参捌話 ようやくか……
キノサキさんと話を終えた私は、ラネットさんの家に戻りました。
結構遅くなってはしまいましたけど、アデルさんが話してくれたのかあまり追及はされませんでした。
そのあといろいろとあって、あとは就寝するだけなのですが……
「ね、ねえ……寝る所どうしよう……」
ひとり暮らし用の家ですので布団は一人分しかありません。
がんばっても二人しか入りませんから……
でも、アデルさんが
「だったらみんなで仲良く集まってというのはどう? セーヴェ君を中心に寄り添うように……」
「え、ちょ!?」
「母さん!」
と、アデルさんがいつもの様子ですので結局、セーヴェさんが布団に、私たちがみんなで毛布にくるまって予備の布団で床に寝ることになりました。
「もう、セーヴェ君も男の子なんだからいい夢でも見させようと思ったのに……」
「べ、別にいいよそんなの!!」
「ふふふ、かわいい」
「母さん……」
アデルさんはどんなときも変わらない調子でした。
そして、翌朝のことです。
初めに起きたのはラネットさんらしく、その次にアデルさん、そして私が目を覚ましました。
「おはようございます。ラネットさん、アデルさん」
「おはよう、クロチヨ」
「おはよう、クロチヨさん」
私が挨拶をした後に、ラネットさんもアデルさんも、ほぼそろったようにあいさつしました。
やっぱり母娘ですし似ていますね。
その後セーヴェさんが起きて、最後にロビィさんが寝起きの悪い様子でいろいろと苦戦しつつも起きてくれました。
そして、朝の支度を終えてそれぞれ朝食(菜食とか穀物が中心です)を食べている時でした。
ふと、思ったのですが……
「みなさん、これからどうするのですか?」
「え?」
ロビィさんの場合、元の世界で仕事をしていたら間違ってここに来ていたという感じでしたけど……
いろいろ落ち着いてきたし、どうするのでしょうか?
最初に答えたのはアデルさんでした。
「私はもちろんいつも通り仕事よ」
「え? アデルさんのお仕事ってなんですか?」
「ふふふ、秘密」
アデルさんが口元に指をあてて瞬きをしました。
いったいなんなのでしょうか?
「ロ、ロビィはデヴィッドさんやキッド君のお見舞い……」
ロビィさんはお仲間さんたちのお見舞いです。
「あと、車とかどうしようかの相談……」
あ、移動手段も崖に落ちたそうですしね。
「オレは読みたい本があるから、また借りるつもりだ」
セーヴェさんはおじさんから借りた本を読むつもりです。
図書館みたいな風に言ってますけど、
「私もいつも通り仕事だけど……クロチヨはどうするの?」
「私? そうですね……」
そろそろ零ちゃんの所に戻りたい気もしますけど……
でもその前に……もう一度だけ。
「私……話をしたい人がいるの」
「え、え?」
「話をしたい?」
もう一つだけ……確認をしたいことがあります。
このまま……放ってはおけないことがあります。
「キノサキさんに……話したいことがあるの」
「!?」
「!」
「!」
「?」
あ……ロビィさんもラネットさんもセーヴェさんも皆驚いています。
アデルさんだけ、誰のことかわからないのか首をかしげています。
するとセーヴェさんが急に怖い顔になって……
「ちょ、お前いったいなにをいってるんだよ!!」
「ひっ! セ、セーヴェ君!?」
「あの男は危険で悪いやつなんだろ!? なんで自分から危ないところへ行くんだよ!!」
危ない……ですか……
確かに昨日は銃の打ち合いをしましたけど……
でも……
「昨夜も話し合いましたけど、ちゃんと話は聴いてくれましたよ」
「はぁ!? 昨夜ぁ!?」
「はい。昨夜キノサキさんとお話をしましたよ」
「ちょ、ちょっと待ってクロチヨ! 私そんな話聞いてないよ!?」
ラネットさんやロビィさんやセーヴェさんがとても驚いています。
心配させてしまったでしょうか? でも……
「……ラネットさん、大丈夫。たぶんキノサキさんは……今は大丈夫だと思うから」
「え……え? なんで?」
「ラネットさん。キノサキさんに、会わせてくれないかな?」
するとラネットさんが片手で頭を抱えながら俯いて言います。
「……まったく、ほんのつい先日まで危ないことになったばかりだっていうのに……危うくあんたは傷つけられるところだったのよ」
「……でも、結局私に怪我はないし、昨夜はなんともないから今なら大丈夫だと思うの」
「根拠のない自信ね……」
ラネットさんが呆れたようにため息をついています。
そんなに危険なことなのでしょうか?
