第五十九話
(あれは……私の分身体の核。一体何をするつもりだ?)
フェルゼンは眉間に皺を寄せながら、ただそれを見ていた。
血に濡れた右手。その指の間に挟み込んだ紫の結晶と夜月耀石。ユーの高密度耀気を耀石に最大出力で流し込む。
「これまでのすべてを……ここで!!」
パキィィィィン!!
夜月耀石の『崩化』。
凄絶な破壊音が響き、ユーの掌の中で夜月耀石が悲鳴を上げて砕け散る。
そこから溢れ出したのは、純黒の靄のようなエネルギーだった。
その黒きエネルギーに腕が呑まれるように纏われる。
培ってきた技術のすべてを、この異形の力に流用する。
耀気の基礎である『着化』のように溢れ出した黒い靄を、耀気のように操作し安定化させる。
さらに、その黒い奔流を、武器に力を流し込む『転化』の要領で紫の結晶へと送り込む。
黒い靄が紫の結晶に侵食するように吸収されていく。
「あ、が……あぁあああッ!!」
血管が浮き上がり。
さらに魂を削り取るような激痛が右腕に走る。
しかし次の瞬間、ユーの右拳は耀気ではない赤と黒が入り混じる混沌のオーラに包まれた。
右拳に溜まった圧力を、『発化』の如く外部へと解き放つ。すると周囲の空間が歪み、そこから赤い雷光が爆発的に迸った。
これまで彼を包んでいた「白」はもうどこにもない。それは赤い雷霆であった。
「いくぞ!! フェルゼン!!」
ユーの右目から真紅の輝きが溢れ出す。
その右腕を一振りしただけで、激しく迸る赤い雷が周囲を照らす。
フェルゼンの目が大きく見開かれる。
(バカな……ありえない。魔の力は感じていたが、これほどとは!? それにあの真紅の瞳……あれは『魔王様』と同じ『魔眼』!?)
フェルゼンは静かに言う。
「あり得ない……ノルクス風情が……あの魔王様と同じ力を……魔の力だけならともかく一体何故!?」
「……復讐を遂げる!!」




