われても説明できません。定期的に作って魔国に卸して欲しい? お金は払うって。いや、お金もらってもおっさん使い道ないし。

その後も魔王との温水洗浄便座議論は続き、とりあえずおっさんが「検討する」という形で幕を閉じた。

で、結局なんの話をしてたんだっけ? 


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