伍玖話 理屈抜きとは複雑かつ面倒だ
火蛇族の叫び声が響き渡り、ますます苛烈さを増した戦場は、しかし着々と鎮静の一途をたどり始めていた。
もうすでに戦える火蛇族はあまりおらず、将軍同士の戦いも決着がつき始めようとしていた。
その中でも、人外並の運動能力を持つ人間と、人外の性能を誇る機械も、熾烈な戦いを繰り広げていた。
[fireeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!]
「…………面倒」
キノサキは先ほどからヘルメスを後ろ向きで走らせながら、前方でこちらに接近してくる銀生に向かって弾丸を発射させている。後方に目を向けてはいないが、一人と一機の視覚以外の機能も鋭敏になっているため、かろうじて障害物を避けるように下がっている。
キノサキの右上副腕の榴弾発射機から射出された榴弾を、銀生が刀で斬り落とし、銀生の背後で爆音が響き渡る。
[Fa!?]
「斬る」
どれだけ弾丸が襲いかかろうと銀生は向かい来る弾丸を全て刀で弾きつつ、後ろ向きとはいえ爆走するヘルメスに追いつこうとしている。
とにかく弾丸を放ち続け、ときどきハンドルから手を離して弾丸を装填し、連射乱射を繰り返しながらバックで下がっているが、銀生は距離を詰める一方だ。
[No……おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!]
『ヒyaハー。こいtuはおかしsugiruだろ!!』
動揺と焦燥感が、キノサキ達の言語機能、演算機能、シンクロ率を乱す。今のキノサキには余裕が感じられずチリチリとした感覚が頭の中を刺激する。
しかし、後手に回りつつも神経系を強化しているキノサキには、敵の動きをよく見ていた。
銀生の高速かつ完全な軌道を描いて振るわれる刀は、一発一発の弾丸を全て軌道に合わせて的確な角度で切り落としている。
右上副腕の榴弾発射機が、右副腕の短機関銃が、右下副腕の突撃銃が、左上副腕の散弾銃が、左副腕の回転式拳銃が、左下副腕の機関銃が、それぞれ火を噴き弾を飛ばしてくる。
それなのに銀生は、弾丸を相手に回避と弾きを繰り返している。
どう考えてもこれは人間にできる技じゃない。
「……近い」
『は!?』
そしてとうとう、銀生が自身の間合いの中にまで近づかれてしまう。
握られた黒刀が妖しい光を放ってキノサキへと迫る!
「…………斬る」
銀生が刀を右下から振るう。
榴弾発射機を持っていた右上副腕が斬り落とされた。
『ノオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!』
キノサキは絶叫を挙げながら、刀を抜いた直後の銀生に返すように蹴りを入れようとするも、銀生は腕を前に出しつつ腹部を後ろに引くように飛び、キノサキの反撃を躱した。
その瞬間にヘルメスは退避行動に移る。
『ヒャッハー! キノサキ!?』
ヘルメスはバックをいったん止め、銀生が跳躍後に硬直した隙を見て、前方へと加速し、すぐ横の路地裏の方へと走って行った。
ひとまず敵の視線から外すように狭い路地裏の中を構わずに突っ走る。
『ヘル…………メェス…………問題ない! 副腕が一つ破壊されただけだ!』
心配するヘルメスにキノサキは語気を強めて、腕を切られたショックを無理やり弾き飛ばし、全身の機械が、キノサキのバイタルサインの変動により生じる精神の乱れを平常に抑える。
一旦、脳波の乱れにより思考の共有を断ったキノサキは体内通信により走行中のヘルメスと情報のやり取りをする。
『ヘルメス! あの殺し屋いろいろと無茶苦茶すぎる!!』
『ヒャッハー! 本機たちも無茶苦茶だが、あれはそれ以上だ!!』
先ほどの攻防、キノサキは相手に何か仕掛けでもないかと、射撃を繰り返しながら敵の観察をしていた。
銀生の動きは人間離れしすぎている。何か秘密はないかと射撃中にも相手に集中して見ていた。
しかし、いくら見えたからとはいっても、やはり理解するにはいろいろと時間がかかった。
『あの目……あれは自然な動きじゃなかった』
キノサキが注目したのは、銀生の眼帯を外した左目の所だった。
右目とは異なる銀色の瞳の虹彩が不自然なほど揺らぎ、眼球が精密かつ機敏にギョロギョロと動いていた。飛んでくる弾丸をひとつひとつ捉えるように、文字通り目まぐるしく動いていたのだ。
おそらくあの眼球は飛び交う弾丸を的確にとらえており、それを体に伝えて動かしているようだ。
『ヒャッハー。義眼?』
『どうだろうか。機械って考えるのが妥当だが、それ以外はどうも生身に思える……』
