閑話 六月の婚約者
いつもより少し長いです
「ねえ、開かずの部室の幽霊の話知ってる?」
「何それ?」
「モモちゃんは部活入ってないから知らないか」
「先ずそのどこかの魔法少女みたいなあだ名を止めてね、品田さん」
「うんとね、ここ最近なんだけど、部室棟の元々開かない部室があるのね、そこに誰も入れないはずなのに物音がするの。こうガタガタと」
品田と呼ばれた少女は身振り手振りでその様子を表している。
「誰かいるんじゃないの?」
「うんん、それが誰もいないの」
「開かないんでしょ?」
「外から確認したんだって、そしたら部室の中の物が浮いてたんだって」
「…へー」
「もうモモちゃん、ちゃんと聞いてよ!」
「聞いてるわよ品田さん、あなたが何度言ってもあだ名を呼ぶところとか」
「みーちゃんって呼んで」
「……深夏さん」
さて横でガールズトークが繰り広げている間に俺登場の友田です。
隣の席に座っているプリンセス・モモこと桜野桃花、その前に居る彼女を魔法少女にしようとしているのが品田深夏女史。
彼女たちが話しているのが六月になってから見ると言われている幽霊の話。
俺の所にも噂の類は入ってきているが、その類の噂は昔からあるし、噂好きの女子って言うのはいつの時代もいるものだなと思っていたら品田はこちらの方を向いて口を開いた。
なるほど俺からも情報を聞き出さうと言うのだな。良いだろう、俺の知っている学園七不思議全て教え怪談とはこうだと恐怖を教えてやろう。
「っで友田ッちは赤羽会長とどこまで行ったの?床まで?」
「出来てねえし、どこまでも行ってねえよ!」
俺が恐怖を教えられた。
彼女は俺の中ではネクロマンサーともっぱら呼ばれている女だ。
体はヤオイで出来ている。幾たびの戦場を越えて腐敗。ゲイの丘で本を書く。
どこまでも腐らしどこまでも腐敗させる、彼女が歩く後には腐人の森が出来ていた。
彼女の放つ言葉のゲイボルグは常に因果を越え俺のヤオイ穴を狙っている。
「違う話だったじゃん!?何でそっちに行く!!」
「違うの!リピードが違う方に行ったの!本当は赤羽会長に聞いてほしかったの!」
「ん?先輩に?」
赤羽恭弥。中学時代からの先輩でなんだかんだと付き合いの長い友達だ。
その赤羽恭弥はこの七色学園の生徒会長をしており入学してから再開した。
「うん、生徒会長なら開かずの部室の事知ってるんじゃないのかなって?」
「ああ、知ってたぞ」
「え!?もう聞いてきたの瞬間移動!?」
「いや、俺居たよねここに!。違うよ、その話は前に聞いただけだよ」
「えっ!?居たの!?ここに!!?」
「どこにビックリしてるんだ!!」
さて、このままでは品田深夏とのよくわからない会話でこの話が終わりそうなので、俺が聞いた話をここでしよう。
聞いた話じゃ先輩が入学したときからあった怪談のようで先輩もそのまた先輩から聞いたらしく、元をたどればキリが無いのが怪談話だ。
曰く、幽霊が常にその部屋を漂って居るとか、先ほどの話のように物がひとりでに浮いていたとか、泣き声がするなどなど。
この話の面白いところは期間限定と言うところだ。決まって目撃するのが六月の梅雨の時期。梅雨明けと共に目撃情報が止むという事。
俺の中の結論。泣き声や音は湿気でその部室がきしんでいるのだろう、物が浮いたようなのは雨露でぼやけて見えたとかだろう。幽霊の類何ている訳ない。と魂の転生者が言ってみる。
◇◇◇
あの答えで納得したのかは知らないが彼女たちとの女子会は解散した。男が一人いたが気にしない。
放課後になり俺が入っている飼育委員へと足を運んだ。
そこで俺は泥の中を仰向きになりながら空を見ていた。
梅雨の時期に入り空がすぐにでも泣き出しそうな空模様をしている。そして俺も泣きそうだった。
隣にはブヒブヒと豚が俺や空より先に鳴く。
「いきなり何しやがる!」
