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参漆話 長い夜のお話 後

看守A「おい、この部屋に軟禁している迷い子の身体、いったいなんなんだ?」

看守B「さあ? おれもいろいろな迷い子を見かけたがあれは……」

???「あの……すいません」

看守A「ん? 君は……」

 同時刻、風精族シルフィに捕らわれた殺し屋であるキノサキとヘルメスはと言うと、警戒されているのか、危険人物を収容する部屋に置かれていた。

 とはいっても体の拘束はしておらず、しかし部屋の四方を精霊術で固めて出られないようにされている為軟禁に近い状態にされている。

 また、キノサキとヘルメスはそれぞれ違う場所へ隔離されている為会話の類はできないのだが、体内通信は可能だったためさほど変わりはしないのであった。


『ヒャッハー。キノサキ、まさかここにきて任務失敗とはなさけないぞぉ!!』

『まったくだ! でも仕方ないじゃん!! あの隠れた奴ら、なかなか知覚できないって相当だぜえ!!』

『ヒャッハー! そうかそうか!! それは本機も同じこと!!』


 二人(?)とも相変わらず大声で話し合っているが、内部の通信の為外側には聴こえないし、出口の外で待機している看守にはわからない。

 安心してキノサキは会話を続ける。


『ちなみに、邪魔した車の運転手たちに発信機二つ取り付けたんだがよぉ』

『ヒャッハー。だが?』

『あの金髪っ娘が気づいたのか、破壊されたぜ』

『ヒャッハー。残念!』


 と、キノサキとヘルメスは通信で会話をしていたら……

 突如、ドアの向こうから聞き覚えのある声が聞こえだした。

 キノサキは眉をひそめる。


「ん……?」

『ヒャッハー、どうした?』

「……ヘルメス、お客さんが来てくれたようだ」

『え?』


 声を聞くたびにキノサキの心情は、どういう気持ちなのか昂っていく。

 楽しみにしているんでいるのだろうか、キノサキは扉の向こうが開かれるのを待っていた。

 そして……


「あ…………」

「……まさかもう再会するとは…………」


 現れたのは、和服に身を包んだ、物静かそうな小柄の少女だった。

 しかしほんの数時間前に戦った彼には、この少女は見た目とは裏腹に殺し屋であると分かっていながら戦うような女であるとわかっている。

 少女は部屋の中にいるキノサキを見つけると、すこし不安そうな顔になりつつ名前を呼んだ。


「キノサキさん……」

「やあ、芸者ガール」


 半日前に戦ったばかりの、あの銃使いの少女がここに来たのだった。



          2



 アデルさんと分かれた後、風精族しるふぃさんの看守さんにお願いをしてキノサキさんのいる部屋へと通してもらいました。

 いろいろと理由とか訊かれましたし、止められもしましたけど最後には許されました。

 そして……


「以外だな。こんなに早くお前に会えるなんてね」

「それは……私もそう思いました」


 部屋の中は……監禁という感じはしません。

 普通に布団はありますし、キノサキさん自身にも拘束具は見当たりません。

 部屋の奥には扉がありますから、なにかの部屋があるのでしょう。

 厳重という感じはありませんけど、でも風精族しるふぃさんの看守さんが言うには厳重らしいです。

 また精霊術とか使っているのでしょうか?