キノサキたちは一瞬の隙も許されないほど緊迫した戦闘中でも相手の能力や性能を分析した。
その代償が右上副腕だったが、少なくともある程度の事は解った。
銀生の左目は特殊な仕様であり、おそらく驚異的な動体視力を誇る。
さらに、いくら動体視力がよくても肉体がすぐに順応できなければ意味がない。つまり動かす肉体も超人的な性能を誇っている。
その結果、弾丸を弾き落とすほどの剣術を繰り出すことができると言う訳だ。
しかし、キノサキたちは考える。
確かにあの左目は脅威だ。弾丸を捉えるほどの能力なんて、タダの人間にはもたない力だ。
その上……
『ヒャッハー、キノサキ! 《神経拡張》まで切れちゃったけどどうするんだ!』
『まだほんの少しだけ出力は残っている。問題は発動のタイミングなんだが……』
一旦感覚共有を断ち切ってしまったため、手足を動かすようにヘルメスを動かすことはできない。経験上お互い何を考えているかは共通しているものの、知覚や感覚は別々となっている。
副胴との接続はそのままなため、副腕は稼働している。残り五本の腕でどこまで戦えるのか……
その時、
『ん!? ヘェルメェス! 上から生体反応! 下がれ!』
『ヒャッハー!?』
突如頭上からの反応にキノサキはすぐさま対応し、通信でヘルメスに呼びかけた。
上を見ると、路地の上側の壁を蹴ってこちらに近付いてくる。
姿ははっきりとは見えないが、動きからして火蛇族じゃない。先ほどの殺し屋だろう。
ヘルメスが後方へと下がりつつ、キノサキは左上副腕の散弾銃を、残弾惜しまずに照準を迫りくる影へと向ける。
そしてキノサキは発砲した。
一度に十数もの弾丸が音や硝煙と共に放たれる。
「…………っ!?」
しかし、襲いかかってきた何者かは、動きを止めるどころか吹き飛ばされてもいない。
それどころか放たれた弾が相手の背後の壁をひとつ残らず破壊した。
まるで攻撃が透過されたように、相手を通り過ぎたようだ。
攻撃が外され、お構いなしに相手はキノサキ達に迫る。
避けられない。ヘルメスが背後の噴射機の出力を上げようとした途端……
「お前等、いったい何者だ」
「へ?」
聞こえてきたのは女の声。
それは銀生ではない。そう判断したキノサキは……
『ヘルメス。止まれ!』
『ヒャッハー? なぜ!』
『いいから早く』
『ヒャッハー。了解』
ヘルメスは駆動をやめ減速し、路地の中を停止した。
キノサキ達の目の前に、何者かが着地する。
「…………」
キノサキの視界に一人の女の姿が映される。
青い皮膚で彩られた全身。所々ある魚のようなヒレと鱗。戦闘用なのか、要所要所を守るだけの簡易な装備。
そして、勇ましさを表したその容姿は、明らかにキノサキが相手であっても構うことなく現れたことになる。
「お前は……」
キノサキはこの里に入る前に聞いた情報と照らし合わせる。
知っているのは名前だけだが、今この戦場には合わない異物感が、それを確信へと近づけていった。
「私はレイラ。水妖族の里から来たものだ」
水妖族の戦士レイラが、キノサキの前に現れた。
2
宇城銀生は、ゆっくりと足を進めている。
キノサキ達を逃がしてしまったが、ここで放っておくつもりはない。
しかし、キノサキの副腕をひとつ斬り落とした銀生だったが、銀生のほうも完全に無事だとは言い難い様子だった。
「…………っ!」
疼き、痛む左目を反射的に押さえる。
動体視力と静止視力に特化した銀色の左目は、弾丸を捉えるほどの機能を誇るがその分酷使はできない。
実際、戦いの最中でも痛みに気を取られないようにしてはいたのだが、それでも完全とはいかず、いくつかキノサキの弾丸をかすめていた。
どれも軽い傷ではあるものの、本来なら左目を使っておきながら負う怪我ではなかった。
重火器程度、たった一人の相手に手間取ることはないのだが……
「想像以上に…………鬱陶しい」
予想外にも、たった一人であそこまで濃密な弾幕を張り、なおかつ機動力に長けるものはなかった。
想像以上に時間がかかった。それが銀生にとって煩わしく感じられる。
キノサキ達が逃げた時、銀生はすぐには追えなかった。
敵に考える隙を与えてはいけないものなのだが、左目に負担をかけたまま追撃を行うことはできず、ほんの少しだけ銀生は足を緩めて左目を休ませていた。もう少しすれば追撃に向かうつもりだ。
キノサキ達がなにを企んでいるかは知らないが、皇帝派も下位派も構うことなく撃ち続けている。
放っていくわけにはいかない。敵を倒すならまだしも自分側のほうも攻撃されるなら止めるしかない。
銀生はいったん呼吸を整えつつ、キノサキ達が逃げた路地の方へと向かおうとする。
しかし、
「!」
