第8話 見えない亀裂
「…………全体的なケアレスミスと、応用が解けてないわね。解いた後に見直ししたの?」
「少しは……時間が足りなくて、応用の方は出来てないです」
「この感じだと、基礎と応用力を人一倍努力しないといけなさそうね。でも、赤点回避できただけ……よかったんじゃないかしら?」
「……ありがとうございます。やっぱり、自分って何も出来ないですよね」
「…………」
ああ、私もこんなことがあったな――
――私はだめな子だ……
そう思い続けた。周りから称賛され続けても、私は満たされなかった。上には上がいる。
だから、そこにたどり着くまで満足できなかった。
「テスト返すぞー」
「――七志ー、よく頑張ったな」
「……ありがとうございます」
全教科100点なのかな…………一つだけ、90点……
ああ、最悪だ。こんな簡単な問題で落としてる…………
「佑香、点数どうだった~?」
「言えないぐらい悪かった……」
「そう言って、高いんでしょ(笑)何点ぐらい落としたん?」
「……言えない」
「親友じゃんか~(笑)」
「…………10点落とした」
「ほら高いじゃん(笑)私なんか、全体で100点ぐらい落としてんで」
「ケアレスミスで落としちゃった……」
「……悔しいのは分かるけどさ、リフレッシュしよ?明日にでも。近くに新しくアイス屋できたらしいし」
「……ありがとう。でも、復習しないといけないから、また今度でもいい?」
「……そっか」
この時の違和感にさえ気づけば、あんなことにならなかったのに――
――数日後
(……こんな時間になんだろう?)
ちょうど、勉強を終えたころに、1通のメッセージが来た。プレビュー機能で少し文が見えて、嫌な予感がした。しかし、手は止められず自分の意志に反してアプリを開いてしまった。
「ごめん佑香。急に悪いんだけど、私耐えられないかも。佑香が頑張っているのは分かっているつもりだし、悪いことではないんだけどさ、友達として続けられないかもしれない。私は佑香を支えられないし、このままそばにいると佑香の足を引っ張りそうだから。だから、佑香は佑香で自分の道を歩んでほしい」
突然だった。1周読んだときは、その本意に気づけなかった。しかし2周目を読んだとき、理解してしまった。親友である、いや、親友であった、北條花がどう思っていたかを――
――私、うっとうしかったんだ
花はオブラートに包んでくれているけど、ただ私がうっとうしかった。
――唯一の友達だったのに
――私の心の支えだったのに
それには、花も気づいてただろう。だから、そう直観出来た。出来てしまった。
その日から、私は孤独に戦い続けた。ただ、上を目指して。しかし、花が私を許してくれていた時よりもしんどかった。
「佑香さん?」
その時は来てしまった。突然、目の前が真っ暗になった。微かに聞こえた最後の言葉は、
「……ごめん、本当にごめん……」
だった。