 とにかく話せると思いましたので、私は正座で座り、キノサキさんは胡坐をかきながら、お互い対面します。

 できる事なら早いうちに話そうかと思ってここに来たのですが……


「あの……キノサキさん。お話をしたいのですけど……」

「話? 構わないよ。というよりそのためにここに来たんだろ? それで、話って?」

「えっと……」


 何から話を切り出せばいいのでしょうか……

 話すことが多くてえっとどこから言えば……

 あ、そうだ。


「あの、キノサキさん。これを……」

「ん?」


 まずはキノサキさんが着ていた服を返します。

 裸……なのかどうかわかりませんがそのままだと不便なのかもしれませんから。


「ああ、わざわざ届けに来てくれたのか。ありがとう」

「はい。どういたしまして……」


 最初にやるべきことをやりましたので本題に入ります。


「……キノサキさん。ロビィさんのこと、覚えていますか?」

「ロビィ? ああ、セヴェリーニを庇い、こちらの邪魔をした人たちの一人だね」

「…………はい」


 ……その認識はどうかと思いますけど、でもキノサキさんから見ればそうなるのでしょう。

 ですが本題はここからです。


「キノサキさん、確かあなたはセーヴェさんを必死に守ろうとするロビィさんの事を『子供だからって理由だけで護るのか』と揶揄していましたね」

「ええ、そうだよ。そのことで何か?」


 ……あの後ロビィさんはキノサキさんに言われたことを気にしているかもしれません。

 だから……


「ロビィさんは、数日前にこんなことを言ってました」

「へ?」


 それは火蛇族さらまんどらさんが風精族しるふぃさんの里を襲ったことが発覚した時の夜です。

 キノサキさんの事を紹介する前に自分の事をこう言いました。

 確か、普通なら私情で怒られそうですけど……


「『ロビィにとって子どもとは護るべき存在だと思っているの。強くなって、安心できる道に進むまでには見守るべき存在だと思っているの』」

「…………なに?」


 キノサキさんが怪訝そうに私を見ています。

 ですが構いません。私は内容を続けます。


「『お、大人はたとえ自分の身に何かあっても自分の力で乗り越える力がある。で、でも……子どもにそういうのはあまりないの。だからどんな状況でも事情でも、ロビィは子供の味方であると決めたから』と言いました」

「…………」

「ロビィさん……詳しいことは分かりませんが、そう語るロビィさん自身もどこか辛そうに見えました……」


 ですけど多分それがロビィさんが決めたことの元なのかと思います。

 あの時のロビィさんには強い意志みたいなものがありました。

 だから、いつも怯えている様子でも自分から危険な所へ踏み入れる理由だと思いますが……


「……そうかそうか。それがあの金髪っ娘の言い分か」


 キノサキさんは話を聴いてくれましたけど……


「はん! ……それは子どもがか弱くて力がないとかいう勝手な決めつけに過ぎない。過酷な状況の中生きているガキだっている。やはりそんな理由はエゴだと思わないか?」


 ……返ってきたのは否定的な言葉でした。

 反論したいですけどこれ以上はロビィさん自身が言わないといけないと思います。


「……いいえ、私は素晴らしい考えだと思います。明確に自分の成すべきことを決めるのは簡単ではありませんから……」

「……そうか」


 キノサキさんは……認めてはくれませんでした。

 でも別にいいです。聴いてもらえたのならそれでも十分です。


「……で、何が言いたいわけだ? それを聞いただけでも別にこちらの考えることは変わりないが?」

「確かにそうかもしれませんが、それでもキノサキさんには誤解がないようにロビィさんが思っていることを聴いてほしかったのです」

「そう……」


 まずは聴いてほしいことが一つ言えました。

 ……他にも、あります。


「あの……」

「待て芸者ガール。こちらからも話を訊いていいか?」

「え?」

「訊かれるばかりじゃつまらない。こっちからもお前に訊きたいことがある。交互に話さないか?」

「それは…………」


 今は夜遅くですのであまり長話はできません。

 ですが……


「……はい、わかりました。なんでも訊いてください」

「そう来なくては」


 せっかくキノサキさんが話を聴いてくれるそうなので、私からも話を聴かないといけませんね。

 遅くはなるかもしれませんが、その時はラネットさんやアデルさんに謝らないといけません。


「じゃあ質問するが……お前は誰だ?」

「え?」


 いきなり誰だと言われても……


「『え?』じゃない『え?』じゃ。そんな格好であんな危ないものを使って、その上こちらの事を知ってて逆らうような女は、知りたいとは思わないか?」

「それは……」


 ……意外な内容の質問が来ました。

 でも確かに私はキノサキさんのことについて少し知っていますけど、キノサキさんが私を全く知りません。

 答えないわけにはいきませんね。


「私は三咲さんざき黒千代くろちよと申します。元の所で用心棒をやっています」

「用心棒?」

「はい、正確には『青江用心棒派遣事務所』で働いているのですが……」

「へぇ……」


 あ……働いているところは言っていいのでしょうか?

 殺し屋には教えたらいけないとか聴いたようないないような……


「青江ってまさか青江あおえ堅一郎けんいちろう? あの有名な青江あおえ堅固けんごの息子?」

「え?」


 青江……堅固、さん?

 息子とは青江さんのお父様の事でしょうか?