銀生は背後から迫りくる敵の気配を感じ取った。
逃げた奴ではない。襲いかかってくるのはどちらも皇帝に仕えている方の火蛇族の兵士だ。混乱に乗じて敵である銀生を奇襲するつもりだ。
数は三体。どれもこれも直線的に向かってくる。
銀生は振り向かないまま刀の柄に手をかける。背後から迫る敵に居合抜きをするつもりだ。
その様子が見えない兵士たちは構わず、銀生のすぐそばにまで近付く。
「…………来るな」
瞬間。
不可視の速度を誇る一閃が、火蛇族の胴を薙いだ。
火蛇族たちは何が起きたのか瞬時に理解できなかった。
自分の身に起きたことを理解した瞬間…………
「ぁ…………!」
もうすでに、自分たちの胴体は上下に分離した。
悲鳴を上げることすらできず、なにもないまま兵士たちは命を落とした。
「…………」
さきほど銀生は、左足を軸に体全体を右回りに回転し、振り向きざまに火蛇族を斬ったのだ。
体全体を一回転にさせつつ抜いた銀生は、何事もなく正面を向いたまま刀を納刀した
視覚に頼らずとも、各下を相手にならたいして力は入れない。
しかし、あの殺し屋を相手にするならば、視覚にも頼らざるを得ない。
余計なことに時間を費やした。
またあの殺し屋が暴れまわる前にどうにかして仕留めないといけない。
銀生は先ほど逃げた殺し屋を追いに、逃げた路地の中へと向かっていった。
3
「黒千代殿の知り合いで……? 白零殿は……無事?」
レイラは胡散臭そうに眉をひそめた。
まったくもって正体不明で胡散臭い、人間でも幻界の住人とも思えない怪物は、意外にも人間臭い口調でレイラにそう告げていた。
「お前のようなものが、黒千代殿とは思えん」
「性格的にってこと? ん~ま、そうはいっても実際そうだから仕方ないじゃん」
「ヒャッハー! ま、命がけのバトルを終えた後の友情だから、勘弁してね!」
反対向きで銀生が来ないかヘルメスが警戒している上で、キノサキは今レイラに状況報告をしている。
初めて水妖族に会えたことから興奮したいところだが、銀生のせいで予想以上に状況が悪化しているいま、じっくりとみている暇はない。
とにかく、当初の予定通り回収とまではいかなくともさっさとここを出るようにしたいのだ。
「それで、白零殿が無事とは?」
「そのままの意味だ。なんか余計なのも付いているけど、クロチーの仲間らしき男が外に出て、それをクロチーが回収したんだ」
キノサキは、珍しく少々焦りを含めてレイラ以外のところに視線を回しつつ、レイラの話を聴いている。
レイラも、キノサキ達がなんなのか詳しく聞きたいところなのだが、場所が場所なので最低限のところだけを聞いている。
「けど、クロチーはお前のことも心配だったからどうしても行きたいって駄々こねちゃってさあ」
「ヒャッハー。回収した仲間の安全確保とかあるし、仕方がなく本機たちがここにきたのさ」
「仕方がなく、と……」
そう小さくつぶやくレイラだが、いまいち信用が持てない。
先ほどまで、あんなむちゃくちゃな暴れっぷりをみたレイラにとって、目の前の異様な姿をした怪物は、危険としか感じられず、底が見えない。
最後に黒千代を見たときに、この人間らしきもの見なかったし、迷い子だとしてもこうも違う者同士が知り合いに慣れるのかとも思う。
しかし、同時にこの状況で自分に対してそのような嘘をついても、キノサキにメリットが感じられない。
少なくとも白零が無事という報告は信じるしかない。どこを探しても結局見つかることがないし、自分自身にも危機が迫りくる以上、そうするしかないようだ。
それでも、やはり腑に落ちないことはある。
「しかしどういうつもりだ。私が目的ならあそこまで暴れまわる必要がどこにある」
「いやいや、障害物が鬱陶しいし、お前が無事じゃないと意味がないし、戦い早く終わらないかなってとりあえず邪魔をしてみたり、面白そうだからデータ収集したりと…………」
「……本当にお前は危険しか感じられない」
レイラは警戒する。
この不明瞭なところは、たぶんレイラにははっきりとはわからないし、わかるつもりもない。
止めるべきではないかと思えてしまうが、残念ながら今のレイラにはそこまでリスクを冒せるほどの勝算が見えない。
「ヒャッハー。それが正しい反応だ」
「本当にな。こちらを気にかけないほうがいい」
話を終えたため、キノサキは姿勢を正してヘルメスの上に真っ直ぐ跨り、いったん切った感覚共有をつなげる。
「っつーわけで、さっさと帰ってね。一応警告はしたからな」
「ヒャッハー、ついてくるなよ。巻き添えとか面倒だし邪魔になるから」
「…………」
レイラはキノサキ達の事を知らないため、今の状況で判断するしかない。
