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リヨンの高校生たちの群像劇  作者: Red Baron
イザベルお姉さんのマナー講座(中編)
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お茶会の約束と勇気を出した告白

放課後の夕方。

校門の前には、憧れのイザベルお姉様に直接お話を聞く約束を取り付けるため、クロエ、エロワーズ、ジュリエットの3人が緊張と期待の入り混じった面持ちで待機していた。その少し離れた場所では、アンドレ、セシル、ルイ、マリアの4人も、アンドレの帰宅に付き添う形で一緒にその場に並んで待っている。

「なあ、本当にすぐ来るのかな……」とルイが少しソワソワしていると、「もう、そんなに落ち着きなくしないでよ、ルイ」とマリアが呆れたように小さくため息をつく。セシルは「でも、みんなでイザベルさんにお会いできるの、なんだいわくわくするね」と柔らかな笑顔を浮かべていた。


その時、夕暮れの街路にひときわ映える鮮やかな赤いプジョー308GTが滑らかに近づいてきて、校門の脇に静かに停車した。

運転席のドアが開き、スッと降りてきたのは、アンドレの姉であるイザベルだった。

身長177センチのすらりとした長身に、美しい明るいブラウンのロングヘアが揺れ、アンドレとお揃いの少し灰色がかったヘーゼルの瞳が知的かつ穏やかに輝いている。24歳という年齢が醸し出す大人の余裕と洗練された雰囲気があり、今日の服装は昨日までのきっちりとしたかっちりスーツではなく、洗練されたお洒落なカジュアルスーツ姿で、より一層親しみやすさと格好良さが際立っていた。


車の音に気づいて弟の姿を見つけたイザベルは、ふっと優しい笑みを浮かべてアンドレに声をかけた。

「アンドレ、待たせたわね」

そして、その周囲にいる面々へと視線を向け、以前会ったことのあるセシルに「セシルちゃん、久しぶりね。元気だった?」と声をかける。さらに、初めて顔を合わせるルイとマリアに向かって、「はじめまして、イザベルよ。いつも弟がお世話になってるわね」と気さくに挨拶した。

するとルイは、少し照れくさそうにしながらも、胸を張ってバッグから小さな包みを取り出した。

「あ、あの! 俺、ルイっていいます。これ、午後の授業で作った手作りの革のバラなんですけど……よかったら受け取ってください!」

イザベルは目を丸くし、「わぁ、すごい……! 手作りなの? とても綺麗ね、ありがとう!」と嬉しそうに受け取る。

それを見たマリアも負けじと一歩前に出て、灰色の瞳をきらめかせた。

「初めまして、マリアです。イザベルさん、娘さんが動物好きだってアンドレから聞きました。実は私、カメレオンが大好きです!」と、ちゃっかり自分の得意分野をアピールして宣伝する。イザベルは「ふふ、動物好きなのね。ぜひ今度エマにも教えてあげて!」と快く微笑んだ。


賑やかなやり取りの輪の端で、いよいよ本題の機運が高まったと感じたアンドレが、クロエたちにそっと目をやった。

「姉ちゃん、実は……彼女たちが姉ちゃんに話があるってさ」

アンドレに促され、クロエ、エロワーズ、ジュリエットの3人が一歩前に進み出た。

「ごきげんよう、イザベルお姉様。わたくし、クロエ・ド・モンフォールと申しますの。こちらはエロワーズとジュリエットですわ」

クロエがお嬢様らしく上品に挨拶をした後、本題を切り出した。

「それでね、お姉様……! 私たち、今度のお休みに『大人の女性』になるための素敵なお話を聞かせていただきたくて……いつならお時間をいただけますかしら?」

直球で熱意を伝える3人の姿に、イザベルは少し驚いたような、しかしとても嬉しそうな笑みを浮かべた。

「ふふ、私でよければ喜んで! そうねぇ……。じゃあ、日曜日の午後、この学校の最寄り駅で待ち合わせをして、私の行きつけのカフェでお茶でもしながらゆっくりお話ししましょうか」

イザベルが具体的な日時を告げると、3人は「本当ですの!? ありがとうございます!」とパッと顔を輝かせた。その場でスマートフォンを取り出し、イザベルと彼女たちはスムーズに連絡先を交換し合い、無事にアポの約束を取り付けることに成功した。


無事に用事が済んだその時、ふと一台の車の周りを名残惜しそうに、しかし少し離れた場所からじっと見回している男子生徒の姿がイザベルの目に留まった。

ダークブロンドの長めの前髪で少し顔が隠れた、小柄なテオ・ルサージュだった。

イザベルはクスリと笑い、テオの方へ歩み寄って声をかけたあらたまった調子で話しかけた。

「あら、そこのあなた。もしかして車に興味があるのかしら?」

名前を呼ばれてビクッと肩を跳ねさせたテオは、しどろもどろになりながらも、懸命に自己紹介をした。

「あ……あのっ、ぼ、僕はテオ・ルサージュです……! あの、このプジョー308GT、すごく……すごくいい車ですね……!」

緊張しながらも、昨日テオが4人に語っていたのと同じように、この車の優れたエンジン性能や居住性の良さを一生懸命に熱弁するテオの姿を見て、イザベルは目を細めて大いに感心した。

「ふふっ、ありがとう。そうなのよ、この子の良さをここまで的確にわかってくれるなんて思わなかったわ。私にとっても、この子は最高の相棒なのよ」

イザベルがそう言って優しく微笑むと、テオは嬉しさと気恥ずかしさで顔を真っ赤にし、小さく「ありがとうございます……」と呟いてホッとしたような表情を浮かべた。


最後に、イザベルはアンドレの友人たち全員に向き直り、温かい声で告げた。

「みんな、いつも弟と仲良くしてくれて本当にありがとう。それじゃあ、私たちはそろそろ行くわね」

アンドレを助手席に促して乗せると、イザベル自身も運転席に乗り込み、助手席側に向かってニッコリと微笑んでから、スタイリッシュなサングラスをサッとかけた。

エンジンが心地よい低音を響かせ、赤いプジョー308GTは今日の目的地へと向けて、夕暮れの街路へ軽やかに走り出していくのであった。

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