 有名と言われても、初めて聞いたのですが……


「あの、キノサキさん。堅固さんとはいったい……?」

「知らないのか? 知らないなら別にいいが、要するにお前は青江堅固の息子、青江堅一郎の元についた用心棒なんだな」

「は、はい……」


 よくわかりませんけど、青江さんの所で働いているのは間違いありません。

 とにかくキノサキさんの言ったことに私は頭を振って肯定しました。


「なるほど……用心棒か。ならばあの銃の腕前も納得…………か?」


 キノサキさんが頭を傾げていて腑に落ちない様子です。

 何が気になるのかはわかりませんが……


「では次は私ですね」

「おお……そうだな」


 今度は私の方から質問です。

 真っ直ぐキノサキさんの瞳……は見えませんが眼鏡を見て言います。


「キノサキさんのその体……教えてもいいでしょうか?」

「え?」


 キノサキさんが自ら肌を晒して見せたあの身体……

 黒くて、不思議で、でもなんだか機械みたいに冷たい感じがするあの身体……

 すこし気になったのでキノサキさんに訊いてみました。


「ほぅ……気になるのか? だったらお答えしよう!!」


 するとキノサキさんは誇らしげに自分の身体を指さして答えました。


「紹介しよう! こちらは射撃特化型・陸戦式改造人間。通称ガンスロット=キノサキ!!」

「?」


 本当に機械みたいな名前かと思ったらよくわからない名前が出てきました。

 キノサキさん……通称なのですね。


「この身体結構便利よ!! 改造人間共通の高い馬力と運動力はもちろん!! 機械による手ブレ補正と全身の改造筋肉による自動ターゲットシステム!! その上センサーも抜群である故に戦闘用オートバイのヘェェェェェルメェェェェェスッッ!! と併用すれば交通事故だって起きないし起こさなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!?」

「! キノサキさん?」


 ……どうしたのでしょうか?

 キノサキさんが突然頭を押さえて痛そうにうめいています。


「キ、キノサキさん? 大丈夫ですか……?」

「……解ってるよ。機密は話さない。基本的な部分のみだ」

「…………?」


 え? いったい何のことでしょうか……キノサキさんが私じゃなくて別の誰かに話しかけているみたいです。

 キノサキさん……だれと話しているのでしょうか?

 こんな状況で独り言なんて…………

 あ…………


「もしかしてキノサキさん自動二輪車おーとばいとも話しているのですか?」

「あぁ? ああヘルメスの事か? あとあいつはオートバイはオートバイでも戦闘用だ。付け忘れるな」

「はい……」


 それは……変わりないことなのではないでしょうか?

 ですがキノサキさんが自動二輪車おーとばいの……


「ヘルメス……さん?」

「ああ、いいや違う」

「え?」


 違うの……ですか?

 たしかロビィさんからはそう聞いたのですが……


「……ヘェェェェェルメェェェェェスだ」


 …………え?


「ヘェ―――――ルメェ―――――スさん?」


 伸ばした方が正しいのですか?

 たしかにキノサキさんはいつも伸ばして呼んでいますが……


「違う違う。ヘェェェェェエエエルメエエエェェェェェスッ、だ」

「違うの? えっと……ヘェ―――――――ルメェ―――――――スッ、さん?」


 あれ? さらに伸びていませんか?


「ノンノン、ヘェェェェェェエエエエルメエエエエェェェェェスッ!! だ」

「ええ? えっと……ヘェ―――――――――ルメェ――――――――スッさん?」

「ナイン! ヘェェェェェェェェエエエエルメエエエエエェェェェェェェスッッ!!」

「えええ? ヘェ―――――――――――ルメェ―――――――――――スッッさん?」

「違う! ヘェェェェェェェェエエエエル…………!」

「うるさいぞ!!」

「!?」

「おぉう!?」


 あ、入り口の看守さんが怒って扉を叩いてきました。

 いつの間にか声を大きくし過ぎていました。


「すいません……」

「まったくだ。もうヘルメスでいいよ。好きに呼べ」

「えっと……わかりました」


 結局伸ばさなくてもいいんですね。

 では改めて……


「ヘルメスさんも私の話を聴いているのですか?」

「ああ、聴いている聴いている。こっちとヘェェェェェルメェェェェェスッ! は感覚共有ができるからな。今は無線であり少々弱いが共有している」

「そうなのですか……」


 ヘルメスさんもこの話を聴いているのですね……

 でしたら……


「いかん、ちと話しすぎた。次はこちらの番だ」

「あ、はい。なんでしょうか?」


 その前にキノサキさんの質問に答えないといけませんね。

 どんな事でしょうか?


「芸者ガール。お前のその銃の腕……誰にならった?」

「え?」


 ……銃の腕……ですか?


「え? じゃない。あんな素人とは思えない、それでいて通常とは違う独特の撃ち方、もしかしてお前自身が編み出したのか?」

「いいえ、この銃はある方に教わってもらいました」

「ある方?」


 キノサキさんが気になるように私に顔を近づけて訊きだします。


「誰だ?」

「お母様です」

「え?」


 ……キノサキさんが意外そうな表情で訊き返します。

 なんだか零ちゃんも同じような反応をした覚えがありますね。


「お母様が、『千代。醜い男に襲われても、その清き身を護れるように、非力な女の子でも勝てる武器を教えるわ』といって教えてもらったのです」

「……芸者ガールの母、どっかのマイスター?」

「?」


 キノサキさん、なにかおかしなことでもいったのでしょうか?

 確かに銃は使いどころが難しいし危ない武器ですけど、よっぽど酷い男じゃない限りそう言う事は起こらなさそうですし……


「最近の親は子供にハードなものを渡すんだね……やれやれ……」

「…………」

「ちなみにこちらはその醜い男に入るの?」

「え?」


 キノサキさん、突然何を……?