「いいわ。別に風精族の事じゃないし、行ってもいいわよ」
「えぇ…………!」
ラネットさん……許してくれるのですね。
セーヴェさんはまだ納得がいかない様子ですけど……
「あ、あの!」
「ん?」
すると今度はロビィさんが大きな声を出して私たちの方へと見ます。
なにか言いたいようですけど……
「ロ、ロビィも……つ、付いて行っていい?」
「え?」
「なに!?」
「ロビィも言いたいことが……あるから…………」
ロビィさんも私たちと同じ、キノサキさんと話がしたいようです。
でも、なぜなのでしょうか?
「ロビィが子どもを護る事で……あの人が思っていることに……言いたいことがあるから……」
「…………」
ロビィさん、もしかして……
……そうですね。やっぱりそのことについてはロビィさん本人が話した方が大事ですし……
「待てって! なんでみんなして行く気なんだよ! あいつがお前等にしたこと、あるんだろ!」
「セーヴェさん……」
セーヴェさんはまだ納得がいかない様子です。
心配しているのでしょうか?
「だ、大丈夫だよセーヴェ君。ロ、ロビィは話し合いをしに行くだけだから危険なことは起きない、よ…………」
「うん。それにセーヴェさんの事も狙ったりしないかどうか聞きたいこともあるから……」
「!?」
でも、まだ諦めきれないのか今度はラネットさんにお願いをします。
「お、おい! お前もなにか言って止めてやれよ! なぁ!!」
「気持ちはわかるけど……安心して。何かあったら風精族の看守が護ってくれるから、ね」
「…………!」
セーヴェさん。私は大丈夫だから……
「お願いします……」
「……わかったよ。でも、そこまで言うからにはオレも付いて行くぞ!」
「え、セーヴェ君も?」
「当り前だ! あんな危険な奴の所へ行くお前を、放ってはおけんだろうが!」
「?」
あれ? セーヴェさん別に私だけじゃなくてロビィさんも行くのですが……
でも納得してくれたようですね。
よかった……
と、ここでキノサキさんを知らないアデルさんが疑問に思ったままラネットさんに訊きます。
「……ねえ、ラネット」
「なに? 母さん」
「私、クロチヨさんとかロビィさんが言っていることはわからないけど、一言いい?」
「な、なに……?」
アデルさん……なんだか初めて見るような真剣な表情になっていますが……
なにが……
「痴情のもつれになるくらいならちゃんと男はよく見て選ばないとだめよ」
「え?」
「はい?」
「?」
……よくわからないことを言われたのですが。
どういうことで…………
「な……なに言ってるのよあんたは!?」
ラ、ラネットさん……?
いきなり怒り出したけど、いったい……
「え、違うの? さっきの話どう聞いてもそうとしか思えないんだけど?」
「なんでなのよ! なんでそう思えるのよ!?」
「いや、だって話からして危ない男とか言うし、ロビィさんは子供が云々って言うし、しかもセーヴェ君はクロチヨさんだけを心配して言うから……」
「違う違う! 思っていることは全っ然違うから!」
「あら……残念ね」
「なにが残念よ!」
なんだか、ラネットさんがよくわからない怒り方をしていますけど……
とにかく私やロビィさんはキノサキさんに話をするためにラネットさんの案内でキノサキさんのもとへと向か……
トントントンッ!!
「?」
「あら、誰か来たのかしら?」
突然、家の玄関の扉が叩かれるような音がしました。
アデルさんが言うように誰かが来たのでしょうか?