敵ではない。しかし味方とは到底呼べない。
引き留めることも考えたが、今の状況ではキノサキ達を止められることはできない。
ゆえに、これからキノサキ達がなにをするのか、レイラはおおよその事を察知した。
「データは十分収集した。たくさんのヤモリたちを戦闘不能にした。あとは…………」
レイラは見逃さない。
キノサキの口元に笑みが浮かんでいた。
そこに緩さはない。意識なのか無意識なのかもわからない。
状況に沿わないその表情は、恐怖から来ているわけではないことをレイラは察した。
「残り物をどうにかしないと…………ね」
それは、喜び。
火蛇族を圧倒するほどの力が通用しない相手。
それは、容赦のない破壊に身をゆだねてもかまわないという安心。
その正体をレイラは漠然としながらも察した。
直感的にあまり関わりたくないと、レイラの心情はキノサキをそう評価した。
「行くぜ。ヘルメス」
「ヒャッハー、了解」
キノサキ達は、先ほど現れたところを逆走するようにキノサキは大通りへと去って行った。また、先ほどのように暴れまわるつもりだろうか。そう考えるレイラだが、キノサキ達のあとを追いはしなかった。
リュンピから示された目的は果たされた。キノサキの言葉を信じるならば白零は無事だ。ガルシャードももうすでにこの里から出ているかもしれない。ならばもうここに長居する理由はないだろう。
同じところに留まるわけにはいかないため、レイラはすぐにこの場を移動し始めた。
4
銀生は足を止めて視線を動かさずにじっとしている。
彼はもともと自分から進んで積極的に殺しにいくのではない。ただそばによるだけ。ただた待ち続けるだけ。それが銀生のスタイルだ。
よその国境警備隊を殲滅した時もそうだ。ただ暗闇の中を進み、なにも出さずに近づき、相手はなにも感じさせないまま斬られる。ただそれだけの事だ。
音もなく標的に近づき、間合いの内に近づかれれば斬る。退路を立たれた標的が逃げる先に待ち伏せ、近距離まで近づかれれば斬る。
そして何よりも、殺意には人一倍鋭い銀生は、自分に向かってくる殺意の元を感じ取る。
「!」
銀生は抜刀した。
そして視線を後ろ右斜め上へと向ける。
「!」
「見つかったか、ヒャッハー!」
視線の先、そこにキノサキがバイクに跨り、建物の上で右下副腕の突撃銃をこちらに向けている。
背後の敵からの奇襲など、銀生からすれば最も警戒するところだ。
連なる弾丸が銀生へと襲いかかる。銀生はそれを刀で弾き、接近していく
「やっぱりそうなるわな。ヘェェェルメェェェス! 行くぜ!」
「ヒャッハー! わかった、ヘマするんじゃねえぜ!」
「そっちこそな!」
「…………?」
しかし、キノサキ達はなぜか建物から降り、さらには銃を構えずに副腕を広げないように畳み、ヘルメスの運転に集中して銀生のほうへと突撃にかかる。
こちらから攻撃に向かわなくともなぜか向こうからこちらに接近してきたのだ。
明らかに接近戦には向かない長銃だってあるのだ。
「…………愚かな」
銀生は発砲もせずに無謀に突っ込んでくるキノサキに、銀生は刀を納刀して待ち構える。
向こうから来るのなら下手に立ち向かう必要はない。
何であれ容赦しない。近づく者を無差別に拒む必殺の居合抜きがキノサキを捉える。
「…………近づくな」
一閃。
銀生の左手に下げた刀がさやから抜かれ、常人には不可視の速度でキノサキへと襲いかかる。
直撃する軌道だ。このままではキノサキ達は二つに切り分けられる。しかし、
『ヘルメス!』
『ヒャッハー! 傾くぜ!』
キノサキは、銀生の左目程ではないが、視界に相手の居合抜きの瞬間を感じ取った。
そして、ハンドルを握って体を横へ転倒ギリギリに、キノサキの副腕が地面に接するか否かの僅差で全身を横に傾ける。
すると、傾いたキノサキの頭部に、銀生の一閃がほんのわずか削るようにかすめた。
「!」
身を低くして居合抜きを潜り抜けたキノサキは、そのまま進む。
その先は、銀生の右側となるところだ。
「いただきだぜぇ!」
弾丸を刀で弾き落とす的に正面で挑むことはあきらめた。
ならば、刀で弾くことができないほどの距離と角度から攻めればいい。
そのためにキノサキは銀生のある部分に注目した。
「…………来る」
銀生の右側。
目があるとはいえ左側とは違う視力の差に、弱点があるかもしれない。
そう判断したキノサキは危険を顧みず、速度も角度もタイミングもすべてギリギリの特攻を行ったのだ。
結果、近距離のさらに距離を詰めた至近距離で、キノサキは攻撃態勢に入る。
「さすがに居合直後に無理やり軌道を変えるこたぁできんだろ!」
「ヒャッハー!
