↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リヨンの高校生たちの群像劇  作者: Red Baron
イザベルお姉さんのマナー講座(前編)
PR
60/90

姉の指導

プツン、と通話が切れたスマートフォンを握りしめ、「よし、完璧なノートを作るわよ……!」と一人で鼻息を荒くしているイザベル。


その時、ソファでエマと一緒に動物図鑑を読んでいたクロードが、図鑑をそっと閉じてイザベルの方へと近づいてきた。


クロード: 「おや、お疲れ様イザベル。ずいぶんと大きな声を出していたね。リビングのこちらまで君の気迫が伝わってきたよ。エマなんて、びっくりして図鑑を見る目が丸くなっていたくらいだ」


エマ: 「ママ、お顔がすっごくおこってる……。アンドレおじちゃん、何か悪いことしたの?」


娘の不安そうな目に見つめられ、イザベルはハッと my フォームに返った。慌てて表情を緩め、エマの頭を優しく撫でる。


イザベル: 「ごめんなさいね、エマ。怒っていたわけじゃないのよ。ちょっと、アンドレおじちゃんに大事な『気合』を入れていただけ。ね? クロード」


クロード: 「ふふ、やっぱり今のはアンドレ君だったんだね。彼にそこまで熱を上げて指導するなんて珍しいじゃないか。リヨンでの寮生活で、何かやらかしてしまったのかい?」


イザベル: 「それがね、クロード、聞いてちょうだい! やらかしたんじゃなくて、これからやらかしそうなのよ! さっきアンドレから電話があって、来週の土曜日に、セシルちゃんのご実家に招待されたんですって!」


クロード: 「ほう、セシルさんのご自宅に? それは……彼にとっては大ニュースだね」


イザベル: 「そうなのよ! 自宅に招かれるなんて、最高にチャンスじゃない? なのにあの子、女子の家に招待されるのが初めてだからって、お作法も何も知らないまま突撃しようとしていたのよ! 手土産の選び方も、挨拶の仕方も、ケーキの食べ方の処理も、何一つ分かっていないの!」


クロード: 「ははは、なるほど。それで君の『保護者』としての血が騒いでしまったわけだ」


イザベル: 「当然でしょう? 今は私はモロー家の人間とはいえ、元はランベールよ。そんな状態のアンドレをセシルちゃんのご家族に会わせたら、ランベール家の名が廃るわ! それに何より、アンドレが恥をかいてセシルちゃんに嫌われたら可哀想じゃない。だから私、水曜日の午後にリヨンまで車で迎えに行って、週末まで我が家で徹底的に叩き込むことにしたわ!」


エマ: 「わーい! アンドレおじちゃんがお家にくるの? エマ、おじちゃんと一緒にあそびたい!」


イザベル: 「(申し訳なさそうな表情に変わり、エマの目線に合わせてしゃがみ込みながら)明後日はごめんね、エマ。アンドレおじちゃんはママから大事なお勉強を教わりに来るの。だから、明後日は遊ぶことができないと思うの……ごめんなさいね」


エマ: 「そっかぁ……。お勉強、がんばるなら、エマ応援する!」


クロード: 「いい子だね、エマ。よし、そうと決まれば今日の夕飯は僕が作るよ。イザベルはさっそくノートの準備にとりかかるといい。……でも、夜更かしもほどほどにね」


イザベル: 「ありがとう、クロード。本当に助かるわ。……さあ、今夜はランベール家の誇りにかけて、最高のカリキュラムを作り上げるわよ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。