「もしかして……父さん?」
「いいえ、お父さんはもうちょっとだけ遅くなると思うけど……」
「じゃあいったい誰が……」
そう言うとラネットさんは玄関の扉に近づいて、扉を開けました。
すると…………
2
……待たせたな。金斬白零だ。
あれから約三か月間……いいや、もうちょっとか?
まあとにもかくにも本当に待たせたな!
ああ、別の意味でもいろいろと長い時間待ったような気がするが…………
それも今日で終わりにしよう。
と、いうことで……ガルシャードの説得!
「昼江のことについて教えてくれ!」
「断るであります」
だよねぇ!
やっぱり断られた!
こいつ口が堅い。
「ガルシャード。なんで言ってくれないの?」
「ハクレイさんのことが、ヒルエさんが言っていた会いたくない人間に特徴がそっくりでありますから」
「……あいつ、俺のことなんて言いやがったんだ」
ホントこいつは……穏やかで、気弱な目をしているくせに、口は堅いんだから。
それになんだこいつは? なんでこうもヒルエに対しては義理堅いというかなんというか、そういった様子なんだ?
「頼む、教えてくれ。あいつ……向こうでいったい何をしている。あいつは幻界に来ていったい何をやっていたんだ」
「……その前に一つ、よろしいでありますか」
「なんだ?」
大事な情報なんだ。
なんだって答えてやる。
「ハクレイさんはヒルエさんと、いったいどういう関係でありますか」
「?」
あれ、訊くところはそこ?
いやまあ、ちゃんと答えたことはないが……
「ヒルエさんは言ってました。『あたしの今生の敵である白髪の子供は面倒くさいくらいあたしに付きまとって追い続ける、ジャージの変態怪人なのよ、と』」
「なんだと……!!」
「ひっ!?」
あいつぅ! 俺のこともそうだがジャージのなにが悪いってんだ!!
バカにすんなよジャージ!
「くぅ…………!!」
「…………最後の、ジャージってのがよくわかりませんでしたが、ヒルエさんから聴いた特徴と一致しましたので間違いないかと……」
「……ああそうだ、多分俺のことだろう。でも今生の敵でも変態でもなけりゃ怪人でもない!」
「はぁ…………」
昼江……あいつ俺のことなんて評価しやがるんだ。
今生の敵って、俺そんなに恨まれているの?
軽くヘコむんだが。
「あいつにとっての俺はそうかもしれんが、俺にとってのあいつは違う」
「え? なんでありますか?」
「なに、友達だ。……いや、今は『だった』のほうが正しいがな」
「?」
本気で殺されそうな時もあったしな。
「けど、『だった』のままで終わらせはしない。いつかあいつとよりを戻したい」
「…………」
……ガルシャードが真剣な表情でこちらを見ている。
俺も逸らすことなくガルシャードの目を見続ける。
そうだな、他に言う事は……
「それにガルシャード。この世界であいつとはもう一度だけすでに会っているんだ」
「え!? それはいつのことでありますか!?」
「多分お前が運ばれてきたときとほぼ同時期だろう」
「…………!」
まあ、あの時は傷あとの腹の上に跨れたり、鉈を首筋に突きつけられたりかなり危なかったけど。
「……そして俺は、その時あいつとちょっとした取引をしてな、そのためにも知りたいことがある」
「……知りたいこと、何でありますか……?」
「今さっき訊いたことだ」
夜を表へ出させる方法。
何か手がかりがあるかもしれない。
「お願いだ。お前の知る限りで構わないから」
「…………」
しばらく沈黙するガルシャード。
そして……
「……わかったであります。しかし、それはハクレイさんの言葉を信じての事でありますよ?」
「……ありがとう」
よかった。話してくれるようだ。
俺は姿勢をただし、ガルシャードの言葉に集中した。
「ヒルエさんと……初めて会った時のことであります」
4
あれはたしか数週間前のことでありました。
火蛇族の里、イスパノニア帝国軍の――
――――――ちょっと待て。
はい? なんでありますか?