銀生の右側に回りこんだキノサキは右側の副腕にある機関銃と突撃銃が死角となる銀生の右側から破壊に移る。
そのはずだった。
「え…………?」
しかし予想外にもキノサキの予想を裏切る事態が起きた。
抜刀直後の銀生はまだ右手に握られた刀を納めてはおらず、次の動作に移ろうにも体がまだ硬直して動けないはずだ。
しかし銀生は自分の専売特許であるはずの刀を……
ブンッ!
『ん!?』
『ヒャッハー!』
抜刀直後で右に振られた刀を、銀生はそのまま右手を離して投げ捨てた。
居合抜きを回避したはいいが、射撃の安定のために体を起こそうとしたキノサキの不意を打つように、居合抜きの勢いを殺さず刀は高速で回転する。
攻撃としては大したことはない。しかし、回避のためにほんの少しだが体制が崩され、隙が生じてしまった。
それがキノサキの決定的な隙となる。その隙がキノサキの行動を一瞬だけ鈍らせた。少し遅れて発射される弾丸は銀生の方へ向かうも、銀製はすぐに飛び出すように銃口が向く方角から離れた。
前方へ、ではない。キノサキたちの進行方向と同じであり、銀生にとっては後ろの方へ、全身が倒れる勢いで跳んでかわしたのだ。
弾丸は銀生が先ほどまでいた空間を通り過ぎ、近くの壁へと激突する。
そして銀生は、傾く体から右手が動き出した。体が地面へと着地する前に右手が地面をつく。そして、肘を曲げて力強く伸ばし、その反動で方向転換する。
その先は、先ほど自分と平行で走っていたキノサキ達の方だ。
『ちょ、ええ…………』
『ヒャッハー! 一体何をするつもりだ……!』
キノサキ達は驚いた。刀を離し、丸腰となったのにも関わらず、重火器溢れる怪物へと突撃してくるのだ。
まさか素手で相手にするつもりなのだろうか。いくら人間離れした身体能力でも、文字通り人間じゃないキノサキを相手に腕力でかなうはずがない。
とは言え、キノサキは油断しない。もうかなり距離を詰められている。いまさらヘルメスで軌道変更することなどできない。キノサキは左副腕の回転式拳銃から弾丸か発射し、銀生の元へと飛ばした。ここで相手は回避するか命中するか、それとも命中しつつ特攻するか、キノサキは銀生の次の行動をこのように予想した。
しかし、銀生はそのどれもに属さない予想外の行動をとる。
「え?」
「ヒャッハー?」
銀生が左手を振り上げた。
刀などない、無手の左手なのに、その振り上げた手が弾丸の軌道上に入ると……
キィン!
「「…………!?」」
キノサキの放った弾丸を弾いた。
銀生の何もない左手が、弾丸を弾いたのだ。
『ヘルメス。今のは……』
『ヒャッハー、わからない……!』
手を振る速度が速くて具体的に何が起きたか全く見えなかった。
しかし、たしかに銀生は刀を持っていない手を振って、キノサキの弾丸を弾き落としたのだ。
「近づく、な」
「キノサキ、まずい!」
「しまっ……!?」
その上、再びキノサキの虚を突くように銀生はいよいよ目前まで接近する。
何も持たない左手と同じく、何も持たない右手を動かし、こちらの方へと薙いでいくつもりだ。
狙いはこちらの……恐らく一番危険と判断した散弾銃を持つ右上副腕の根元。
「…………ちぃ!」
ヘルメスに跨がった姿勢では大して大きく身をそらすことはできない。
せめてどういうつもりなのか、あえてよけはせずに首だけを動かした。その目線の先には右上副腕と銀生の右手がある。
銀生の謎の振って薙ぐだけの謎の攻撃を見るつもりだ。
「ヒャッハー! キノサキ、待て!」
「《神経拡張》!」
キノサキはもう数秒ほどしか使えない切り札を発動し、銀生の右手を見た。
何も持たない右手。黒のロングコートの袖。指を大きく広げて軽く曲げるだけの掴むような状態。
そこに新しく表れた攻撃の正体。
キノサキは不可解な攻撃の正体を知った。
「…………!」
脳に強烈な刺激が走った。
体の一部を欠損したことによる、強烈なアラートの音だ。
結果、キノサキの右上副腕は切り落とされた。千切れた、というわけではない。断面はきれいな切り口でできている。
「そういうことか……!」
まただ。また刃物を持たない手で今度はこちらの副腕が切り落とされた。
しかし、一度目は見逃したが、二度目ははっきりとその攻撃の正体が目視できた。
『ヘルメス! 加速しろ!!』
『ヒャッハー! 了解!』
ヘルメスは銀生を振り払うようにさらに加速し、銀生から離れた。
銀生も不安定な姿勢からの攻撃だったため、追撃はできずに地面に落ちた。