 なぜかキノサキさんが楽しみにしていそうに私を見つめています。


「ねえ……どうなの?」

「……えっと…………キノサキさんは…………」

「こっちは?」

「危ない……人です」

「…………そう」


 キノサキさんは……ロビィさんのお仲間さんを傷つけ、セーヴェさんを殺そうとしました。

 だから……


「キノサキさんは、危ない人です」

「……ま、当然だな。そう言うお前はその危険な男と二人きりって状況に……武器を内包しているしね」

「気づいているのですね……」

「当然、服の動きとかでわかるからね」


 とはいっても、防護和服これを着ている限りはいつもの事ですが……


「そんじゃあ次は芸者ガールの番だ。なんでも質問して来い」

「あ、はい……では…………」


 ここからは本題です。

 私は一番気になることをキノサキさんに訊きます。


「キノサキさんは……いったいどういうつもりで殺し屋をしているのですか?」

「え?」


 ……私にはわかりません。

 どうして……どうして殺し屋とは、自分から人殺しなんてことをするのでしょうか……

 キノサキさんも、どうして……


「キノサキさんがどういうつもりでセーヴェさんを殺すのかはわかりました。でも……キノサキさんの本心を聴いておきたいのです」

「本心?」

「どうして殺し屋なんて……そんな酷いことをするのですか?」

「…………」


 私は……キノサキさんがどういう人物なのか詳しくは分かりません。

 どんなことがあって、それでどんなことをして、なぜ今になったのかわかりません。

 ですが……


「殺し屋が(イコール)酷い人とお前は認識スルー?」

「それは……当たり前なのではありませんか? 人を傷つけることは酷い事ではありませんか?」

「そうだね……そうだね……」


 キノサキさんは煮え切らないような様子で私の言う事を聴いてゆっくりと考えています。


「けど、別に殺し屋が存在するのはなにも本人がそうなりたいからってわけじゃないんだぜ」

「え?」


 それは、どういうことでしょうか?


「誰にだって頭の中で私利私欲やらなにやらが渦巻いているんだ。依頼があるという事は要望は存在する。要望が存在するから殺し屋も存在する。殺し屋が存在することはおかしなことではないんだぜ」

「……誤魔化さないでください。私が訊きたいことはそれではありません」

「じゃあなに」

「だから……どうしてキノサキさんは殺し屋をしているのですか? 嫌だとか、やりたくないとか、そう思わないのですか?」

「…………」


 数時間前、私と戦った時にキノサキさんは何度も何度も私に降参してと言いました。

 一度だけではありません。自分の力を見せて、そのたびに私にセーヴェさんの事を言ってと迫りました。

 私は……この人が、どこか悪い人と言う言葉だけで済ませるにはなにかが違う感じがするのです。

 だから……


「無い」

「え?」

「嫌も良いもなにもない。意志などどうでもいい。この身体になったときからこっちは常に殺し屋であり続けるのみだ。。あのお方に作られた時から、この身体はこうであるべきとそう決めたんだ」

「…………!」


 そう言うキノサキさんの言葉に……

 ……迷いがありません。でも……!


「……殺し屋じゃなくて、他にやりたいことはないのですか?」

「ない。それ以前にこの義体からだは依頼以外で動くのは禁じられている。別に何かしようとする気はない」

「……なんでですか……!」


 キノサキさんにはまるで……それ以外に信じている者がないようにしか見えません!


