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マイナーゲーム世界で人生を切り拓く〜気がつけばそこは、誰も知らないドマイナーソシャゲの世界でした〜  作者: 潟湖
ラグーン学園三年生三学期

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第1786話 金剛級冒険者レオニス・フィアと腕相撲大会!

 シャーリィがラーデを抱っこしながら、いそいそと腕相撲特設会場に向かう。

 それは冒険者ギルドが催す一日限りの限定イベントで、アクシーディア公国の建国記念日である今日のためだけに用意された特別な会場。

 正面入口には、チラシにあった文言『金剛級冒険者レオニス・フィアと腕相撲大会!』と書かれた巨大な看板が掲げられている。


 シャーリィとラーデが会場に入ると、結構な人数の人達が集まって観戦している。

 そして入口の看板の横には対戦希望者の受付テーブルがあり、受付担当者としてクレナが座っていた。


 シャーリィはレオニスと腕相撲対戦するつもりは全くないので、本来なら受付テーブルに赴く必要はない。

 しかし、四年後には冒険者ギルド総本部で冒険者登録をする予定だ。

 となれば、今から冒険者ギルド総本部の職員達と交流を図るのは大いにアリだ。

 今は挑戦者として並んでいる者は一人もいないので、シャーリィはこれ幸いとばかりにスススー……と受付テーブルに近づいていった。


「こんにちは♪ えーっと、クレナさん、だったかしら? お仕事お疲れさま♪」

「あッ、貴女は……シャルさん、ですよね!? こんにちは!またお会いできて光栄ですぅー!」

「あらまぁ、私のことを覚えていてくださったの? 嬉しいわぁー♪」

「もちろんですぅー!『暁紅の明星』の舞姫であるシャルさんを知らない人なんて、このラグナロッツァには一人としていないと思いますぅー!」

「ウフフ、嬉しいことを言ってくださるのね♪」


 シャルとの再会に、パァッ!と顔を輝かせて喜ぶクレナ。

 去年の公国生誕祭の際にも、シャーリィは初日にレオニス達への差し入れを届ける際に同行していた。

 なので、クレナとシャーリィが会うのは今日が二度目。

 二人とも互いに覚えていたことが嬉しいようだ。


「今日はシャルさんお一人でいらしたんですか?」

「今は一人だけど、後からラウルとライト君とマキシ君もここに来ることになってるの。三人は今、翼竜牧場?だかに遊びに行ってて、私はマスターパレン様のグッズを買いたいから一足先にこちらに来たの」

「そうなんですかー。ライト君達が来たら、レオニスさんもますます張り切っちゃいますねぇー」

「ウフフ、そうかもしれないわね」


 和やかに会話するクレナとシャーリィ。

 ライト達も後で合流すると聞き、クレナが嬉しそうに微笑む。


 この腕相撲大会、基本的に参加費用は参加者負担だが観戦は無料だ。

 対戦メニューは三種類あって、それぞれ参加費が異なる。

 その内容は、以下の通りである。



『本気の一本勝負!コース』……一回100G

『ハンデ付きコース』……一回200G

『14歳以下のお子様コース』……無料



 一回100Gの『本気の一本勝負!コース』と『ハンデ付きコース』の違いは、レオニスが身体強化魔法を使うか否か。

 100Gの方は身体強化魔法ありで、200Gの方は一切なし。

 ただし、一度身体強化魔法を使うとその効果は三十分間持続するので、一時間のうち前半の三十分間を本気コース、後半の三十分間をハンデ付きとお子様コースに使い分けているという。