『なんとか……ふり払ったぜ。ヒャッハー……』
『そうだな…………けど、あんまし余裕はない』
ヘルメスは停止すると、《神経拡張》の切れたキノサキはすぐさまヘルメスの向きを変えて後ろの方へと向ける。
少し離れた先、銀生は立ち上がったものの、すぐに投げ捨てた刀を拾おうとはしなかった。敵に背を向けようとはせず、キノサキの銃器を警戒して動けなかったからだ。
そしてもう一つ、銀生にはまだ武器が残されていると言うことを表していた。
『キノサキ、どういうことだ。なぜこいつは素手でキノサキの弾丸を弾いたんだ。いくらなんでもおかしすぎるぜ』
キノサキが敵の攻撃を『視た』ことを知ったヘルメスは、先ほどの銀生の動きがどういう事なのかを問い詰めた。
刃物なしに物は切れない。まるでカマイタチみたいじゃないかと、そんなバカげた思考まで行きついてしまったが、帰ってきたのは予想外の返事だった。
『いいや違う。ヘルメス、まだこいつは完全に丸腰って訳じゃねえぜ』
『え?』
『そもそも……こいつが刀一本だけを獲物にしているなんて、それ自体間違った認識だった』
『ヒャッハー、どういうことだ?』
話し合っている最中にも銀生は動き出す。
武器を拾わないままなりふり構わずキノサキの方へと突撃してきた。
「! うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「キノサキ!?」
今の銀生は武器を持っていない丸腰に見える。しかしキノサキはそんなことを考慮に入れないような濃密な弾幕を張る!
残されたのは突撃銃、短機関銃、機関銃、回転式拳銃。
とにかくそれらが一斉に、暴力的な音を立てて銀生に破壊の波をかけてくる!
しかし!
カキカキカキキンキンキィンキィンカキキィン!!
「ヒャッハー、嘘だろ!?」
銀生は両腕二本を振るうだけで、襲い掛かる弾丸をすべて弾き落としながらこちらへと接近してくる!
刀のようなリーチの長さはないため、若干回避行動が多くなっているが、致命傷や深手となる弾丸は全て無手の両手で弾き落としているのだ。
『ヘルメス。さっきこいつの攻撃を見たが、こいつは…………無手じゃない』
『へ?』
キノサキが雄たけびを上げて弾幕を張っている最中、キノサキが通信で話しかけてきた。
相手の正体を見切ったキノサキが、ヘルメスにその正体を教える。
『無手に見えるだけだ。敵の手首の所をよく見ろ』
『手首……………………!』
ヘルメスは視野を狭め、凝らして銀生の手首を凝視し、そして気がついた。
銀生の手首とコートの袖の間に、なにか刃らしきものがチラチラと見える。
その刃が、袖から隠れたり袖から出たりと、不定期に上下に動きながらキノサキの弾丸を弾いていたのだ。
『どういうギミックを仕掛けているのか知らんが、こいつは手首に仕込んだ幅約三センチもの刃を、斬る瞬間にだけ意図的に出していたんだ。しかも斬った後にはすぐにそれを袖にしまう。まるで、無手なのにものが斬れたような風に見えるんだ。実際、手を振る速度のせいでもあるからなおさら見えづらいんだ』
頻繁に出入りする隠し刃が腕を振る速度も相まって、あたかも不可視の刃のように弾丸を斬り落とす。
濃密な弾幕など銀生にとって壁ですらない。
銀製の左目の瞳が残像を描くほどに動き、逐一肉体がそれに対応して徐々に押してくるのだ。
『しかも、副腕を斬った時は瞬間的に指先まで結構伸びた。ありゃあ刀に劣らず結構な切れ味だ。そのくせ弾丸を斬るなんてどんな反則だ……!』
初めに刀で戦った印象が強すぎたせいで、刀しか使わないと思ってしまった。
銀生の隠し刃。 相手を斬る瞬間にだけ出し入れされるのは、優れた視力を誇る左目だからこそできる。
それはレイラの体を切った時も同じ要領だった。もっともレイラの場合は一か八かの賭けで急所を一瞬だけ液化することで難を逃れた。
しかし、今の状況はキノサキにとってかなり危険な状況に陥ることとなっているのだ。
『ヒャッハー、まずい! もう敵が目の前まで迫ってくる!』
『その上もう弾丸があまりない。ヘルメス、退け!』
これ以上はまずいと判断し、ヘルメスを後ろへと後退して逃走モードへと入る。
キノサキは判断したのだ。これ以上戦っても自分に勝ち目はない。仮に勝ったとしても自分に得られるものはない。むしろリスクが大きく、つり合いは取れない。
データは十分収集した。後は逃げの一手を打つのみ。
(追走者と呼ばれたこちらが逃げに入るなんて……滑稽な話だ!)