――――――いきなり専門用語を使うな。なんだよ、イスパノニア帝国って。
あ、それは後で説明しますから今はあの……水を差さないで最後まで聞いてください。
――――――ああ、そうだな。ごめん、続けて。
はいであります。その帝国軍の入隊試験の受付場のことであります……
「駄目に決まってるだろ!」
「そこを何とかお願いするであります!」
当時の自分はまだ軍には入ってないなのでありました。
我が家は母や父が働いてありますがそれでも貧困なのであります。
もう少し生活を豊かにして母や父の負担を減らすためにはやはり軍で働いて稼がないといけないのであります。
しかし……
「お願いします! 実力を見せてもらうだけでいいのであります!」
「その必要はない! 蛇人は所詮、蛇人だ! 第一、貴様はたしか監視硝だろ! ならそれで十分じゃないか!」
「それではだめなのであります! それでは……!」
理由は簡単であります。自分は蛇人であったからであります。
蛇人は軍には働かせてもらえないどころか試験さえさせてもらえないのであります。
下働きや監視哨がありますがそれだと大した稼ぎにはならないのであります。
「お願いします! どうか……試験だけでも……!」
だから自分は軍に入りたいのであります。
しかし……
「ダメだダメだ! いい加減に諦めろ!」
「……………!」
そう言われ、やはりもう駄目なのかと諦めていた時であります。
「ちょっと、待ちなさいよ」
「?」
その時、あの人が現れたのであります。
ウキソラ=ヒルエ……
人間……そのなかでも強い人でありました。
火蛇族の兵士の大量殺戮。
その行いで奴隷ではなく特例として雇われた人でありました。
「人間……! なんでここに……!?」
もっとも当時はそのことを知らなかったのでありますが……
その人は試験管にこういったのであります。
「な、なんだ貴様は!」
「なんでこの蛇人に入隊試験をさせてあげないのよ」
ヒルエさんは試験を受けさせてもらえない自分のために試験官に抗議してくれたのであります。
「そ、そんなの貴様には関係ないだろ!」
「そうね、関係ないわね。所詮は部外者の人間だしね。でも……」
ヒルエさんはこちらを見て微笑んでいたのでした。
「な、なんでありますか……」
「ふふふ、いい男♥ 強い子はやっぱりいいものね」
「…………?」
そういってヒルエさんは……
「どうせあなたは、蛇人は無理だの蜥蜴人じゃないと駄目だのと言って突っぱねたんでしょ」
「そ、それがどうした! 蛇人は軍に入れない! 当然のことだ!」
「どうして蛇人は駄目なのよ」
ヒルエさんはあきれた様子で言いましたが、その問い自体が愚問のようなので……
試験官は大きな態度で答えたのであります。
「わからないようなら教えてやる、人間。いいか! 蛇人は火蛇族の中でも下位に値するのだ。その理由はな……『精霊術』が使えないことが大きな理由だからだ!」
「…………っ!」
「へぇ…………」
蛇人が下位とされる理由。
それは精霊術が使えないことなのであります。
原因はわからいのですがなぜか蜥蜴人や竜人は使えるのに蛇人は使えないのであります。
だから蜥蜴人以上は軍で働くことが可能で裕福な生活も送れますが蛇人は軍では働かせてはもらえず、安い仕事ばかりなので貧困が多いのであります。
「いいか! 精霊術が使えない火蛇族など! 何の役にも立たないのだ! どれだけ努力しようが無駄なんだよ!」
「そう……」
ヒルエさんはその言葉を聞くと確認するかのように訊いてきたのであります。
「つまり、精霊術が使えない蛇人と、あとついでに同じくつかえない人間は戦力にならないから役に立たないというわけね」
「そうだ! わかったならさっさと去れ!」
するとヒルエさんは一瞬だけ自分にだけ見えるように怖い顔をして……すぐに元に戻ると……
こう言ったのであります。
「じゃあさ。あたしはいったいなんなの?」
「なに?」
ヒルエさんの言葉に試験官は怪訝な顔をしたのであります。
「あたしはさ、精霊術が使えない人間だけどね、奴隷にされることなく正式に雇われているのよ。これはいったいどういうことかな?」
「!? それは……」
ヒルエさんはそう言って試験官の言っていたことの穴を突いたのであります。
「ふふん。それは実力があったからよ♥ あたしの実力があったからこそあたしは今の立場を築いているのよ♥」
「そ、そんなの認めない! 本当は汚い手でそうなっただけだろ!」
ちなみに試験官はその話を聞いただけで直接その光景を見たことがないようなのであります。
そのことにより……
「どうせ殺ったのは下等な蛇人だけだろ! 精霊術が使えないあいつらなら人間でも殺せるしな!」
「……なんですって?」
「だがいい気になるなよ! 蛇人なら多数は殺せるが蜥蜴人はそうはいか……」
「うるさい」
その時であります。
ブンッ!
