寮への帰還
電車がルイ・ル=グラン高等学校リヨン分校の最寄り駅に滑り込み、アンドレは改札を出て懐かしい並木道を歩き始めた。
寮へ近づくにつれて、「どんな顔で迎えられるだろう」「無断外泊として厳しい処分が待っているのではないか」という不安が胸をよぎる。しかし、先ほど姉から届いた温かな写真とメッセージを思い出すと、不思議と背筋が伸び、堂々と事情を話そうという勇気が湧いてきた。
学生寮の重厚なエントランスをくぐると、静まり返ったロビーのソファーに、一人の初老の男性が腰掛けていた。
仕立ての良い落ち着いたカジュアルなジャケットに身を包んだその姿を見て、アンドレは思わず足を止めた。
(……モルヴァン先生!?)
モルヴァン先生は、この学生寮の寮長を務める最高責任者だ。普段は生徒たちに厳格な規律を課し、常に隙のないスーツ姿で巡回している威厳ある教育者である。
しかし、今日の先生は明らかに私服だった。
(日曜日で本来は非番のはずなのに、私服のままわざわざ寮に来ている……ということは、昨夜の俺の件の報告を受けて、心配して駆けつけてくださったんだ……)
アンドレは事の大きさを再認識すると同時に、休日に駆けつけてくれた先生への申し訳なさと緊張でごくりと喉を鳴らした。
アンドレに気づいたモルヴァン先生は、ゆっくりと立ち上がり、穏やかな眼差しを向けた。
「おかえりなさい、ランベール君。まずは君に怪我や事故がなく、無事に戻ってきて安心しましたよ」
厳格な寮長とは思えないほど温かく安堵の滲む声に、アンドレは目を丸くした。先生は静かに歩み寄ると、落ち着いた口調で言葉を続けた。
「帰ってきて早々に申し訳ないが、昨夜の詳しい事情を聞かせてくれないか? 昨晩、当直の事務員から君の身元引受を名乗るご親族からの連絡と、外泊の経緯についての報告を受けてね。休日ではあったが状況を確認するために駆けつけたんだ。だが――記録の書類だけでなく、君自身の口から直接何があったのかを聞きたくてね」
逃げることなく真っ直ぐに自分と向き合ってくれる寮長に対し、アンドレは深呼吸をして姿勢を正し、「はい、すべて正直にお話しします」としっかりと前を見据えて答えるのだった。
アンドレの運命はいかに!?
17時に結果がわかります!!




