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いまだに意識が戻らない上級魔族四人組に「クリーン」の魔法をかけて綺麗になってもらい、部屋の隅に下ろしておく。

自分を含む虎鉄、小雪、熊師匠は各々クリーンをかけてから室内に入ってくる。みんな意外と綺麗好きです。

その光景を見ていた魔王も自らクリーンをかけて入室してくる。

リビングにある椅子にさきに座っているように声をかけて、虎鉄と小雪にミルクと朝食(準備してあったもの)をあげる。

熊師匠はすでに朝食は済ませたそうなので、お茶とお茶請けを渡す。

ちなみにログハウスは熊師匠クラスの方々が入室することを前提に大きめサイズに作ってある。リビングには熊師匠専用のソファーも置いてある。

熊師匠のお茶の好みは渋く、一番のお気に入りは玄米茶。お茶請けは固焼き醤油煎餅。

おっさんと魔王の分の紅茶とお茶菓子を持って魔王の対面に腰をかける。

物珍しそうに室内を見渡しているが顔面を蒼白にして冷や汗をダラダラ垂らしている魔王。

おっさん、お茶とお茶菓子を勧めて少しでもリラックスしてもらおうと努める。

お茶菓子はおっさんこだわりのブ○ボンに似せたお菓子のアソートである。ル○ンド、ホワイト○リータ、ルー○ラ他各種である。

あまりにもおっさんがお茶菓子を執拗に勧めるものだから、魔王が空気を読んで食べてくれた。

お菓子を口に入れた途端に驚いた表情をして「上手い」と言ってくれた。

おっさん心の中で会心のガッツポーズ!

これで少しは落ち着いてくれるだろうか? 

「先程の続きということで、何しに我が家に来たのですか?」

さっき中断した一番大事な問いの答えを聞こうじゃないか。

少し状況になれた魔王が深く深呼吸をして弁明を始めた。

「我々がここを訪れた目的は、ここ、奈落の樹海で焚き火の煙が目撃されたという情報の真偽の確認だ」

え? なにそれ。目的が焚き火の真偽の確認? 焚き火くらい誰でもするでしょ。元いた世界では色々と厳しくなって気軽にできなくなったけど、流石にこの世界では大丈夫でしょ。それとも森林火災の問題か? でもこの森の樹木って焚き火程度の火じゃ表面すら焦げないレベルの強度だけど。全く意味がわからん。

おっさんがなにも言わないことで魔王にとって重い沈黙が訪れていた。

「あの・・・」

こちらの顔色をうかがうようなかたちで魔王が勇気を出して沈黙を破ってきた。

「ああ、申し訳ない。ここに来た理由の意味がよく理解できなくてフリーズしてた。焚き火の煙が何故目的になるんだ。焚き火くらいするだろう。一体何が問題なんだ?」

おっさんが本気で理由がわかってない表情をしていたのだろう、今度は魔王が困惑した顔をした。

「気を悪くしないで聞いてほしいのだが、この森にモンスター以外の生物はこれまで一度も確認されていないのだ。ここは本当に危険地帯で誰も近づかない場所なのだよ。我々のレベルでも樹海の浅い場所で運が良ければ生き残れるかどうかという感じだ。そんな場所に営みの証である煙が数度目撃されたのだ、一体どのような生物が存在しているのか確認することは国を治めるものとして当然のことなのだ」

おっさんが住んでる森ってどんだけ危険地帯なの? 魔王が森の浅い場所で運がよければ生き残れるって、魔王って意外と弱いのか? 魔王と言えばおっさんの個人的なイメージではかなり強い感じなのだが。

この森しか比較対象を知らないからよくわからないが。

ん、ちょっと待てよ。

「浅いところで危険ならあなた達はどうやってここまで来たんですか?」

そうだよ、なんでここに生きた状態でいるんだよ。当然の疑問を投げ掛けた。

「情けない話なのだが気配を消し姿を隠す魔法を駆使して中層に到達したのだが、そこで植物に擬態する鳥獣型モンスターに幻惑系統の魔法をかけられて意識を失い、気がついたらモンスターの巣の中で雛のエサになるところを命からがら逃げて無我夢中で走っていたらここについていたのだ」

魔王が若干恥ずかしそうに頬をかきながら、そう説明してきた。

おっさんの自宅があるこの場所は森の最深層らしい。もう考えないようにしよう。

「ここに来た目的は一応わかりました。それであなたがたはこれからどうするつもりですか?」

これも重要事項。はてさてなんと答えるかな?

「まず我々としてはあなたと敵対するつもりはありません。かりに敵対したとしても一方的に蹂躙されるだけです。あわよくば魔国に取り込めたらと考えもしましたが、それも不可能でしょう」

ほう、なかなかパニック状態でも考えをまとめているな。さすが魔王。

「逆に質問なのだが、我々の処遇はどうなるのだろうか? その、生かして返してもらえるのだろうか」

生殺与奪権が完全におっさん側にあるワケだが・・・

「そちらに敵対意思がないならおっさんとしてはあなた方を殺すつもりはありません。むしろおっさんとしては世俗には興味もないし関わりたくないので、未来永劫この森から出る予定はないです。ただこの生活を害するものがいれば実力行使で排除します」

ほんと異世界に来てまで面倒ごとはごめんこうむる。スローライフ命!

おっさんの回答を聞いた魔王はかなり安堵しているように見えた。

魔王との話が一段落したところで、上級魔族達が意識を取り戻し始めた。


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