「私にはわかりません! キノサキさんがどういう人で、いったい何が好きで何が嫌いで、それで何を信じているのか私にはわかりません! でも……」

「…………」

「でも……どうして…………!」


 やっぱり……キノサキさんは似ています。

 以前の……お母様が生きていた時の私に似ています。

 あと零ちゃんがちょっと……


「……ごめんなさい。ただ、それが悪いことなのか……自分でも、迷っています」

「え?」

「でも……それだけで自分を封じ込めるのは辛いのではありませんか……?」


 そう言う私は……どうなのでしょうか……

 私は……ずっとお母様の言うことを聴いて、なんにも疑問に思わず外と切り離されたような生き方をしていました。

 でもお母様が死んだ後に、お母様の言いつけを破って私は男に……零ちゃんについて行きました。

 私は……亡くなった後とはいえ、お母様の言いつけを破りました。

 そのことだけが……私にとっては気がかりなのです。


 これでよかったのかと。

 もし言いつけを守ったままだと私はどうなったのでしょうか……


「辛い? ないない。かつて“僕”だった人間は今よりも自由な存在だったんだぜ。でもその頃は辛かった」

「……え? それはどういう……」

「言わない。だからこれ以上はなにも踏み込むな。さもないと何も話さないぜ」

「……わかりました。もう何も言いません」


 ……もう、そろそろでしょうか。


「キノサキさん。最後に教えてください」

「なに?」

「キノサキさんは……人を殺したことはありますか」

「……あるに決まってんだろ」

「…………」


 キノサキさんは、なにを思っているのかわかりません。

 ただそのままあることを答えたようです。


「では、今まで殺した人のことを、なにか想っているのですか?」

「……変わった質問をするな」


 この時のキノサキさんは……静かです。

 なにを思っているのでしょうか……


「こちらは殺し屋。それ以上もそれ以下もない。任務のままに人を殺す。死んだ人間の事なんていちいち想うことなどない。想っているわけないだろ」

「…………」


 ……そう、ですか。

 やっぱり、キノサキさんは……


「……わかりました。でもキノサキさん。これだけは覚えてください」

「なに?」

「私はキノサキさんの事がとても気がかりで心配です。一人にさせたくありません……」

「…………」


 キノサキさんは……悪い人。

 ……とは……思います。でもそれだけとは思えません。

 だってキノサキさんはさっきから何回も……


「だから……また来ます」


 ……今日は、ここまでです。

 私はキノサキさんに背を向けて部屋を出ようとしました。

 すると……


「待て、芸者ガール」

「え?」

「もう一度お前の名前を聴かせてもらおうか」

「?」


 名前なら先ほども名乗りましたけど、確認という事でしょうか……

 でしたら……


「三咲……黒千代です。覚えておいてください」

「よくわかった。覚えておこう。じゃあな、黒さん」


 く、黒さん?


