第二十六話
喧騒に包まれた酒場。その中心で、三つの異なる色彩が火花を散らすように向かい合っていた。
「パーティを組むにあたって、改めて自己紹介させて。私の名前はリアナ・エルフレイド。よろしくね!」
桜色の髪を揺らし、サファイアブルーの瞳を輝かせた少女——リアナが快活に笑った。深緑の革ベストにリネンシャツ、足元は動きやすさを重視したゲートル。その背には、しなやかな耀樹の弓が背負われている。
「俺はカイル・ロディックだ! よろしくな、ユー!」
カイルが豪快に笑い、燃えるような赤い短髪を掻き上げた。エメラルドグリーンの瞳が、まっすぐに仲間を射抜く。
「……ユー・ヴァングレイブだ。パーティの作法については疎い。色々と教えてもらえると助かる」
淡々と、だが重みのある声で言う。
「おう、何でも聞いてくれ! ちなみに俺は『火耀』と『金耀』の耀気属性を使う。相棒はこの戦斧だ!」
カイルが傍らの巨大な斧を叩けば、リアナも腰の革ポーチを鳴らして応じる。
「私は『水耀』と『木耀』の弓使い! できれば怪我とかしてほしくないけど、いざって時は木耀の治癒術もできるから任せて!」
「……凄いな。二人とも二属性持ちか。複数属性持ちは心強い」
ユーの視線が、二人の装備に埋め込まれた耀石を静かに走った。
「火耀は魔獣の弱点を突きやすく、金耀は防御に秀でる。それに……水と木の組み合わせは治癒術の効果を飛躍的に高めると聞く。二人とも、本当に優秀なんだな」
淀みない分析に、二人は顔を見合わせた。
「お前、結構話せるんだな! もっと無愛想で物静かな奴かと思ってたが……ま、息が詰まらなくて助かるぜ!」
カイルが獣のような笑みを浮かべ、ユーの肩を叩く。
「えへへ、私達いっぱい褒められちゃった。水と木の適性者って珍しいんだよね。流石、わかってるなー、ユーさんは」
リアナが上機嫌に笑い、ふとユーの右手に目を留める。金属の甲を持ちながら、手のひらだけが剥き出しになった奇妙な籠手。
「それで……ユーさんはどうなの?カイルを助けた時の、あの青い耀気。あれ、水耀の『発化』だったよね?」
その問いに、ユーは剥き出しの手のひらを見つめ、静かに答えた。
「いや……俺に適性属性はない」