「「!?」」
「いいからさっさとその口を閉じなさい」
いつの間に抜いたのか二本の刃物を交差させて試験管の首に突き付けたのであります。
今にも刃物が試験管の首に……
「貴様! なにを……!?」
「だったらここであたしと殺しあう? 精霊術が使える蜥蜴人だから負けないんでしょ?」
ヒルエさんはそう言って試験管を挑発したのであります。
しかし……
「くっ……!」
昼江さんは試験管にとても強い殺気を放っているのであります。
その殺気にあてられたのか……
「いい……だろう……」
「……なにを」
「いいだろう! そこまでいうのならこやつに試験を受けさせてやる!」
「……! 本当でありますか!?」
試験官は自分が試験を受けるのを許してくれたのであります。
「試験開始は明日、場所はここだ! ただし、実技の内容は精霊術なしで腕力のみとする! それでいいか!」
「は、はい! ありがとうございます」
ヒルエさんのおかげで試験を受けることができたのであります。
試験官は一度ヒルエさんを睨んで……
「けっ……」
そして行ってしまったであります。
「うふふ、よかったね」
「はい。なんとお礼を言えば……」
「べつにいいわ。お礼をするくらいならちゃんと合格しなさいよ♥」
「はいであります!」
自分は急いで支度をしたのであります。
「あ、あの……!」
「ん、なに?」
「あ、あなたはいったい……」
自分、その時は疑問と感謝の気持ちでいっぱいでした。
「あたしは浮空昼江。人間の殺し屋よ」
「殺し屋……!」
「そういうあなたは?」
殺し屋という言葉には驚きましたが自分も名乗り返したであります。
「じ、自分の名はガルシャードであります」
「ふうん。ガルシャード君ね。覚えておくわ♥」
そう言ってヒルエさんは言ってしまったであります
自分も試験に備えて急いで自宅へと向かったのであります。
5
「これが自分とヒルエさんとの初の邂逅……」
「ちょっと待て! 長い時間かけて聞いた話が出会い話!?」
対して手がかりが出てこなかったけど……
「まあ待ってくださいであります。とりあえずヒルエさんと知り合うようになったきっかけを話そうかと……」
「ほとんどお前主体の話だったぞ」
まったく……
「ここからが重要であります。しっかりと聴いてくださいであります」
「初めからそこを言えよ」
まあ、さっきの話を聞いてて無駄とは思わなかったけど、
さっき言ってたやり口、本当にあいつらしいな。
「あの後、自分は試験に合格したであります。それ以降、何度かヒルエさんに会ったりしたであります。主によく悩みを聞いてくれたりもしてくれたであります」
「ほぉ。あの昼江がね」
「そんなあるとき、ヒルエさんが間違って酒を飲んで酔ってしまって、本音で語った時のことであります」
「…………」
酒を飲んだって…………
「……なにしているんだよ、あいつ」
「はい?」
未成年なのに……
「いや、続けて」
「はあ……わかりましたであります」
まあいい、今は話だ。
手がかりがあるかどうか聞かないとな。
「それで、ヒルエさんが語ったことなのでありますが……」