「……はい、キノサキさん」


 まだ話したいことがあります。訊きたいことがあります。

 ですが……なぜなのでしょうか、時間の事もそうですけど……なんとなくこれ以上は話ができない感じがします。

 まずは一度離れて冷静にならないと……


「また来ます」

「…………」


 改めてもう一度言いますが、キノサキさんは……返事をしません。

 でも構いません。

 私は最後に振り向いてキノサキさんの姿を見た後に、この場を離れることにしました。



          3



 一方で風精族シルフィの里から大きく離れて、火蛇族サラマンドラの里。

 火蛇族サラマンドラの里は帝国制となっており、それぞれ皇族が住む王宮、軍人が住む軍寮、それ以外の民が住む下町に分かれている。

 それと同時に皮肉なことにそれぞれが住む火蛇族サラマンドラの位も、上位の竜人ドラグナー、中位の蜥蜴人リザードマン、下位の蛇人サーペンターに、綺麗に分かれている。

 そして、比較的治安が悪く蛇人サーペンターが多く住む下町の、とある酒場の地下にて、妙な組み合わせの人物が逗留していた。


 一人は金に染めた髪に学生服を着た殺し屋、浮空昼江。

 それに体躯が大きく、どれもこれも只者ではない火蛇族サラマンドラの男たち。

 さらには、この場にいるはずのない竜人ドラグナーの軍人。

 そして……


「おかえり♥ 銀生ぎんせいさん」

「……帰ってきた」


 そして、全身黒の恰好に黒い刀を握った眼帯の男が、風精族シルフィの里制圧からここまで戻ってきた。

 ただし、体のいたる所が負傷し、さらに手当されている。


「遅かったわね。いつもの銀生さんにしてはもう少し早くしてもいいんじゃない?」


 昼江は銀生と呼ばれた男になぜか遅かったことを少し批判しながら近づいた。

 ただし、不自然に少し離れている。


「無理をいうな。相手はあのアローン将軍。武闘派故かなりの強者だ」


 遅いと批判する昼江に対し、だれかが無理をいうなと返した。

 返したのは、この場にいるはずのない竜人ドラグナーの軍人である。


「いや、すみません。実際アローン将軍の事よりも、負傷したせいで治療も入れて帰りが遅くなったせいですから」


 すると、銀生から少し離れてもう一人、蜥蜴人リザードマンの軍人が現れた。

 竜人ドラグナーの軍人はフォローする蜥蜴人リザードマンを労わる。


「ご苦労だったな。アローン将軍の隊にまぎれて行動するのは疲れただろ」

「いえ、アローン将軍の隊は軍の中でもっとも数が多い隊でありますからまぎれるのに苦労はしませんでした」

「そうか、さすがはおれの隊だ。ほめてやろう」

「ありがとうございます。アルバロス将軍……」


 どうやら将軍である竜人ドラグナーの男に褒められて目を輝かせる蜥蜴人リザードマンの軍人。

 その光景にすこしうっとうしいのか昼江は早く話を進める。


「まあいいわ。結果を聞くけど、どうなったかしら?」

「はい、これを……」


 蜥蜴人リザードマンの男は懐から大事そうに抱えていた、布に包まれた大きな何かを取り出した。

 かなりの大型で人間一人が抱えて持つほどで、少し細長い形をしている。

 とにかく蜥蜴人リザードマンはその布に包まれた何かを中央の大きなテーブルの上におろした。

 そして、


「包みを開きますから、覚悟してみてください」

「ええ♥」

「まさか……!」


 もう見る前から包みの中身を察し、楽しみにする昼江に対し、動揺する竜人ドラグナーの男。

 そして、おそるおそる何かを覆う布の包みを解いていくと……


「これです」

「おお……!」

「よくやってくれたわ……!」


 包みの中身を見たとたん、二人の驚きはさらに強く変わった。

 中身はそう、竜人ドラグナーの頭だった。


 強烈な赤い鱗、鋭く伸びる角、そして動かなくてもなお迫力がある相貌。

 こいつはほんの数日まえ、ある方法により風精族シルフィの里を制圧しようと攻めた火蛇族サラマンドラの隊の将軍。


「信じられない……人間がアローン将軍を倒すだと……!?」


 アローン将軍の首であった。

 それも動揺する竜人ドラグナーの口ぶりからして倒したのは銀生と呼ばれた、人間の殺し屋である。

 驚く竜人ドラグナーとは対照的に昼江は確信に近い口ぶりで言う。


「あら♥ 銀生さんったら、人間界では伝説の殺し屋集団、《宇城一族うじょういちぞく》の一員なのよ。人間離れした銀生さんなら、人間じゃない生き物を殺すことができると信じていたわ」