「ヒャッハー! 逃げ…………!」
「逃がさない」
「「!」」
しかし、ここで敵を逃すほど銀生は甘くない。
いくらヘルメスでもバックでは本来のスピードが出ない上に、初速から最高速度まである程度時間はかかる。
銀生はヘルメスが走り出したと同時に、キノサキの方へ加速して駆けて行く。
「くそっ! 来るな!」
まさか銀生の口癖を自分が言うとは思っていないキノサキ。もうなりふり構ってはいられない。
キノサキは四つのうち三つの銃器の残りの弾丸を発射し、そして弾切れになった銃そのものを銀生の方へと投げつけ、さらには副胴を背中とヘルメスのアームから外して、思いっきり振りかぶって投げた。
一瞬でも視界を封じるよう、目元にぶつけるようにして、だ。
「…………鬱陶しい!」
弾丸も銃も等しく隠し刃で斬り落とすものの、少しだけ動きが遅くなる。
キノサキは、ここを見逃さない!
『ヘルメス、加速しろ! 前へ!』
『! そうか。わかったぜヒャッハー!!』
顔に投げられた銃器を弾いていると、突如ヘルメスは初速からかなりの高速で加速し、爆発するように銀生の元へと駆けて行った。
最初の銀生の居合抜きを躱すためにオートバイでありながら空中を跳躍した、座席後部の噴出器を使ってだ。
加速したヘルメスの先端部分に銀生の体が鈍い音を立てて突き刺さる。
「ぐっ…………!」
ヘルメスに胴体をぶつけられた銀生は加速による風圧によってヘルメスの先頭から離れられない。
正直運転手にとっては前が見えないことになってしまうが、改造人間のキノサキにとっては今さら衝突事故など、些細なものに過ぎない。
「とどめ、だ!」
キノサキは副腕の中でただ一つ撃ち切らなかった回転式拳銃を銀生に向ける。
至近距離からの発砲、外すことはない。
「無駄、だ!」
「!?」
しかし、銀生もこのまま撃たれるつもりはない。
ヘルメスのハンドルとハンドルの中央に手をかけ、手首を軸に跳躍し、体全体を浮かせてヘルメスの先頭の上に乗りこむ。
さらに、もう片方の手に仕込まれた隠し刃が、回転式拳銃を持つキノサキの肩に突き刺さる!
「ぐあっ!?」
「キノサキ!」
「止まるな! 加速し続けろ!!」
右肩を貫かれ、うまく銃口を銀生に向けられない。
右手は使えない。そう瞬時に判断したキノサキは、すぐさま左手で殴りにかかる。
銀生の右手はまだ体を支えるためにヘルメスの上部分を押さえている。反撃はできない!
「このぉ! がぁ!?」
残された左腕で殴ろうにも、今度は銀生のズボンの右ひざ部分を破って飛び出した隠し刃が、キノサキの左拳に刺さる!
「こいつ……膝にまで刃物を仕込んで……!」
「……近い」
動きが制限されるリスクもあるため、膝の隠し刃をすぐに抜いた。
しかし、不意を突かれてキノサキの左手は一瞬だけ封じられた。
「だが、すぐに終わる」
今度は、隠し刃が刺さったキノサキの右肩を掴み、銀生はさらに身を乗り出す。
そして、上半身がほとんど出てきたところで、銀生は自分を支えていた右手をヘルメスから離し……
「やめろ! キノサキィ!!」
「くそっ…………!」
ドッ…………!
「…………っ!」
銀生の右の隠し刃がキノサキの左胸を穿った。
そこは改造人間にとっても重要な部位が存在する、動力炉のある部分を指していた。
「キノサキ…………!?」
ヘルメスの駆動輪が一瞬止まりそうになった。
キノサキのバイタリティサインに急激な変動が起こる。
それは、ヘルメスにとって最悪の状況を生み出していることを示すことになる。
「キノサキ! 返事をしろ! キノサキ!?」
「もう…………殺した」
ヘルメスが悲鳴を上げるが、銀生はとうとうこの厄介な敵を殺したと感じた。
手ごたえはあった。相手が機械であろうと、確かにこの手に伝わる感触が、この生き物の最も大切な部分を貫いたと言う感覚が、銀生に殺しの実感を与えていった。
しかし…………
「…………ガンスロット=キノサキを、舐めるなよ」
目の前の怪物は、まだ終わっていない!
