第17話 探し物は以外と近くにあり
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ピーヒャラ。ピーヒャラ。パッパパララ。
最後のは付け足した。
ラジカセから流れる縁日の笛の音を聞きながら脳内再生されたので仕方ない。
現在俺のいる場所は縁日をやっている神社に来ている。
一人?そんなわけない、何と十五人だ!
……多いな。今この場所に居るのはクラスの約半分。暇と恋人のいなさを持て余した奴らが集まってきた。
クラスで縁日の話題になりあれよあれよと言う間にこの人数になった。仲良しクラス。
恋人がいる奴はそっちを優先したり部活仲間と行くやつもいる。
しかし恋人がいな奴らは怨嗟の声を上げながらこっちのあまり物集団へと合流していった。俺もその一人なので文句は言えないが。
クラスの男女比7対3で数名の女子が浴衣を着ている。眼福です。
俺が良く話す伊集院と立花は来ていない。
立花は部活の方を優先し、伊集院は恐らく女の子と来ているだろう。モテるからなアイツ。
最近俺の中で話題の桜野は何の因果かこっちに来ている。
可愛いので恋人の一人でもいそうな気がするがその横に居る奴に連れてこられたのかね。ちなみにその横に居るのが少し出てきた腐人の女子だ。
桜野と親しくよく一緒にいる、俺の席が近いという事もあり、俺も話したりするがもっぱら立花と伊集院との関係を聞かれる、奴は何でも腐らせることのできるネクロマンサーでは無いかと俺は思っている。
◇◇◇
知らない男の子に話しかけられた私は固まった。
違うと否定しようとするが雨で喉を傷めたのか声が出ず固まっていると男の子は構わず私の手を取り歩き出した。
知らない子に手を握られたことに怖いという気持ちよりも彼の手の暖かさに私ホッとして泣き出しそうになった。
雨の中男の子は用意のいい事に折り畳み傘を持っており、私と相合傘をしながら出口へと向かう。
出口に着いた私は男の子に感謝の言葉を言おうとした時
「これからは兄ちゃんの近くから離れるなよ千佳」
と違う人の名前を言った、それはそうだ。
私と男の子は関係がないのだから、あの温もりも私に対してではない、私はその場から逃げだした。
後ろから驚いた声が聞こえたが私は構わず走った。
濡れたまま帰ってきた私は翌日から高熱にうなされていた。
その後聞いた話だとお姉さんから心配の電話が来ていたことを知った。
男の子が翌日引っ越したことを知った。別れをしないまま別れた。
私が好きでも相手は私を好きとは限らない。
私が見ていても相手が見てくれるとは限らない。
私を見てくれる人はいない。
◇◇◇
祭りだとバカをやる奴が出ると言うが、そんな事は無い。元々バカがいつも通りバカをやるだけだ。
女に飢え野獣となったクラスメイトが「ナンパだ!」「女だ!」「ヒャハー!!」と奇声を上げながら走り去るのを俺は「相手に迷惑かけるなよー」と他人事のように言いながら残ったクラスメイトと祭りを楽しむ。
やはり妹の千佳と結を連れてこなくて正解だったなと思う。
クラスメイトと行く事を千佳に言うと千佳は千佳で友達と行くらしい。友達いたのね。
結の方は家が夜店を出すから手伝いだと言っていた。後で顔だけでもだそう。
出店を周るとお面を売っている場所に着き、こういうのは何時の時代でもあるなと、見てると
「へーこう言うのが好きなの友田君」
お面を見ながら浴衣姿の桜野が話しかけて来た。
「いや、昔からあるなと思って」
「そうだね、私も昔買ったな…」
そう言えばそんなイベントもあったなと俺は思い出した。
たしか主人公がはぐれた桜野を探して見つけるんだったか?
