第5話 そういうところやぞ
俺は…………いつもそうだ。なんで、いらんことを言う……
バカかよ……
中学生の時から一切成長してない。
――4年前
「――よろしく」
「優、よろしくな!!」
この時はまだよかった。あんなことを言ったから……
――数日後
「なあなあ、優」
「どうしたん?」
「一緒にテニス部の見学行かん?」
「俺はいいかな。……テニス好きなん?」
「好きとかじゃないけど、興味あるからさ。あと、楽そうじゃない?」
「俺の姉ちゃんもテニス部やったけど、きつそうやったで?最初の方とかは基礎錬ばっからしいし」
「えーそうなんや。でも、スポーツは好きやしな……」
「でも、そんな理由で入ったら周りに迷惑ちゃう?」
「…………せやな」
――次の日
「おはよう」
「…………」
……?聞こえんかったんかな?
「……おはよう」
「…………」
……無視されてる?俺、何かした?
それから一抹の不安を抱えながら、昼休みになった。そのタイミングで俺は、現実を突き付けられることになる。
「(なあなあ、優って一言余計よな)」
「(……確かに)」
偶然だった。しかし、確実に聞こえた。聞こえてしまったのだ――
――俺は、人を傷つけてしまう人間だ。
そう直観した。俺は、その日から休み時間には、逃げるように図書室に入り浸った。かといって、読書数が増えたかと言われれば、そうではない。図書室の辞書などが置いてあるでかい本棚の陰で、縮こまっていることがほとんどで、たまにラノベを読むぐらいだった。
――人が怖い。
ただそれだけだった。また、あの時のように誰かを傷つけるようなことを言いそうで――
それが怖かった。いくら、誤解と言っても信じてくれない。そのくらい、酷いことを俺は無意識に口にしてしまう。
――なら、誰とも関わらなかったらいい。
図書室に逃げる日が続くうちに、そう思っていった。そして、その考えは日常生活にも浸透していった。昼ご飯は、人気のないところで食べるようにし、一人でもそこに人がいようものなら、昼飯を抜くことすらあった。
親や姉には適当にごまかしていた。出来るだけ、明るく接している。学校での出来事も、あまり話さないようにしていた。
しかし、親や姉が目を離したりした瞬間に、涙があふれる。
――自分には泣く資格などない。
そのはずなのに、なぜか泣いてしまう。今でもその理由は分からない。