左胸を突き刺した銀製の右腕をキノサキの手が掴む。
「!?」
ギリギリッ!! と、改造人間特有の強力な握力が、銀生を決して逃がしはしない。
動力源を傷つけられようと、決して力は緩みはしない。
「やれ…………」
「!」
キノサキは、すでに枯れそうな声であっても喋る。
心臓部分だろうが、急所だろうが、そこを突いただけでこの改造人間は止まらない。いや……
「やれぇ! ヘェェェェェェェェエエエエルメエエエエエェェェェェェェスッッ!!」
ガンスロット=キノサキは、何者にも止められない!
「……わかった! ヒャァッハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」
「!?」
ヘルメスはさらに爆発的な加速をする。
もはや爆走どころではない。自身の機能そのものを犠牲にしても構わない暴走が、ヘルメスに更なる速さを付随する。
座席後部の噴出器が自壊し、ヘルメス自身無傷ではいられなくなる。
それでもヘルメスは、自らを高めるべく叫びの言葉を上げ続ける!
「アアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
そして、銀生の方からも焦りの色が浮かんでいる。
目の前の標的に時間をかけすぎた。
すぐに脱出を図ろうにも、肝心の腕はキノサキに掴まれたまま離れはしない!
「…………くそっ!」
銀生はキノサキの右肩に刺さった隠し刃を半ば折れるように抜き取る。
そして冷静に、自身の右腕を掴むキノサキの十の指を一本一本精密に丁寧に斬りおとした。
これでもう自分を縛るものはない。
しかし……
「ヒャッハー、タイムアップだ」
しかし、時すでに遅い。
「!」
銀生の今の体勢。
初めは体が全面ヘルメスの先頭だったが、そのあと上側に身を乗り出し、キノサキを攻撃するためにさらに身を乗り出した。
結果、ヘルメスの先頭にあるのは銀生の足の部分のみ。
「…………!?」
火蛇族の里、端の外壁。
そことヘルメスの先頭に挟まれる形で銀生は両側から衝撃を受けた。
加速と重圧により、銀生の両脚……腿の部分が分断されてもおかしくないほどに衝撃を受ける。
「…………お、のれ…………!」
銀生の両脚は複雑骨折を起こした。千切れかけるほど大きなダメージを受けた。
しかし、分断はされずかろうじて原形を留め、銀生はその場へと倒れ込んだ。
「ヒャッハー……これで耐えてるって、いくらなんでも人間離れしすぎてるぜ…………」
足が動かなければ移動もままならない。
止めを刺す必要は、なくなった。
次々と流れ出る血が、銀生の結果を物語っていった。
「ヒャッハー、じゃあな。もう、追ってくるな……」
実感など、制止の確認など感じている暇などない。
ヘルメスは銀生から離れ、中央の方へと進んでいく。
もう自分らは戦えない。はやく安全な所に行かないといけない。
「キノサキ、大丈夫なのか……キノサキ…………!」
通信などから感じ取られるキノサキのバイタリティサインが、かなり危険な所にまで数値が下がっている。
どれだけ名前を呼ばれようと、キノサキの口は全く動かない。
「キノサキ……なあ、キノサキ……」
返事がなくとも、ヘルメスは上に乗せた改造人間の名前を呼び続ける。
もう戦場であるここはかなり静かになった。まだそこらじゅう音が溢れているものの、絶叫の類はだんだんと聞こえなくなった。
それなのに、ヘルメスの悲鳴とも感じられる声は、止まる一向にない。
キノサキも、全く動く気配がしない。
「ヒャッハ……返事しろよ。キノサキ!」
そしてヘルメスは、とうとう静かに黙っていられることなどできなくなった。
ヘルメスのアームが座席のキノサキを掴み、そして抱き寄せる。
音声合成でも、恐怖と焦燥の感情が読み取れるほどの必死さで、ヘルメスはパートナーの名前を呼ぶ。
「おい! キノサキ! 動いてくれ、キノサキ!!」
「……………………」
それでも、キノサキは動かない。
腕が、足が、何もかも動かない。
あの口喧しかった声が、キノサキの喉から全く発しはしなくなった。
「…………キノサキイイイイイイイイイイイイィィィィィィィィィィィィィィ!!」
機械に涙など流れない。ましてやオートバイならばなおさらだ。
それでもヘルメスは涙を流してもおかしくないくらいに、キノサキの名前を叫び続けていった。
しかし、その慟哭はそれ以上の悲鳴と怒号によって掻き消されたのだった。
5
事態は動く。
火蛇族の里は今、大きな転機を迎える。
上層と中層の殆どを掌握する『皇帝派』か、下層のために戦う上層の一部分からなる『下位派』か。
多少の違いはあれど、ひとつの大きな結果は覆らない。
火蛇族の里は、疲弊と鎮圧により静止に向かおうとした。