 そして女性も参加可能で、男女による料金差はないという。

 これらの違いを懇切丁寧に解説するクレナの話に、シャーリィとラーデはふむふむ、と聞き入っていた。


「じゃあ、今の時間帯はハンデ付きと子供達が対象なのね」

「はい。近隣の子供達はもちろんのこと、遠方から祭りを見に来た観光客のお子さん達にも大好評なんですぅー♪」

「子供以外の大人達はどうなの? 前半と後半、どちらも盛り上がっているの?」

「そうですねぇー、レオニスさんのことをよく知らない人は、無謀にも本気コースで挑まれますが……冒険者仲間は、挙ってハンデ付きコースを選んでは惨敗中ですぅー」


 シャーリィから腕相撲対戦の状況を尋ねられたクレナ、苦笑いしながらも正直に答えている。

 レオニスの実力を知らない者は小細工なしの真っ向勝負で挑むが、同業者仲間である冒険者達は身体強化魔法無しで挑んでは玉砕しているのだという。

 そこは冒険者としてのプライドはないのか?と問いたくなるところだが、逆に同業者だからこそレオニスの実力を嫌と言うほど知っている証拠でもある。


「じゃ、早速観戦しに行ってみようかしら」

「ええ、どうぞお好きなだけ観戦していってください!」

「ラウルやライト君が来たら、私ももう観戦してるって伝えてくださる?」

「はい、お任せください!」

「ありがとう、よろしくね♪」


 シャーリィはクレナに礼を言うと、颯爽と腕相撲の舞台に移動していった。



 ◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 挑戦者受付から腕相撲が行われている舞台に歩いていくシャーリィ。

 クレナのところにいた時も既に、舞台の方から時折かなり大きな歓声が沸き起こっているのが聞こえてきていた。

 中には子供達の甲高い歓声や女性のものらしき黄色い声もちらほらと聞こえる。


「大家さん、ここでも人気者っぽいわねぇ」

『うむ。我らが大家さんは、人族最強の冒険者だからな。力ある者は持て囃されるのが常だ』

「ライト君なんかは『うちのレオ兄ちゃんって、何でか女の人にあまりモテないらしいんですよねぇ……あんなにイケメンなのに、何でだろ?』とか悩んでいたけど……もしかしたら今日のこのイベントで、お嫁さん候補が見つかっちゃうかも?」

『なら良いがな……』


 そんな話をのんびりと歩きながらしている、ラーデとシャーリィ。

 そうして進んでいくと、周囲より高く作られたステージが見えてきた。

 そのステージの中央には腕相撲用の台があり、そこではレオニスと挑戦者の子供達が腕相撲をしていた。


 レオニス一人に対し、子供が五人がかりで挑んでいる。

 子供達の年齢は、見たところ十歳前後か。

 子供達五人は皆顔を真っ赤にして、それこそ全身全霊全力を込めているのだが。レオニスの右手は頑として垂直を保ったままビクともしない。

 ふんぐぐぐぐ……と必死に頑張る子供達と、頑張る子供達をニコニコ笑顔で温かく見守っているレオニスがそこにはいた。


「キャーーー!皆頑張ってーーー!」

「金剛級冒険者に勝つ機会なんて、今日しかないからねーーー!」

「兄ちゃん、いッけーーー!!!!!」


 子供達の母親や兄弟姉妹と思しき観客達が、一生懸命に声援を送っている。

 先程から聞こえてきていた黄色い声援は、残念ながらレオニスに向けられたものではなかったようだ。


 ちなみにこの腕相撲大会、子供コースだけは制限時間が設けられている。

 まずレオニスが一分間耐えて、一分を過ぎたら本気を出す!という暗黙のルールがあるのだ。


 というのも、このイベントの目的の一つに『未来ある子供達に、普段はあまり接点のない冒険者と直接かつ気軽に触れ合ってもらいたい』というのがある。

 子供達には一分間存分にレオニスと戦ってもらって、『冒険者ってこんなにスゴいんですよー!』『でも、気さくでフレンドリーなんだよ!』という、言わば冒険者ギルドに対するイメージアップ作戦となっているのである。