そこでまた会おう的な約束をして…ああ、おもちゃの指輪を買ったんだっけ。
「縁日って色んなもの売ってるかな、お面とかおもちゃの指輪とか」
「へー、そんなの売ってるんだ。」
ん?なんだ。その知らない体の答え買ってもらってんだろ?と桜野を見た俺は固まった。
桜野は手にしているお面のように表情が硬かった。
桜野はヒーロー物のお面を取り「おじさん、これください」と言って一つお面を購入してまた女子の輪の中に入って行った。俺は桜野を止める事が出来なかった。
◇◇◇
七色学園に入学した私は入学式の時二度驚いた。
新入生の挨拶をしていた少年、彼は子供の時に会った男の子だとすぐに気が付いた。
まるで変わらずそのまま背だけ伸ばした感じの少年、私の席の隣の時は私のかさぶたが剥がれ傷が痛んだ、彼の顔を見るたびに痛むので彼が悪い訳では無いが無自覚に傷をえぐる彼が嫌いだ。
もう一人幼馴染の男の子。彼は面影を残したまま体がスポーツマンらしく大きくなっていた。
彼は私の事を覚えていないようだ。私はまだ彼の事で心が揺さぶられるか確認するために彼の試合を見に行ったが特にどうという事は無かった。
私は誰にも見えない、だから私は誰も見ない、だから誰か…
◇◇◇
「っつ!」私たちが大勢で歩いていると私の下駄の鼻緒の部分が痛んで切れた。
私は立ち止まり切れた拍子に捻ったのであろう、痛む足を休ませようとしてしゃがみ、少し待ってと顔を上げるとクラスのみんなはもうその場には居なくなっていた。
それはそうか私は誰にも見えないのだからと私は自嘲的な笑みを浮かべ社が近い事を思い出し人の邪魔にならないように道を歩き向かった。
しばらく休んでいると昔のように雨が降ってきた。まるで自分の惨めさを再確認させられるような気分だった。
私は誰にも見えない、だから私は誰も見ない、だから誰か私を…
「桜野さん!」
声がして顔を上げると彼は昔のようにその場にいた。
「探したよ、ちょっと待って」と言うと彼は携帯を取り出しクラスメイトに「桜野さん見つけたと」連絡をし始める。
私の足に気付いた彼は鼻緒を持っていたハンカチで結び直し私に履き直させるが足自体を捻っているようでしばらく歩けそうにない。
彼は「しょうがない」というと私の前に背中を向けて屈んだ。
「え?」
「歩けないようだから、負ぶっていくよ」
「そんないいよ!」
「お姫様抱っこの方がいいか?」
彼はからかうように言う。私は仕方なく彼の背中に負ぶさると昔みたいに温もりを感じ昔とは違う男らしさを感じた。
「……重くない?」
「あ~適量?」
私は「何よそれ」と言いながら彼の背中に預ける。
しばらく行くとクラスメイトのみんなが「心配したよ」と声をかけてきた。私を誘った女の子が思わず泣いてしまって彼の背中から慰めたのは置いておこう。
彼に背負われるまま家路を歩くといつ止んだのか雨は上がっていた。
晴れた星空を見ながら私は久しぶりに自分の気持ちを素直に出した。
「ねえ友田君…」
「ん?」
「私ね、あなたが嫌い」
友田は「ええ~」と言いながらも顔は笑っていて気にしていないようだ。
何だか少し悔しい気持ちがした。
私は彼が嫌いだ、だって彼は私を探し出してしまう人だから。
読まなくていい、おまけ
これより『友田他人のフラグ横取り裁判を始めます』
本来なら雨の中主人公が桜野桃花を探し出し慰め指輪を買い約束をするところを
被告人友田はあろう事か横から出てきてヒロイン強奪、さらに心の傷を負わせる暴挙に及んだ。
友田「ちょっと待ったぁ!!」
却下します。
フラグ横取り罪で島流しの刑にします。
友田「俺は無実だぁぁぁ!!!」