「いや……そう……簡単じゃなかった……」


 しかし銀生は手当された箇所に手を当てて、数日前のことを思い返した。


「途中から……闖入者が入ってきて……そいつが敵に……大けがを与えたから……ギリギリで……斬れた」

「へぇ……でも五体満足でいられたなら十分すごいじゃない♥」

「闖入者……風精族シルフィの騎士か?」

「いや……ちがう…………」


 しかし、任務に関係ないことでも銀生は律儀に報告する。


「ちがう? じゃあ誰よ」

「見間違いでなければ…………あれは…………」

「あれは?」

「ガンスロット=キノサキ」

「!?」

「?」


 ガンスロット=キノサキ。

 火蛇族サラマンドラにはわからないが、殺し屋を務めている二人には何者なのか知っている。

 危険人物第四位にて、成功率九十五パーセントを誇る驚異の殺し屋である。

 意外な名前の出現に昼江は銀生に確認を取る。


「……銀生さん。本当?」

「見間違いでなければ……本当……」

「あら、銀生さんが見間違えることなんてないでしょ?」

「だが……初めから……火蛇族サラマンドラが……目的じゃない。……邪魔だったから戦った……だと思う」

「ふーん。なら危惧しなくてもいいかもね」


 それにしてもあの男までここに来るとは……、と昼江は驚いたように言うが、話に加わっていない竜人ドラグナーには何のことかさっぱりわからない。


「おい。なんなのだそのガンスロットとやらは?」

「ええ、危険な人物だけど、放っといてもいいんじゃない?」

「なに?」


 だが、彼女も銀生も同業者である故、ガンスロット・キノサキの特性は知っている。

 任務に入らない殺しはしない上、依頼は組織があってこそであり、彼単独では何も起こらないと踏んだのだろう。


「さてと、アルバロス将軍? これで〈皇帝派〉の数は?」

「残りわずか。あとは最後に…………」

「そう……それじゃあ……」


 すると昼江は真剣な表情になり、なにか考え事をすると……


「そろそろ本仕上げの準備に取り掛かるわ♥」

「……昼江……休ませて……くれ…………」

「ええ。銀生さんの怪我が治り次第、始めるわ」

「わかった…………」


 話すことは終わったようであり、銀生も竜人ドラグナーの軍人も、それぞれ自分の所へと戻っていった。

 ただ昼江は動く様子はなく、テーブルに置かれたアローン将軍の首を見て言う。


「……さて、わたしたちのやろうとしていることを知ったらどう思うかしら……」


 その時の昼江の表情は怯えているように見え、この場にいない人間の顔を思い浮かべながら……


「……白零君」


 ……直後に笑みを浮かべたのであった。

 決して喜びとは言えない、どこか寂しげな笑みであった。



          4



 セヴェリーニの殺害。

 もはやそれは不可能だと判断したキノサキ達は、風精族シルフィに捕らわれ、そして黒千代との話を終えた後……


『ふぅ……疲れた』


 キノサキは急に脱力し、軟禁部屋の隅のベッドに横たわった。

 内部通信なので、外には聞こえず、別の場所にいるヘルメスが受け応える。


『ヒャッハー、なんだよ疲れるって。改造人間サイボーグにそんなもんないんだろ』

『いいや、疲れたってのは精神的な意味さ。芸者……否、黒さんと話をして疲れたぜ』

『ヒャッハー。なぜ? あんな何も知らなさそうな小娘と話をして何が疲れるってんだ?』

『ヘルメスは直に会わないから同じことが言えるけどさあ……』


 キノサキが思い出すのはその話に出た黒千代の瞳。

 何の濁りも曇りもない、透き通ったような純粋な瞳。

 それは自ら内部にいろんなものを抱えているキノサキを透かすような感じだった。


『あんな眼をして話しかけられてみ。恐怖するぞ恐怖』

『ヒャッハー。なんじゃそりゃ。あんな世間知らずそうな御嬢さんのなにが怖いって?』

『だからこそ、かな? それによお、黒さんの奴……』


 と、キノサキは黒千代が持ってきた衣服を手に取り、そしてその中身をまさぐった。

 すると……


『……やっぱりな』

『ヒャッハー。どうした?』

『まったく、なにが危ない男、だ……』


 まさぐった服の内側から出てきたのは一丁の拳銃だった。

 それも銃身に弾痕がある。

 まちがいない。数時間前の戦いで黒千代に弾き飛ばされた方の回転式拳銃リボルバーである。

 その上……


『弾が抜かれていない。あの時のまんま残っていやがる』

『へ? どゆこと。ヒャッハー』

『黒さんめ、まったくこっちの事を警戒していなかった』


 キノサキはさっきから黒千代のある所がずっと気になっていたのだ。

 話している最中も、話を聴いているときも、それ以外もずっとそうだ。


『ヒャッハー? でもあの小娘たしか武器は持っていたんじゃない?』

『ああそうだ。たしかに持っていた。しかし話し合いをしている最中は、こっちの話にしっかりと集中している様子だったぜ。あれじゃあいきなりこっちが不意な動きをしてもすぐ対処できないし、あとまったく武器を取り出そうとする様子もない。戦いで動き出すのに不利な姿勢だったぜ?』


 黒千代の座り方は正座だ。

 それも足を床に敷くような体制である。

 もし対面するキノサキが不意に動き、その上後ろに回り込まれたら圧倒的不利な状態になる。

 第一に姿勢も今すぐに立ち上がるような構えをしていない。本当にゆったりと座っているのだ。

 にも関わらず意図しているのかそうでないのか黒千代はその姿勢でキノサキの話を聴いたのだ。


『おまけに、わざとでもなんでもなくそのままこちらに背を向けて部屋を出ようとした。用心棒を名乗るくせにおかしいとは思わないか?』

『ヒャッハー。それはただ単に小娘の方が間抜けなんじゃないの?』

『そんなはずはない。あの戦いであれだけ小細工ばっかりしていた娘が?』


 キノサキは、自分の拳銃が一つ砂に詰められた苦い思い出に顔を顰めるも、ある一つの考えを言う。


『ヒャッハー。何が言いたいんだキノサキ』

『本当にあの娘はこちらと話し合いだけ(・・)をしに来た。殺し屋で、さっきまで戦った、それも改造人間サイボーグなんて恐ろしい存在に、だ』


 そう……黒千代は戦いに来たわけではなく話をしに来たのだ。

 確かに武器は持ってはいたがそれ以前に隙だらけというか警戒していないと言うか、そんな様子であったのだ。

 ようやくキノサキの言葉を理解したヘルメスが呆れるように言った。


『……ヒャッハー。ならばまったくもって呆れた小娘だね』

『本当だ。長生きできないぜあれは』


 いったい何を考えているのか理解できない黒千代の言動にキノサキもヘルメスもただ呆れるしかなかった。

 しかし……


『でも、ああいうのに会ったのは初めてだぜ』

『へ?』

『こんな体を見てもそのまんま話せる娘なんてそうはいない。ましてやこちらに敵愾心を見せず、しかもこちらに意見なんかしやがった』


 同時にキノサキは黒千代に対し感心した。

 改造人間サイボーグで、殺し屋で、危険人物であるキノサキを恐れずに、だ。


『あんな肝の据わったのはいつ振りかなーって』

『ヒャッハー。キノサキ。お前が誰かを気になるなんて珍しいじゃないか?』

『いやいや、ただ黒さん事態が少々珍しかっただけ。さてとヘルメス、大事なことを話そうか』

『ヒャッハー。そりゃあそうだ!』


 ここでキノサキとヘルメスは一旦話を区切り、今後のことについて話し合う事にした。


『ヒャッハー、これからどうするのキノサキ?』

『そうだな。ここに来る前に博士に言われたこと覚えているか?』

『ヒャッハー! もちろん!』


 キノサキはこの世界の入口である、樹木型の“月の口”に入る直前に通信をした、『博士』とやらの会話を思い出す。


『たしか……『興味深い。教授の野郎がワクワクしそうな内容だし、管轄外であるおれも興味深い。もしも理論じゃ説明できない何かがあったら……』』

『『……その先は自由行動を行い多くの記録を取れ。任務以外での義体の使用も認める』と言ってたぜ。ヒャッハー』

『おいおい。博士ったら、一体なんてことを命じてるの!? 殺し屋に冒険家みたいなことさせちゃって!!』

『ヒャッハー! でもキノサキはロッククライミングしてたじゃん!!』

『ななんと!! そうでした!!』


 ……なんだかいつものようにうるさくなりだしたキノサキ達。


『んま! まずはこの身体とヘルメスの視聴データでこの世界について沢山記録を取れってね。けど……』


 自由行動と言われても、キノサキとヘルメスは困惑するばかりであった。

 どういう事情でどういう都合なのか、キノサキもヘルメスも任務以外で自らが動くことのない日々を送っていたというのに、ここにきて自由行動と言われても何をすればいいのか全く思いつかないのである。