 ただし、レオニスが手加減するのは子供コースの最初の一分間のみ。

 他のコースでは一切容赦しないし、子供コースでも一分を過ぎたら全力で倒しにいく。

 そう、レオニスとて金剛級冒険者という大看板を背負った身。

 例えお遊び系イベントであろうとも、絶対に負ける訳にはいかないのだ。


 腕相撲の台の角に置かれていて、この砂時計が一分間を計る目安となっている。

 そしてこの砂時計の砂が、全て下に落ちきった。

 これは子供達との対戦が一分を過ぎた証。

 その瞬間、レオニスが力を入れて五人の子供達の手を一気に倒した。

 あっという間にレオニスの勝利である。


「あ"ーーーッ!負けちゃったーーー!」

「悔しいーーー!!」

「ハッハッハッハー、俺だってそう簡単に負けてやる訳にはいかんからな?」

「また今度勝負しようね!」

「おう、来年も待ってるぞ」


 負けて悔しがる子、勝負に満足してまた挑みたいという子、反応は様々だがどの子に対してもレオニスは穏やかな対応をしていた。

 その後も順番待ちをしていた子供達が、続々とレオニスに挑んでは敗れていく。

 子供限定とはいえ、複数人で束になってかかってもずっと涼しい顔で対戦し続けていくのは、さすがとしか言いようがない。


 子供達との対戦の合間に、時折ハンデ付きコースで挑む男達もいた。

 それは大抵が冒険者ギルドラグナロッツァ総本部所属の冒険者達。

 皆『今日はあのレオニスに勝つ、千載一遇のチャーンス!』とばかりに対戦申し込みをしていた。


 だが、そこは負けず嫌いのレオニスのこと。

 同業者相手ならばレオニスだって遠慮することはない。子供達との対戦以上に、容赦なく潰しにかかる。

 開始一秒でバッタバッタと対戦者が倒されていき、誰一人としてレオニスに勝つことはできなかった。

 死屍累々と積み重なり続ける敗北者の数に、レオニスは涼しい顔で高笑いである。


「くッそー、今日くらいはレオニスに勝てるかと思ったのに……」

「ハーッハッハッハッハ!お前らには絶対に負けんからな!」

「いーや、来年は絶ーーーッ対に勝ってやる!」

「来年でも百年後でも一昨日でも、いつでも来やがれwww 俺は逃げも隠れもしねぇからな、腕相撲くらいいつだって受けてやるぞ」

「いつかその天狗鼻をへし折ってやるぜ!」

「つーか、俺らにも五人がかりで挑む権利を寄越せ!」

「お前らね……それはさすがにプライド無さ過ぎじゃね?」


 悔し紛れに罵倒する冒険者達に、レオニスは余裕綽々であしらっている。

 そんなレオニスを遠目に見ていたシャーリィとラーデ。

 二人してゴニョゴニョと囁き合っていた。


「……大家さん、すっごく生き生きとしてるわねぇ」

『うむ……それにしても、他の人族が絶え間なく挑み続けているというのに、大家さんが疲れる気配は一向にないな?』

「そこは、さすがは金剛級冒険者といったところなんでしょうねぇ……ラウルがいつも『うちのご主人様はすごいんだ』と言うのも当然だわ」

『我もそう思う。というか、大家さんが実は人族ではない、と言い出しても信じる自信がある』

「ププッ!そうね、もし誰かにそう言われたら私も信じちゃうわwww」


 そうして大盛り上がりのうちに時間が過ぎていき、今度は本気コースの時間帯になった。

 ギルド職員が舞台上に出てきて、砂時計や子供達用の椅子をテキパキと片付けていく。

 その間にレオニスはエクスポーションを飲んだり、身体強化魔法を使ったりして準備を万端に整えている。


『さあ、ここからは『本気コース』が始まります!』

『対戦受付番号93番の方、舞台上にお越しください!』

『……では、開始!』


 先程までとはまた違った、熱気のこもった歓声が沸き上がる。

 まだライト達は翼竜牧場にいて、こちらには来ていない。

 シャーリィとラーデは、レオニスの勇姿を微笑みながら見守り続けていた。

 公国生誕祭の新たな目玉イベント、『金剛級冒険者レオニス・フィアと腕相撲大会!』の様子です。

 ホントは今話のうちにライト達とも合流させたかったんですが。現時点で4000字超えたので一旦締め。


 今のところレオニスの無双状態が続いていますが、果たして後半戦はどのようになるでしょうか?

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― 新着の感想 ―
レオニス無双ですがマスターパレンやライト君が挑戦したらどうなりますかね((o(´∀`)o))ワクワク
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