豚がいきなり俺に突撃したのが原因であるが、俺は豚に怒ったのではない。豚が俺を押し倒したのはそうだが、豚をけしかけたのは近くに立つ少女赤羽美咲に文句を言っているのである。
「そこに友田がいたから…」
「友田は的ではございません!」
「…豚の……愛情?」
「好かれるのは良いが、あきらかにお前がけしかけたよな!今!!」
「…冤罪、友田、それは冤罪」
たしかに人の指示で確実に豚が突撃するとは限らない。俺は彼女にいわれのない罪で傷つけたのかもしれない、俺は謝ろうと立ち上がり美咲の方へ頭を下げようとした。
「いまだ行け!ジェネラル、キング」
「「ブヒー!!」」
どこかの○ケモンマスターなみに、飼いならされた豚が俺に襲い掛かった。
「やっぱりてめえのせいじゃねえかあぁぁぁ!!!」
俺は吹っ飛ばされガッツが足りないと実況される勢いで泥沼の大地へと落っこちた。
◇◇◇
最終的に俺と美咲は子供のように泥だらけになりながら戦いは終わった。
飼育委員長の先輩に怒られ俺たちは泥を落とすため委員会の終わりと同時に部室棟のシャワー室へと急いだ。期待されても困るがここで俺は流石に女子シャワー室へ入る度胸は無い。
シャワー室から出ると外は予想通り雨が降りせっかく浴びたシャワーも無駄になりそうだ。
俺と美咲はシャワー室からタイミングを計ったように一緒に出てきた。神田川でも歌ちゃう?
なんとなく美咲と歩いていると例の開かずの部室前に差し掛かる。すると…
「―――」「―――」「―――」
ガタガタ、ガタガタ。
と開かずの部室と呼ばれる場所で音がした。
「「………」」
俺と美咲は互いに黙ったまま向かい合い同時にうなずいた。
やはり先ほど互いに泥のぶつけ合い死闘を演じたのでお互いを理解しあったのだろう、俺たちは一目散に逃げることを選んだ。
ガラガラガラ…
美咲は扉を開けていた。
開けるんかい!開くんかい!そして意思の統一出来てないんかい!!
ツッコミ処が多く俺の右手は三回同時に動いたように見えた。これで燕も斬れちゃうね。
美咲は黙ったまま中へと入って行く。
ってホントに開いてるな…そこは鍵がかけてあったはずだが…
中に入った時女の泣き声が聞こえた。
「え~~ん、ないよ~、ないよ~。ぐっすん」
いや、ぐっすんって…どこの萌えキャラさ
そこに居たのは俺たちと同じ学生服を着た女子だった。
髪は湿気でも吸ったようなもこもこした髪質。顔を半泣きと萌えキャラグランプリにでも出たらいいと思う。
「何してるんですか?」
俺は先に部室に入った美咲の後ろの位置から女生徒に声をかけた。ちなみに美咲は絶賛人見知り中で黙ったままだ。
最近は委員会の人には心を開いているのだが初対面の人にはまだまだのようだな。
「ふえ!?ええと、どちら様?」
女生徒は俺たちに気付いていなかったようで萌えキャラのような驚き声を上げた。何かイラッとしたのは置いておこう。
「俺たちは生徒会の方から来たものです。先ほど音がしたので確認のために扉を開けました」
「ええっ!?生徒会の方なんですか!?…見た事無いような…」
美咲が戸惑い顔で俺に肘鉄を喰らわせながら非難の目をしている。別にウソは付いていない。俺たちは生徒会のある方から来たし、物音がしたので確認の為(美咲が)扉を開けたのも事実。彼女が勝手に生徒会の人間だと勘違いしたのを訂正しないだけ。
「何かを探していらしゃったようですが?」
「……はい、大切なものを…」
俺は美咲の方を見ると美咲は「ん」っと一つ首を縦に振った。
「良かったら俺たちも手伝いますよ」
「ん」
どうやら今回は意思疎通が出来ていたようだ。俺たちは女生徒に申し出ると女生徒が慌てて
「いえ、そんな申し訳ないですよ!」
「一人で探すより、人数多い方がいいと思いますよ?それに下校時刻までそれほど時間もないわけですし」
「ん、探す」
美咲は女生徒の返事を聞かずに探し始めた……何を?