 ましてやここは想像していなかった異世界であり、元の世界の法律がこちらに通用するわけではないのである。

 セヴェリーニの殺しの依頼が成立するであれ、失敗するであれ、今後自分たちがどう動くべきか困惑していたのである。

 いざと言うときに元の世界へ帰ればいいが、それだと自分たちに命令した『博士』とやらの機嫌も損ねるかもしれない。

 自由の難しさをキノサキ達にとってどうすればいいか悩みどころである。


『ヒャッハー。けどさ、今こうして捕まっているんだしどうやって出ればいいのか悩みどころじゃない?』

『まったくだ。ここの近くには標的だっているんだろ? しばらく監視付きとか何とかで窮屈な思いをするぜ』

『ヒャッハー、だがこの世界は本機たちにとっては異邦人だからねえ。波乱万丈そうだねぇ……』


 なお、人間に対しての感情は、風精族シルフィ水妖族オンディーヌ以外の他の種族だと、さらに厳しいことになると思うがそんなことをこの殺し屋は知らない。

 いろいろと察することはあるがまだこの世界のことについて曖昧なのである。


『それにこの世界で見つけ出さなきゃならないところがある』

『ヒャッハー、何?』


 キノサキは服を着ていない、自らの黒い機械の身体を眺めながら言う。

 そこにはまるで切り裂かれたり引っ掛けられたりしたような傷がところどころあり、さらには深くはないが焼け跡のようなものもあった。


『弾薬とヘルメスの燃料と設備』

『ヒャッハー。確かに必要だな。生き物とは違って自然治癒ができないしね』

『まったくだ。けど幸い、こちらもヘルメスも自己発電機能があるからバッテリーの心配はないし、切り札の《神経拡張》を使ってしまったとはいえ、数日すればまた使える』


 どうやらキノサキはある程度自立することが可能だが、ヘルメスはそうじゃないようだ。

 どこかで補給するところを確保しないといけない。


『ヒャッハー、あと殺し屋の依頼は?』

『依頼金とか勘定とかそういうのは博士がすることだし、こちらはただ殺すことしかできないよ』

『ヒャッハー、なるほど』

『そうだな、だとするなら……』


 キノサキは先ほど話し合った少女について再び思い浮かべていた。

 銃や引き金に欠けた指を見せても、まったく臆することなくセヴェリーニについて話さなかった。

 我慢強く、まったく話そうともしないために無駄な時間を取り、おかげで増援が来てしまった。

 その上、あんたことになったばかりなのにこっち等に話をしに来たのだ。


「……お言葉に甘えても、いいんだね?」

『ヒャッハー? 何の話?』

『いいえ、こちらの話です』


 そんじゃあまあ、とキノサキは、自分が横たわるベッドの上で体を深く沈めた。

 体を休める気なのだろう。


『どちらにしろ今日はもう遅い。明日になったら周りが動き出すだろう』

『ヒャッハー、そうだね。本機たちになにか変化が起きるだろう』

『ならばどんな道に転がろうがこの新世界、満喫するぜぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええ!!!』


 しかし、なぜかいきなりテンションの上がったキノサキはなにに興奮しているのか大声を上げだした。

 内部通信でなければ確実に外に聞こえているほどの大きさである。

 だが、彼らはこの世界にしばらく残ることを決心したようである。


『ヒャッハー!! 本機たちの旅は、まだまだ始まったばかり!!』

『ザ・ファンタジック・ザ・ワールドォ!!』

『ヒャッハー!! “ザ”を二回も言っちゃってるよ!!』

『それではみなさんご一緒に!!』

『『いぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええええええええええ!!』』


 静かな周りに反して大声で叫び続ける殺し屋たちは、ひとしきり叫んだあと、突然死んだように静かになって体を休めたのだった。

 もっとも、あくまで内部の事であり、部屋の外にいる看守にとってはまったく気が付いていない様子だった。

看守A「結局あの迷い子の身体、なんだったんだ?」

看守B「さあ? サイボーグ? と言われてもおれにはさっぱり……」

看守A「あ、それよりさっきの人間、かわいくないか? 俺好みなんだが……」

看守B「おい、妻子持ちなんだからいいかげんそう言うのは控えろ……」

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