「この子もやる気みたいですし手伝わさせてください」
友田超絶営業スマイルがさく裂した。
「……でも」
しかし効果は無かった。
もう土下座しかない?しちゃう土下座。変な意地になってるな俺。
「ん、見つけた」
「「えっ!?」」
何を?
「500円」
「そうよかったね
…っで何を探せばいいのですか?」
「……あの~、校則違反だってわかっていますが…」
「黙っておきますよ」
「指輪なんです…」
「指輪?」
「はい、アクセサリーの類が校則違反だと言うのは知っています!けど、とても大切なんです!」
「はは、分かりました。見つかっても教師には言いませんよ」
「ん」
「ありがとうございます!!」
俺たちはさっそく指輪を探すことにした。この場所は倉庫のような扱いになっているらしく、様々なものが所狭しと置かれている。
重たそうなのは俺が持ち美咲がその下を探す。俺は失礼かと思ったが女生徒に聞いてみることにした。
「大事な指輪なんですか?」
「……はい、私の大切な人との約束の指輪なんです」
大切な人との約束の指輪ね、もしかしてリア充さんか?それだったらリア充撲滅委員会の参謀のこの俺が動かなければならなくなりますよ?人の幸せを素直に喜べない軍団のいつの間にやら参謀役になっていた俺が自らの意思で動くことになるのかー、と心の狭い友田が表れそうになった。
そんな事を考えながら探していると美咲が椅子の上に立ち棚の上を探していた。椅子はバランスが悪くグラグラしていて、俺は美咲に危ないから降りろと口にする前に美咲は「キャッ!?」と可愛い悲鳴を上げて椅子から落ちた。
俺は「大丈夫か?」と声を美咲に近づくすると
「危ない!!」
先ほど美咲が探していた棚が美咲に向かい倒れようとしていた。
「美咲!!」
俺は美咲を抱きかかえながら棚と美咲の間に入る。ドンッ!!背中に衝撃を受けたが棚にはそれほど中身が入っていないのか思ってた以上の痛みは無かった。
美咲の確認をすると無傷のようだ、もしここで傷の一つでもつけようものなら美咲の兄がリーゼントになってしまう。
美咲は「ごめんなさい」と俺に謝りながら泣きそうな顔をしていたので俺は「大丈夫だ」と心配している美咲の頭を軽くたたく。
「お二人とも大丈夫ですか――あああ!!」
「うおぉ!?」
「!?」
急に心配の言葉から驚きの大声に変わった女子生徒の声に俺と美咲が驚く。何故か俺は美咲に叩かれたけど
「有った……ありました…」
指輪は棚の後ろに有ったようで女生徒が近づき指輪を大事に本当に大事そうに胸へと抱える。
「ありがとう……本当にありがとう二人とも…」
女生徒は目に涙を浮かべ俺たちに感謝の言葉を口にする。
ちょうどタイミングがいいのか空気を読まないのか、下校の放送が流れる。
「下校の時間みたいですね。じゃあ、帰りましょう」
俺が帰ろうと口にするとそこには女生徒がいなくなっていた。
ん?先に部室から出たのかと俺と美咲は二人で部室から出たがそこには誰もいなかった。
「あれ?先に帰ったのか」
「?誰が?」
「いや、さっきまで女の人がいただろ」
「?いない、私と友田二人っきりだった」
「いやいや、探し物してたじゃないか」
「友田がいきなり一人芝居をしたから可哀想で付き合った」
「「……」」
「帰ろう」
「ん」
俺たちは雨の上がった夜道を二人で帰った。もう考えまい。
◇◇◇
翌日俺は何時もの朝の運動を終え、新聞を読んでいると小さな記事に『六年ぶりの目覚め。フィアンセ愛の奇跡』と言う記事の見出しを目にした。
……まさかな。
おまけ
恭弥「昨日帰ってくるのが遅かったな」
美咲「ん、友田と部室にいた」
恭弥「友田と…」
美咲「ん、二人で」
恭弥「…友田に何かされたのか?」
美咲「……抱っこされた」
恭弥「……そうか」
美咲「?どこ行くの?」
恭弥「…少し赤く染めてくる…」
美咲「??」
その日俺は謎のバイクに追われた
??「まてやこらぁぁぁぁ!!!」
友田「なんでさぁぁぁぁ!!!」




